作品情報
タイトル:サイノガミ ~破滅も来るべき事柄も、望めば手中~
ブランド:BLACK Cyc 作品ページ
ジャンル:ネオフォークロアADV
発売日:2018年11月30日
販売価格:通常版8,800円(税別)、豪華版10,800円(税別)
あらすじ
公式サイトのストーリー参照
システム
クリックで読み進めていき、選択肢でシナリオが分岐する、一般的なエロゲ。
初回プレイは4、5時間ほどで、Badエンドなどをすべて回収して、エピローグにたどり着くまでに要した時間は15~18時間ほど。ミニゲームのプレイ時間も合わせれば20時間はプレイしたと思います。
ウインドウサイズは1280*720のワイド。
システム項目は必要最低限のものしかありません。
前作に引き続き、クリックしても音声を継続の項目が無いのはどうかと……。
体験版であるイントロダクションディスクでは音量のバランスが悪かったですが、製品版ではだいぶ改善されていて、デフォルトでも問題なくなっています。
他には、インストールしてもデスクトップにアイコンが設置されなかったりと、かゆいところに手が届かない印象。コンフィグのシステム音声は種類が豊富で無駄に凝ってますが、そんなことより基本的な部分に力を入れてほしかったですね。
システムは総じて悪いです。
CG枚数は80枚。
シーン数は58ですが、Hシーンじゃない普通のシーンやエピローグがほとんどで、Hシーンは4分の1程度しかないです。
妹について
名前 | 年齢 | |
---|---|---|
神蛇 玲(かんだ れい) | 20歳以上 | |
一人称 | 兄呼称 | |
わたし | 丞(たすく) | |
身長 | 体重 | スリーサイズ |
155cm | 46kg | 不明 |
CV | 原画 | シナリオ |
赤井リア | 吉澤 友章 | 芦澤 夜呼夜 |
備考 | ||
誕生日1月27日、血液型A型 |
前作の主人公である丞の妹。
前作から5年経っており、現在は兄と夫婦になり、紡(つむぐ)という娘もいる。
もうお酒を飲める年齢という会話があるので、20歳以上は確定。
男装して名前を変えた叔母の零雅(零佳)を今でも零雅さんと呼んで慕っており、娘が母親ばかりにくっついていると気落ちしている兄と娘の二人の時間を作ってあげるのと、観光も兼ねて、島を出て零雅に会いに来た。
本編ではほとんど出番がありませんが、エピローグではちょこちょこ出番あり。
零雅とコウミガミと一緒にデパートで買物をするCGもあります。
丞と紡は登場しませんが、話題には出てきて、親娘3人幸せに暮らしているようです。
作中で酷い目に遭うことは一切ありません。
「うん、気を付けるわね。夜はひとりで出歩かない……これは、丞からきつく言われているの」
「とても素敵よ、丞の次にね」
「丞にも背広を用意してあげたいの。それで、ワンピースを紡に着せて……。ふたり並んだらきっと素敵、うふふ!」
たまえについて
名前 | 年齢 | |
---|---|---|
たまえ | 不明 | |
一人称 | 兄呼称 | |
ワタシ | 鼎、お兄ちゃん | |
身長 | 体重 | スリーサイズ |
156cm | 41kg | 85(E65)/57/85 |
CV | 原画 | シナリオ |
神泉のぞみ | 吉澤 友章 | 芦澤 夜呼夜 |
備考 | ||
誕生日11月15日、血液型A型 |
主人公の妹ではなく、作中に登場する鼎(かなえ)の双子の妹。
幼い頃に両親を殺されたことがきっかけで、すべてを諦めて耐え忍ぶような内向きの性格に。
兄からは嫌われており、日常的に虐待を受けている。
ゲーム開始時点では処女。
性的な知識はほとんどなく、裸を見られても全然気にしないほど心は幼い。
双子ですし、設定的にも実妹なのは確実ですが、いまいち魅力が感じられないです。
これなら、鼎のことを気遣って、色々頑張っているマキの方がよっぽど可愛いし、妹っぽいです。
ちなみに兄である鼎との近親相姦はありません。
「鼎が生きたいなら……ワタシ、いいよ? どうせ、何にもないし……」
「ううん……ちゃんと見るよ。鼎の事、ただひとりの双子の兄の事、ずっと……忘れないように」
「ワタシは、昔の鼎に戻って欲しいって思ってる。酷い事されても、我慢してたのは、そうなの……」
兄について
名前は鼎(かなえ)。
たまえの双子の兄で、主人公ではありません。
一人称はカナ。
自分を姫神と称し女装をしている少年で、傲慢でサディスティックな性格。
ただ、幼馴染のマキに対してはわりと優しく、年相応の弱さや感情も見せる。
妹のことは嫌っていて、兄らしさや愛情はほとんど無し。
兄としてはクズ以外の何者でもないですが、鼎の置かれた環境や境遇を考えると致し方ない部分もありますし、キャラとしては魅力的でわりと気に入っています。
ちなみに鼎は男にフェラしたり、男とのセックスシーンもあります。
そういうの苦手な人はお気をつけください。
「男なんてさ、種付けしたら用済み。蟷螂(かまきり)だってメスに食い殺される。……何で、カナにはこんなモノあるんだろう」
「だよねー! カナもオマエなんか大嫌いだよっ!」
「あはは……最期に気が合った……。その調子で、たまえをお願いね……? 沢山、嫌な事して……言える物じゃ、ないけど」
シナリオ
プロローグを選ぶと60年前に起こったイシンの村の悲劇が語られ、その後キャラの選択画面になり、各キャラを選ぶと3分から10分ぐらいのショートエピソードが読めます。
この辺は、イントロダクションディスクのプロローグとまったく同じです。
本編が始まると、モノローグで60年前の悲劇のその後、ソトの村とウチの村の成り立ちなどが語られ、OPムービーが流れます。
序盤は主人公である框(かまち)がソトの村に行き、鼎やたまえと出会うパートと、零雅がコウミガミや玲に再会して旧交を温めるパートが、三人称のモノローグで交互に語られます。怪しい雰囲気の框パートと違い、零雅たちのパートはほのぼのしていて癒やされます。
前作の『コウミガミ』をプレイしていると各キャラの変化や成長が感慨深いですね。特に玲は、情緒不安定だった前作と違い、すっかり大人びていて、かなり可愛くなっています。
話が進むと零雅とコウミガミがソトの村にやってきて、村から逃げ出そうとしていた框とたまえに出会います。
話の流れで村に戻ることになるのですが、先に戻ったたまえがトラに見つかり折檻され、それを框と零雅が助けた辺りから、それまでの選択肢次第で、話が分岐します。
たまえルートと鼎ルートは、どちらも過程と結末は陰惨で、Happyエンドとは言い難い内容。
そこから分岐するBadエンドも救いがありません。
框とたまえ、框と鼎のHシーンはあるし、兄妹愛も全然無いし、登場人物はどんどん死んでいくし、グロいシーンもてんこ盛りと、プレイするのが辛かったです……。
Trueルートからは、NormalエンドとTrueエンド、Badエンドに分岐します。
Trueルートでも框とたまえのHはあります、選択肢で避けることはできません。
エピローグでは研究室で絵合わせのミニゲームをプレイでき、
絵合わせで手に入れたコインを使い、酒場でキャラに飲み物や食べ物をおごってあげることができます。
各キャラには好みがあり、好きなものをおごってあげるとエピソードが聞けます。
なんとか玲だけはコンプしましたが、これ以上はさすがにやる気が……。全員コンプする(暇人)人はいるんでしょうか?
絵合わせは最初は零雅としか遊べませんが、酒場でエピソードを聞けるようになると、キャラが増えて他のキャラとも遊べるようになります。(コウミガミ、恭二郎、さやか、たまえ、マキちゃん、玲、框、鼎、恭一郎、トラまで確認)
(ここからネタバレあります。未プレイの方はお気をつけ下さい)
ここでは、各キャラについての簡単な寸評を。
框
主人公だが、イマイチ影が薄い。鼎ルートではかなり性格が変わる。
回想CGの少年時の顔がやたらイケメンでびびった(笑)
たまえ
結局、最期まで好きになれなかった。
Trueエンドやエピローグでは、ずいぶん成長しているけど、結局框とくっつくわけで、相手が鼎ならなぁとどうしても思ってしまう。
前髪パッツンな髪型は好きだが、あのガリガリの体型は受け入れがたい。
鼎
サディスティックでヒステリックではあるが、内面は臆病な普通の少年。マキちゃんとのやり取りは微笑ましい。
本命がありながら、他の男や女とばかりHしてるところは、昔のエロゲ主人公を思わせる。
最期までマキちゃんに手を出さないところも(笑)
Normalエンドで、死ぬ寸前にちゃんと妹のことを気遣ったのは、好印象。
マキ
玲を除けば、作中一番のお気に入り。
とにかく作中で酷い目に遭いまくる悲劇のヒロイン。
アグミオンボイスでさやかに暴言を吐きまくるシーンが一番好き。
Trueエンドでは鼎と生き延びるが、彼女には幸せになってもらいたい。
零雅
前作のおっとりお姉さんから、男装の麗人にクラスチェンジ。
ずいぶん格好良くはなったのだが、やたら考え込みすぎるところがあって、作中での活躍はイマイチ。
恭一郎とのHシーンでは、人の本質はそう簡単には変わらないことを教えてくれる。
コウミガミとの関係は百合とはちょっと違うが、結構好き。
コウミガミ
前作のラスボスも、今回は大幅に弱体化。
神としての力を発揮できない状態とはいえ、恭一郎に手も足も出ないシーンにはがっかり。
一応トラとのシーンでは見せ場があったが、ぶっちゃけいなくても良かったよね?
サヤカ
単なる脇役と見せかけて、Trueルートではまさかの大活躍。
恭二郎とマキちゃんに発破をかけた手腕はお見事。
作中で最も株が上がったキャラかも。良いお姉さんでした。
恭一郎
イカれた言動が目立つが、そうなった生い立ちを考えると嫌いになれない。
優秀な弟にコンプレックスを持ってるところは共感できる。
姫神バージョンの彼は、作中で一番輝いていた。
Trueエンドの結末は悲しいが、彼にとってはある意味幸せなのかも。
恭二郎
マキちゃんと並ぶお気に入りキャラ。
苦悩する白衣の眼鏡男子という設定の段階で勝ち。兄想いなところもツボ。
惨劇を止められないヘタレなところはあるが、要所要所で格好良く活躍してくれる素敵な弟君。
エピローグで兄と並んで会話するシーンは特にお気に入り。
さもありなん君
名前は作中に出てこないので僕が勝手につけた(笑)
イントロダクションディスクやエピローグで出てくる零雅の同僚。
やたら「さもありなん」という言い回しを使うのが特徴。
作中では観測者的な立場で深くは関わってこないという、プレイヤー的な立ち位置。
(ネタバレここまで)
特典について
予約特典の特製下敷き。
双子ですし、母親の胎内をイメージしているんでしょうか?
公式通販特典のサントラ。
主題歌の「Doll」やED曲の「笑っていいよ」のフルバージョンはこれでしか聴けません。
曲は全て1ループ。
『コウミガミ』に引き続き、音楽は良いですね。
「Doll」も格好良くていいんですが、「笑っていいよ」もさわやかな良曲です。
しばらくは両曲をリピートして聴きまくる予定。
それ以外の曲では「printemps」「Sacrifice」「真珠星」がお気に入り。
豪華版特典の公式設定資料集。
描き下ろしビジュアル(マキちゃんとたまえ、零雅の2枚)各キャラのパーソナルデータ、舞台背景、エンディングリスト、CGラフ、「Doll」と「笑っていいよ」の歌詞、制作裏話などが掲載されています。
80ページもあってかなり読み応えあり。
框のマタギバージョン、鼎の別バージョンラフは格好良いですね。
モブのキャラはゲーム中ではシルエットですが、ラフではちゃんと顔も描かれてます。
まとめ
たまえと鼎のHシーンがない時点で、実妹ゲームとしては、論外。
まさか、この設定で近親相姦が無いとは思いませんでした。設定資料集のライターのコメントでは、近親相姦から逃れることが物語の軸であると書いてありますからね……。框にはいのりという生き別れの妹がいて、たまえか妹のどちらかを選ぶという原案があったらしいんですが、断腸の思いでオミットされたそうです。なぜそちらにしてくれなかったのか……。
玲が兄と幸せに暮らしているのを確認できたのだけが収穫です。
伝奇モノとしての出来はなかなか。
前作に比べるとキャラが増えましたが、それぞれキャラが立っていて、魅力的です。
個人的にはマキちゃんと恭二郎さんがお気に入り。
Badエンドも、ただ選択肢を間違えて主人公があっさり死ぬというようなものではなく、一つ一つ特徴があって、バリエーションに富んでいます。グロはキツイですが、たまえEDのマキちゃんなどは、ビジュアル的な美しさもあって、印象に残りました。姫神になった恭一郎なんかも、狂気には彩られていますが、ものすごいインパクトありましたね。
四肢切断、性器切断、首切断、睾丸潰し、内蔵破壊、顔の皮膚剥がし、カニバリズム、人糞喰い(不快な表現が入っているので隠します)など、グロは本当にキツイので、これらに耐えられる自信が無ければ手を出さないことをお勧めします。
そんな凄惨なBadエンドを乗り越えた後に見たTrueエンドは、それまでとはうってかわってさわやかなもので、プレイ後の後味は非常に良かったです。
テキストは難しい言い回しが多いうえに、遠回しで周りくどい描写も多く、非常に読みづらいです。もうちょっとすっきりと読みやすい文体にして欲しかったですね。
前作『コウミガミ』に比べると、システムや近親相姦以外の部分は概ね進化していて、完成度はかなり上がっています。名作というほどではないですが、90年代や00年代の伝奇モノを思わせる懐かしさもあって、なんだかんだ気に入っています。
設定資料集によると、続編の構想もあるようですが、もし出るならおそらく買うでしょう。
実妹ゲームとしては論外だが、伝奇モノとしては悪くない出来
お気に入り度(10点満点) 8
おまけ
jitsumai.hatenablog.com
プレイした際のTwitterでの呟きを別記事にまとめました。
良かったら参考にしてみてください。