舞庭 実恋子 『Happy Wardrobe』(大人しい系・健気、恥ずかしがり屋、巨乳)

作品情報

タイトル:Happy Wardrobe
ブランド:Shallot(ブランド消滅、あかべぇそふと3に統合) 作品ページ
ジャンル:学園演劇青春ADV
発売日:2010年3月25日
販売価格:8,800円(税別)

あらすじ

公式サイトのSTORY参照。

妹について

名前 年齢
舞庭 実恋子(まえば みここ) 兄と同じ、高○1年生
一人称 兄呼称
わたし 兄さん
身長 体重 スリーサイズ
159cm 不明 B87/W56/H83
CV 原画 シナリオ
ヒマリ 笹弘 なかひろ
備考
双子妹

主人公の双子の妹。
夕栄学院1年生。

兄とは二卵性の双子で、学校でも同じクラス。
運動は苦手だが、勉強は得意で成績優秀、家事もそつなくこなす。
何かと兄と一緒にいたがり、兄の役に立とうとする健気な妹。
大人しくて引っ込み思案な性格で、コスプレのように人に注目されることは苦手だが、そんな自分を変えようと努力する頑張り屋でもある。

「わたし、もっとお料理上手になるからね」


「兄さんの借金はわたしの借金だと思うから」


「大丈夫だよ。ひとりだったら不安だけど、兄さんが一緒なんだから」

兄について

主人公。
夕栄学院1年生。

家族構成は両親に妹の実恋子の4人家族。
両親はコスプレの為にフランスに行ってしまっているので、現在は実家で妹と二人で暮らしている。

性格は常識的。
目標に向かって努力する意志、問題を解決する行動力があり、人の気持ちを察するのも上手い。更にコスプレ関係の特技やユーモアも持っているなど、とても有能。

兄としても、家事は妹だけに任せずちゃんと手伝う、妹の面倒は見るが必要以上に甘やかしたりしない、双子なのでお互いのことはよくわかっているなど、兄のお手本のような存在。

シナリオ

共通ルートは新入生である主人公が部員を集めて演劇部を復活させ、部員と共に演劇の練習に励み、いくつかの舞台を経験するところまで。
共通の終わりの方に1つだけ選択肢があって、そこからキャラごとのルートに分岐というシンプルな構成。共通はかなり長めで、僕は丁寧に読んで大体7、8時間ぐらいかかりました。

共通ルートでは爽乃先輩を除いて素人ばかりの演劇部の面々が、部活動を通して徐々に演劇について理解していくんですけど、演劇について細かいところまで丁寧に描かれていて、演劇に詳しくない僕でもわかりやすかったです。
部員同士のやり取りもテンポが良くて面白いですし、共通ルートは楽しんでプレイできました。

妹の実恋子については共通から出番多め、爽乃先輩と並んでメインヒロイン級の扱いです。他のヒロインより明らかに優遇されてました。
序盤から仲の良い兄妹描写も多く、兄妹の絆を感じさせてくれます。

実恋子のキャラも個性はそれほど強くありませんが、周りからいじられてあわあわしたり、涙目になったり、兄の一言に一喜一憂したりと、リアクションがいちいち可愛いです。
僕は大人しい従順な妹というのは面白みがなくてあんまり好きじゃないんですが、実恋子は全然気にならなかったですね、共通ルートの時点までは。

(ここからネタバレあります。未プレイの方はお気をつけ下さい)





実恋子ルートに入ると、今まで実恋子のことをあくまで妹としか認識してなかった兄が、ようやく実恋子を異性として意識し始めます。
実恋子の方もこれはあくまで兄妹愛とごまかしていた兄への恋慕が、抑えきれなくなってきます。

そんな二人が少しずつお互いを異性として意識していく流れは非常に上手い。実恋子視点も活用して、とても丁寧に描写されてます。僕はこういう兄妹の微妙な心の揺れ動きが大好きなので、思う存分楽しめました。

……と、ここまでは良かったんですが、実恋子ルート後半になると雲行きが怪しくなってきます。
最初に気になったのが、実恋子が自分に何度も言い聞かせる「強くなりたい」「強くならなければいけない」「変わりたい」というこれらの言葉。
この考えや実恋子の気持ちはわかるんですが、あまりに同じことを何度も何度も繰り返し言うのでくどいです。

これに実恋子の自分否定まで加わると……「兄さんに迷惑かけたくない」「こんなんじゃダメ」「もっと頑張らないと」「弱い自分は嫌」「ごめんなさい」……という感じで本当にくどいです。聞いてるこっちの気分が滅入ってきます。

強くなろうと自分に言い聞かせる

周りが心配するほど無理をしてまで頑張ろうとする

見かねた兄や周りが無理をしなくていいとアドバイスするも受け容れない

当然うまくいかず、自己嫌悪に陥る

この流れを繰り返したあげく、結局倒れてしまう実恋子にはかなりイライラしました。
一度だけならまだわかるんですけど、二度も同じ失敗をされるとさすがに……。

しかし、これらはまだ序の口。
一番僕を苛立たせたのは実恋子の告白シーンです。
以下、抜粋。

実恋子
「兄妹としてじゃなくて……」
「妹としてじゃなくて……」
「異性として好き……」

(中略)
「兄さんに頼ってばかりの妹なんて、嫌……」
「甘えるしかできない妹なんて、嫌……」

「わたしはもう、大人なんだから……」
「子どもじゃないんだから……」
「ひとりの女になれるんだから」
(中略)
「妹としてじゃなくて……」
「ひとりの女として……支えてあげられる」
「そんな自分に……なりたかったんだようっ……」
「じゃないとわたしっ……」
「ずっと、兄さんの妹のままっ……」
「弱いだけの妹のままっ……」
「恋人になんて、絶対になれないっ……」

(中略)

「そうだな……」
「恋人ってのは、そうだよな……」
「助けあっていくもんだ……」
「ふたりで歩いていくもんだ……」
「兄と妹なんて関係じゃなくて……」
「もっと対等の関係として……」
「そうやって、支え合って生きていくもんだ……」

(中略)
実恋子
「わたしと、つきあってください……」
「恋人になってください……」
「妹としてじゃなく……」
「ひとりの女として、わたしを見てください……」

まるで「恋人は兄妹より素晴らしい関係です」と言わんばかりの恋人賛美。
本来盛り上がるはずの告白シーンに、兄妹という関係を否定するような台詞を連発されると辛い。
おかげでこの後の一番美味しいはずの兄妹が結ばれるシーンを、ものすごく冷めた気持ちで見る羽目になりました。
体験版の時は素晴らしいと感動すらしたシーンだったんですが、まさかこんなことになるとは……。

結ばれた後も、この兄妹はやたらと恋人という形にこだわります。
兄も実恋子も兄妹で良かったというような台詞を言っているし、決して兄妹という関係を否定してばかりいるわけではないのですが、恋人という台詞が出るたびにどんどん気持ちが冷めてしまって、たとえ他にいい台詞があったとしても、僕の心には全然響きませんでした。

兄が実恋子を恋人として助け合うと決意するシーンで、

正しいのか間違いなのか、役者と観客の答えにずれがあっても、それが俺たちの舞台だった。

というモノローグがあるんですが、見事に観客の僕とずれてるのが悲しかったです。





(ネタバレここまで)

個人的な不満点

他にも実恋子に関しては不満点があるんですが、この項目はものすごく個人的な不満点ですので、読み飛ばしても構いません。

オナニーシーン無し

実恋子の性格的にこれはあってもいいでしょ? 大好きな人なのに自分の兄だから許されない。でも、我慢しきれない気持ちが自慰という行動に現れる。まさに実恋子にピッタリのシチュなのに何で無いの? こんな美味しいシチュを使わないとは信じられない……。

キスCGがメイクCGの使い回し

キスするシーンが多いのはいいんですけど、
専用のCGは無しってキスシーンを舐めてるの?
専用のCGは無しってキスシーンを舐めてるの?
大事なことなので二度言いました。

ガッツポーズの絵が無い

実恋子は作中で頻繁に「かわいらしいガッツポーズ」というのを取るんですが、なぜかその立ち絵どころかイベントCGすらありません。こういうところで手を抜くのはやめて欲しい。

親バレ、周りバレ

ネタバレなので隠します。構わない人は反転して読んでください。
作中ではハッキリとバレることはありません。フクが二人の関係に勘づいてるような描写がありますが、台詞の内容や演劇部のメンバーの態度からして、例え知られても普通に受け入れてくれそうな雰囲気があります。エピローグで兄が実恋子に、両親に二人の関係を告げようと言い出すシーンがありますが、わりと軽めの雰囲気です。

禁忌、背徳描写

それなりにあります。
二人とも「兄妹が恋人になることは世間から認められない」と認識していますし、そのことで悩む描写もちゃんとあります。しかし、それほど重くはないです。

まとめ

正直、期待外れ。
共通ルートまでは標準以上の面白さだったので、間違いなく良作だと確信していたのですが、個別ルートになると途端にトーンダウンします。

制作の時間が足りなかったんですかね?
実恋子シナリオ以外でも物足りない部分が多くて、全体的に作り込みの甘さを感じます。ブランドの初作品ということで、ある程度は仕方ないのかもしれませんが不満が残る出来です。体験版の出来が非常に良く過剰に期待しすぎてしまったので、余計そう感じたのかもしれません。

実恋子についても、決して悪い妹ではないと思うのですが、どうしても僕の好みには合いませんでした。色々と惜しい作品です。

実恋子ルートの途中までは殿堂入りレベルだと思っていたのに……
お気に入り度(10点満点) 8

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