『で・こ・つ・ん★』6巻の感想

で・こ・つ・ん★6 (GA文庫)

で・こ・つ・ん★6 (GA文庫)

最終巻です。
3巻以降は妹モノというよりはハーレムモノという感じで、どっちつかずの迷走ぶりでしたが、
最終巻ではしっかりと原点に戻って兄妹愛を描いてくれました。


この作品は最初から「妹である心愛の成長と兄離れ」を一つのテーマとして話が進んでいたので、
「最後は兄からの自立という形で終わるのではないか?」とヒヤヒヤしながら読み進めていたんですが、
兄のように強くなりたいとその背を追いかけ、兄を想う事で成長した心愛が選んだのは、
追いついた兄と並んでずっと一緒に進んで行く事でした。
黄昏の刻の感想でも書きましたが、妹が兄に守られるだけじゃなく
共に並びたいと努力する姿というのはいいですね。
そんな妹の成長を支える兄の姿勢も見事なものですし、
この二人の関係は理想の兄妹関係の一つだと思います。


兄妹恋愛についてですが、
最初に読んだ時は兄は最後まで心愛を大事な妹以上に見る事はないし、希とのフラグも立ってるしで、
希ENDと心愛ENDどっちとも取れる中途半端な終わり方だなぁと思っていたんですが、
よく読むとこれって明らかに心愛ENDですよね?
(以下、既読者向けの内容なので反転します)


P.219でカノンが兄に対して「心を空にしてうけ入れよ」と言った台詞、最初は何の事かと思っていたんですが、
僕は心愛の気持ち(愛)と解釈しました。
閂(かんぬき)と門とは兄妹という壁を象徴したものではないかと。


そして心愛が兄にキスをするシーンですが、
ここで心愛は兄と妹の仲良し儀式であった「でこつん」ではなく、「キス」をしています。
一見すると兄は気を失っていてこのキスには気付いてないように見えますが、
実はそんな描写はどこにもないんですよね。
動けない、意識が途切れかかっていたとは書いてありますが、意識を失っていたとは書いてません。
ただ、キスに対する兄の心理描写が省かれているだけです。


この時、兄は心愛のキスにも気持ちにも気づいていた。
キスという行為で兄妹の一線(門)を越えてきた心愛の気持ち(愛)を「兄がうけ入れた」
だからこそカノンはあれほどの力を発揮する事が出来た。
そう読むとあのインフレぶりもスッキリ通るんですよ。


そう解釈して読むとエピローグで希とのフラグに思えたものも、
兄は希の事は女性ではなくあくまで良きライバルとしてしか考えてませんという風に見えてきます。
エピローグ・モアについてはもはや言うまでもないでしょう。
これからも。ずっと。いっしょに。
これが兄妹ENDじゃなくて何だというのか。


(反転ここまで)
という事でこの作品は心愛ENDだと思います。
少なくとも僕の中ではそうです。
(ハッキリ書いてないのは、ラノベで兄妹が結ばれるような話を書くのは色々問題があるからと推測)
『で・こ・つ・ん★』は多少の不満はあれど、総合的に見れば兄妹愛をしっかりと描いた良作でした。