春日野 穹 『ヨスガノソラ』(依存系・双子の妹、わがまま)

作品情報

タイトル:ヨスガノソラ
ブランド:Sphere 作品ページ
ジャンル:アドベンチャー
発売日:2008年12月5日
販売価格:8,800円(税別)

あらすじ

公式サイトの物語参照。

妹について

名前 年齢
春日野 穹(かすがの そら) 兄と同じ
一人称 兄呼称
ハル
身長 体重 スリーサイズ
152cm 不明 不明
CV 原画
白波遥 橋本タカシ
シナリオ 備考
太刀風雪路、朝倉誠理、なつかぜかおる 2月5日生まれ、O型

主人公の双子の妹。

容姿は色白で、まるで人形のような美少女。
無口、無気力、引きこもりで極度のネット依存症。生活のことは兄のハルに任せっきりで何もしようとせず、何かとわがままを言っては困らせている。
ハルに子ども扱いされると不機嫌になる子供っぽいところも。
昔は病弱で入退院を繰り返していたが、今は普通の生活ができる程度には健康。

「……子供扱いしないで、同い年のくせに」


「ハル……いちいちうるさい」


「嫌……何とかして」

兄について

穂見学園1年生。
両親は既に事故で無くなっているが、親戚に頼らずに妹の穹と田舎で二人暮らしを始める。
穹と双子なだけあってかなりの美形。

性格は穏やかで、常識人。
穹のわがままに対してもむやみに怒ったりせず、甲斐甲斐しく面倒を見ている。
穹のことはこの世にたった一人の家族として大切にしている。

シナリオ

共通ルート

電車で穹と共に田舎の祖父の家に向かうところから始まり、穹の面倒を見ながら引越しの片付けをしたり、転入する学園でヒロイン達と出会って親しくなっていくのが共通ルート。
共通ルートはかなり短めです。


共通ルートでの穹の出番は多め。
序盤の穹の態度は常に不機嫌でわがまま。かなり理不尽な言動が多いので、人によってはちょっとイラつくかもしれません。

穹ルートは誰かヒロインを一人クリアしないと入れないんですが、最初は奈緒のシナリオがお勧めです。

(ここからネタバレあります。未プレイの方はお気をつけください)



奈緒シナリオ

奈緒のシナリオではハルと奈緒が仲良くなっていくことに耐え切れなくなった穹が、ハルを挟んで奈緒と対立するシーンがあって、穹が奈緒をこの女呼ばわりしたり、ハルに近づかないでとかなりキツイ言葉を浴びせます。

それまでの穹の奈緒に対する態度やこのシーンだけ見ると、かなり理不尽な穹の言動ですが、その後のバスのシーンを見ると、穹がハルのことをどれだけ大切に思っているかを理解できて、急に穹が可愛く見えてきます。
そんな穹の気持ちを知った上で、他のヒロインのルートでの穹の態度を見てみると、隠れた穹の気持ちが理解できるようになって面白いです。

穹シナリオ

さて、本命の穹のシナリオですが、当然穹メイン。
序盤からハルと穹の絆を感じさせるような出来事や描写が多く、お祭りや海のイベントなどを通じて、二人の距離が徐々に近づいていく様子も丁寧に描かれています。ハルが穹の自分に対する気持ちに気づき、悩んだ末に穹を受け入れて結ばれる流れも自然でした。

その後、穹は今までとはうって変わって、ベタベタとハルに甘えてくるようになってきます。ハルの方もそんな穹に微妙な違和感を覚えつつも穹との関係に溺れていき、そしてある事件が起きます。
ここが穹シナリオのピークでしたね。
この後は、EDまでスッキリしない展開が続きます。

(この先は穹シナリオをプレイ済みであることを前提に書いています。未プレイの人には意味がわからないと思うし、ネタバレもあるので読み飛ばしてください)

まず、一番納得できないのがハルが急にヘタレるところ。

悩んだ末に覚悟ができたから、穹を受け入れて抱いたんじゃなかったの?

穹を受け入れる前に考えていた

心に決めた
本当に、穹を守る……
僕は、守る。このぬくもりを。今度こそ間違えないように

っていうこれらは何だったの?

二人の関係がバレた後に取り返しの付かないことをしてしまったとかもう……だめだ……とか


今更何言ってるの?


お前が兄としてするべきは、穹に現状を理解させた上で、これからどうするかを一緒に考えることであって、関係の終わりを告げることじゃないだろうと。

自分では正しいと思っていたつもりが、実はそうではなかった。それに気づいたところまではまだ許せます。勘違いや思い込みぐらい誰でもあるでしょう。でも、その後出した答えが、穹に終わりを告げ関係を戻すって……。
兄として穹のためを思って出した答えであって、一見筋が通っているように見えますが、実際は穹の気持ちを全然理解せずに、自分の考えを一方的に押し付けただけです。その結果が穹の心を傷つけ、思いつめた行動に走らせたのですから最悪です。

湖での説得のチャンスでも穹の問いにちゃんと答えることができなかったために、結局穹を止められず、穹を助けようとすれば溺れ、あげくの果てには穹と一緒に死のうとして逆に助けられる始末。

何なんですか、この展開は?

奈緒との早まった真似はしないという約束は何だったの? もうちょっとこう、最後の最後ぐらい格好いい展開があっても罰は当たらないでしょう。

ラストもなんだかキレイに終わらせてますが、実際のところ現実的な問題は何にも解決してません






(ネタバレここまで)

親バレ、周りバレ

ネタバレなので隠します。構わない人は反転して読んでください。
周りバレがあるんですが、これがかなりいいです。兄妹の一線を越えた二人に対する驚きや嫌悪感がよく出ていて、ゾクゾクしました。ただ、その後すぐに問題が解決してしまうのが残念。もっと引っ張って欲しかったです。

禁忌、背徳描写

かなりあります。
ハルが、穹が自分に家族以上の好意を持っていることを知ったときは、兄としてかなり悩みますし、穹とどう向き合えばいいかわからないという戸惑い、妹に対して欲情を抱く自分に対する嫌悪感などはリアリティがありました。穹のハルに対する重いぐらいの愛情も良かったです。(ちょっとキモウト入ってますね)

まとめ

惜しい、本当に惜しいです。
途中まではいい感じで来てたのに、終盤がグダグダすぎました。

そもそも穹シナリオって実妹モノなんでしょうか?
結局穹は自分が妹ということを一度も認めませんでしたし、穹シナリオは守られるだけだった穹が自分の間違いに気づき、ハルと対等になろうとする成長物語とも読めます。


双子の妹である穹という極上の素材をシナリオが生かしきれてません
お気に入り度(10点満点) 9

おまけネタ

あんまりなハルのヘタレっぷりに、「妹から対等な関係へ」というところから一歩進めて思いついたネタ。

やけに強調される穹の母性――

そして穹の湖での騎乗位Hに、北欧での「……ハルぐらい、私の膝で休ませてあげるから」という台詞――、この二つは二人の関係の逆転を示しているのではないか?

これらの事実から導かれる結論はただ一つ――

「『ヨスガノソラ』は実妹ゲームじゃない、実姉ゲームだったんだよ!!」

別のキャラのレビューを読む

jitsumai.hatenablog.com