『兄が好きな妹と妹が怖い兄の話。』の感想

作品情報

一般漫画。

『兄が好きな妹と妹が怖い兄の話。』は短編集『AV女優とAV男優が同居する話。』に収められている短編のうちの1つです(34ページ)。
その後日談を描いた『兄が好きな妹の話。』(19ページ)、『わたくしのたいせつなかぞくのはなし。』(19ページ)、番外編の『矛盾』(2ページ)という短編も掲載されていて、全部合わせると70ページ超となかなかのボリュームです。

妹について

雅奈


主人公の妹。
名前は雅奈(みやびな)。
灯奈とは双子で妹の方。
次女で15歳。

一人称は「あたし」
兄呼称は「真太」「真太お兄ちゃん」「にぃにぃ(対弥彦)」

成績は学年トップだが、年頃らしく難しい性格をしていて、下の兄である真太に恋愛感情を抱いている。

灯奈


主人公のもう1人の妹。
名前は灯奈(あかりな)。
雅奈とは双子で姉の方。
長女で15歳。

一人称は「私」
兄呼称は「真太」「兄さま(対弥彦)」

雅奈に比べると、少し天然でおっとりしている。
上の兄である弥彦のことが大好きで、兄が帰省するたびに甘えている。

実の妹という表現があるので、二人とも実妹は確定。

兄について

真太


主人公。
名前は真太(しんた)。
次男で17歳。
家族構成は両親と兄、妹2人の6人家族。

気は優しいが、鈍感でヘタレなところがある。

弥彦


主人公の兄。
名前は弥彦(やひこ)。
長男で24歳。

長男だが、実家の呉服屋は妹たちが継ぐことになっていて、実家を出て働いている。
穏やかな性格で、弟や妹たちにも好かれている。
灯奈のことは妹としか見ていない。

感想

身も蓋もない言い方をすると、兄に恋した妹が振られる話です。
兄妹恋愛はありますが、それが報われることはありません。
ハッピーエンドを求める人には、地雷以外の何物でもないでしょう。



重い展開で、読者の心を容赦なく抉ってきます。


雅奈ちゃん……。兄の鈍感さとヘタレぶりには殺意を抱きますね。


『兄が好きな妹の話。』に出てくる「兄に振られた雅奈が、兄にプレゼントとしてもらったお金でバイブを買い、それを兄のモノと思って自分の処女膜をバイブで貫くシーン」は圧巻で、3ページも使って破瓜シーンが念入りに描写されます(色々な意味で痛いシーン……)。


もう一人の妹である灯奈。


兄の弥彦のことは恋愛的な意味で好きですが、兄妹が結ばれるなんてありえないと理解しており、最初から諦めています。


ご丁寧に、作者のあとがきで兄とは結ばれないとハッキリ書いてあるという念の入れよう。

まとめ

いやー、キツイですね……。
背徳感大好きな僕ですが、別に悲恋やバッドエンドが好きなわけじゃないので、こういうのはちょっと……やっぱりハッピーエンドが一番ですよ。

この短編集は、兄妹の話以外にも、いくつかの短編が掲載されています。

読んでる時はそれなりに面白いんだけど、読んだ後には何も残らないような無難な作品とはまるで違い、容赦ない現実やすれ違い、過去のトラウマを抉ってくるような痛い話が多く、読後感は非常に悪いのですが、心理描写は秀逸ですし、漫画として面白いか面白くないかで言ったら、間違いなく面白いです。(好き嫌いは分かれるでしょうけど)

兄妹恋愛的にはまったく救いのないお話なので、お薦めは絶対にしませんが……。