作品情報
成人向け創作同人サークル「グランドクロス」が制作した、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(以降、俺妹と略します)を原作にした18禁同人ゲームです。
価格は税込み2415円(DL版は1995円)とやや高めですが、Hシーンはアニメーション、ボイスはフルボイス(京介のボイスは無し)、ボーカルソングあり、そして詳しくは後述しますが、俺妹の二次創作としての出来を考えると妥当な価格だと思います。
ゲームの内容は至ってシンプル。
桐乃と付き合い始めてエッチまでする関係になった京介が、付き合うことになってもあまり変わらない桐乃との関係を気にして、どこか一緒に遊びに出かけようと誘うところから始まります。
行く場所を決めたら二人の会話イベントが始まり、Hシーンに突入。
大体1イベント10〜15分ぐらいで終わります。
8つの場所にすべて行ったらエンディング。1時間半から2時間あればコンプ出来ます。
ちなみに京介と桐乃以外のキャラは出てきません。
システムについて
ボイスの再生がバックログを開かないと出来ない
クリックしても次にボイスが再生されるまではボイス継続の項目がない
バックグラウンドでは動作しない(これは俺妹プラスフォルダにあるRIO.INIというファイルを開きBackground=0の数字を1に変えれば動作可能)
……とまぁ細かな不満点はありますが、短いゲームですし、それほど困ることはないと思います。
CGモード、回想モード、音楽モードがないのはちょっと残念ですが。
桐乃のボイスについて
さすがにアニメの声そっくりとはいきませんが、雰囲気はそれなりに似ているし、悪くはないと思います。どうしても気に入らないなら、ボイスはオフにして脳内再生すればいいかと。
エロについて
個人的にはエロ同人ってあまり好きじゃないし、俺妹のエロが見たいというわけでもなかったので評価しづらいのですが(じゃあ、何でこのゲームを買ったのかというと、某所のレビューを読んで面白そうだったので……)、Hシーン自体はテキストの質も量も結構良い出来だと思います。アニメーションも同人にしては頑張ってますし、絵も原作とわりと似てて上手いんじゃないでしょうか。
感想
ここからは本編の感想です。
まず、シナリオはあって無いようなものなので期待しないように。恋人同士になった京介と桐乃の会話(とHシーン)を楽しむのがメインです。
京介と付き合うことになっても桐乃の態度はツンツン、ただし、Hシーンではデレデレ、でもHが終わったらまたツンツン。大体こんな感じです。
この手の同人作品で一番気になるのは原作の雰囲気をどの程度再現出来てるか? だと思うのですが、これに関しては問題なし。京介と桐乃の会話は原作の雰囲気にかなり近いです。
特に桐乃のツンツンぶりと京介のモノローグの再現度は非常に高い。会話の端々に原作の出来事や設定が何度も出てきますし、このテキストを書いた人は俺妹をちゃんと読み込んでるのが伝わってきます。
ゲームの雰囲気を伝えるためにちょっとテキストの一部を抜粋してみます。
「おまえさ、学校でもそんなんなのかよ?」
「どうだっていいじゃん。アンタいないんだから関係ないでしょ」
はいはい、どうだっていいっスね。
「モテてたり、すんのか?」
なんか、思春期の娘と頑張って会話する父親みてーだな……。
だけどよ、前に盗み聞いちまったしな……すごいモテるって。
し、信用してねえわけじゃないけどよ?
「ふーん? 気になるんだ?」
「別に……」
「気になるんでしょ? どーしよっかなー。教えてあげてもいいんだけどぉ〜」
「気にならねーっつってんだろ」
「なにキレてんの? アタシがガッコーでモテてたらどうすんのォ?」
ムカつく……! 何がありゃ、人をこれだけ苛立たせる才能が手に入るんだよ。
「心配なんでしょぉ〜? アタシが他の男に盗られちゃわないか」
京介と黒猫が電話してるのを聞いて焼きもちを妬いた桐乃が、黒猫から貰った服を着て誘ってくるシーン
「そ、そうだけど!? あんな邪気眼女より、アタシのほうが似合うし……!」
嫉妬……だな。俺が黒猫と仲良くしてるように思えて、焼きもち焼いてたんだな。
「あ、あたしが一番じゃなきゃヤなの! あんたの中で2番目とか3番目じゃ意味ないのっ!」
……ったくよ。なんで回りくどいことしか出来ねえんだろうな、こいつ。
手のひらを、桐乃の頭に、ぽん、と軽く落とす。
「……おまえが1番に決まってんだろ?」
もうこれが原作でいいよ。
まとめ
もうこれが原作でいいよ。(大事なことなので二回言いました)
いや、マジでいい出来ですよ、これ。俺妹の二次創作としてはかなりレベルが高いと思います。
原作本編で二人が恋人になるということはおそらく無いと思いますが、もしそうなった場合の描写として、違和感がほとんど無いのが凄い。
俺妹という作品を補完しているという意味ではまさにタイトル通り。
『俺妹プラス』の名にふさわしい完成度の作品だと思います。
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