『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の感想(1巻から5巻)

仲の良くなかった兄妹が、
とあるきっかけで妹が兄に「人生相談」を持ちかけた事により、
少しずつ関係が変化していくというお話。

妹について

名前は桐乃(きりの)。
一人称は「あたし」
兄の呼称は「兄貴」「バカ兄貴」「あんた」
年齢は兄の三つ下の十四歳、中学二年生。(1巻時点)


見た目は茶髪にピアスのいまどきの女子中学生。
容姿は雑誌のモデルをやってるほど可愛く、
勉強の成績は県で上位に入っていて、
スポーツは陸上部で大きな大会に出ているレベルと非常にハイスペック。


兄に対しての態度は、顔を合わせてもロクに口も聞かず、
口を開けば兄をバカにし、時には暴力まで奮うとかなりひどい。
性格もわがままで兄を振り回しっぱなし。

「……いいから、さわんないで」
「は? キモ、なに改まってんの」
「……ばかじゃん? 二次元と三次元を一緒にしないでよ。ゲームはゲーム、リアルはリアルなの。
大体さー、現実に、兄のことを好きな妹なんているわけないでしょ?」
「分かってるって。ってか、あんまりそば寄んないで、デートしてると思われたらヤじゃん」
「死ね! 死ね! 死ね! 死ねッ! みんな死ねぇっ!」


ここからはネタバレあるので(かっこ)で一部隠します。
構わない方は反転してお読み下さい。


でも、実際の中身はかなり違ったりする。
一見普通の女子中学生を装っているが、中身はかなりのオタク。
妹モノのエロゲーやアニメ、フィギュアなどが大好き
ツンデレ妹が好きな僕でもキツイと思うほどツンは強めですが、
好きなオタク趣味について兄に語る時の生き生きとした様子や、
たまに見せる兄に対するデレはそれなりに可愛いです。

「あの、奥にあるのは、ちょっと恥ずかしいやつで……その……だから、だめ」
「……あのね……あのね……じ、自分でも……分かんないの」
「ありがとね、兄貴」

兄について

ごく平凡な十七歳の高校二年生。(1巻時点)
学校の成績はそれなりに良い。


家族構成は両親に妹の桐乃の四人家族。
エロゲなんかでよくある「両親が海外出張などで不在」ということはなく
普通に両親と同居していて、家族の存在がしっかり書かれているのが、妹モノとしては珍しい。


兄妹の仲は疎遠で険悪。兄も妹の優秀さや容姿は認めているが、良く思ってはいない。
しかし、妹からの人生相談がきっかけでツンデレ兄に大変身
妹の事をクソ生意気で大嫌いだと思いつつも、
なんだかんだで妹の面倒見がいい兄に変わっていきます。

感想

このお話は兄の妹に対する思考が非常にリアル。
「妹の事をうざったいと思ってる」、「妹は異性のうちに入らないと認識してる」
妹がいる事を男友達には羨ましがられてるが「妹ってのは、そんなにいいもんじゃない」と思ってるところなど
読んでて兄の思考とシンクロする事が非常に多いです。
思春期の兄による妹の認識って、こういうもんですよね。
「なんでリアル妹がいる身分で18禁の妹ゲーをやらなきゃならんのよ!」という部分は
全くシンクロ出来ませんでしたけど。


そういえば1巻で桐乃が兄に妹モノのエロゲーをやらせるシーンがあるのですが、
このシーンを見たときに、昔、妹に「これ面白いから読んで」と言われ
ボーイズラブ漫画を読まされたことがあったのを思い出しました。

絶愛―1989― 1 (集英社文庫―コミック版)

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BRONZE 14―ZETSUAI since 1989 (マーガレットコミックス)

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いや、少女漫画自体は妹のを普通に読んでたので抵抗はなかったですし、
多少のこの手の要素は受け入れられると思ってたんですが、
男同士のベッドシーンを初めて見たときは、さすがにキツかったです。
(それでも12巻ぐらいまで全部読んだけど)


何とか読み終わった後で妹に感想を求められたときに、
「こういうのはさすがにちょっと……」みたいなことをいったら、
さすがにそれ以降はこの手のモノは勧めてこなくなりましたけどね。
あのシーンを読んで「こんな妹いるわけないだろ」と思った人に対して
「妹が兄と好きなものを共有したいと思う事はある」という実例でした。


閑話休題


ここからは個別の巻ごとの感想を。

1巻

文句なしに面白い。
険悪な兄妹の関係、妹の特殊なキャラと設定、
ネットやオタク関係のディープな話題)、オフ会で出会った沙織と黒猫のキャラ、
妹のオタク趣味を受け入れる兄の態度)、
妹の趣味について、兄が真面目な父を必死で説得するところなど、
どれも新鮮味があって読んでて非常に楽しかった。

2巻

兄が幼なじみとフラグを立てたり、桐乃とその友達たちと一緒にコミケに出かける話。
1巻ほどではありませんが十分面白い。
相変わらず桐乃の態度はツンツン……というか1巻よりひどくなっていて、
正直かなりむかつきます。


兄の方は前巻と同じく、嫌いなはずの妹の為に頑張るツンデレぶり。
桐乃の親友であるあやせの説得に神話の近親相姦や兄妹愛を持ち出し、
桐乃を抱きしめて叫ぶシーンの兄は輝きすぎていた。

3巻

桐乃の書いたケータイ小説によって起きた事件を、
兄が頼まれてもいないのに必死になって解決しようとする話。
兄とゴスロリ厨二病なキャラ黒猫とのフラグが立ちはじめた巻であり、桐乃のむかつき度が更にアップ。
僕の桐乃株が大暴落した巻です。


いくら何でも桐乃がチートすぎる。
お前は一体いくつの才能を持ってるんだと。
ケータイ小説がヒットした時に、黒猫を才能が足りないからと馬鹿にしたシーンは心底むかつきました。
そんな桐乃に勝てないフェイトと黒猫が気の毒でしょうがない。

4巻

ようやく桐乃がまともにデレ始める巻。
チート能力を持った桐乃が実は努力の人だったという、
非常に後付けくさい設定が追加されてます。
1巻のP251では幼稚園時代から優秀ってことになってますけどね。
兄の方は相変わらず表面上は桐乃の事を嫌いつつも、
何だかんだいって桐乃に甘い。


この巻の最後はかなりの急展開。
今後の展開についてのアンケートといい、もうこの本を読むのをやめようかと思いました。

5巻

この巻は「前巻のラストで妹が遠くにいっちゃって寂しい寂しいお兄ちゃんが
(無意識に)黒猫を妹に見立ててその寂しさを紛らわせてたんだけど、
それを黒猫にアッサリ見抜かれてしまい、
しょうがないから黒猫を含め色んな女のコに目移りして自分をごまかしてたんだけど、
どうしようもない寂しがり屋なシスコンお兄ちゃんは、
せっかく立った黒猫との恋愛フラグをぶち壊してまではるばる妹のとこまで飛んでいき、
泣いて帰ってくるようにお願いしました」というお話。


ぶっちゃけると、桐乃がいなくても十分面白かった
さすがにずっといないのも困るけど。


それにしても今回の兄はヤバイぐらいデレ過ぎ。
桐乃がいなくなって寂しいことを素直に認めたり、
ことあるごとに桐乃の事を思い出したり、
桐乃から連絡が来たと思ってテンション上がったり、
桐乃から来たメールを読もうとして胸をどきどきさせたり、


極めつけはコレ。

ハァ。やれやれ、シスコンってのはつくづく病気だな──。
なんて恥ずかしいやつなんだ。妹がいるくせに妹が好きとか、気持ち悪いにもほどがある。
信じられねえぜ。全身がかゆくって、これ以上話してられん。

といういつものツンツン台詞の後に来るのが

ケッ。お前の妹なんぞより、外見だけなら俺の妹の方がかわいいっつーの。

この台詞を見たときはマジで目を疑った。
おいおい、いつの間に京介お兄ちゃんはここまでのシスコンになっちゃったの?
四章で桐乃にシスコンって言われても否定しないし。

まとめ

桐乃は決して認めませんが、兄に好意を持ってるのは言動の端々から明らか。
兄の方は4巻までは微妙でしたが、
5巻で桐乃に対し一気に素直になって、兄妹の距離はかなり縮まったと思います。


ただ、二人ともあくまで兄妹の域は出ていない。
ここから更に踏み込んだ関係になるかは、まだまだわかりません。
この辺りのさじ加減というか読者の釣り方がこの作品は非常に上手いと思います。
どうとでも取れるように作ってますからね。


桐乃の事はあんまり好きになれないんですが、
ツンデレ同士な兄妹のやり取りは何だかんだ言って面白いので、
もうちょっと読み続けようかと思います。