『シスター・プリンセス ~お兄ちゃん大好き~ Sincerely Yours』の感想

作品情報

電撃G'sマガジン誌上にて4年間にわたり連載され、社会現象にまで発展したSister Princess
その最終連載シリーズ「イラストストーリー パート3」をまとめた、まさにPREMIUMな1冊です。

上記はAmazonの紹介文から転載。


僕が所持しているのは紙版です。
電子書籍版は未所持。

内容紹介と感想

オリジナルストーリーズ、ポケットストーリーズと続いてきたイラストストーリーも、このシンシアリー・ユアーズで最後。
この本では、4期にあたる連載がまとめられています(Wiki参照)



目次。

妹1人あたり8ページで、


表紙とプロフィールが2ページ、


ラストストーリーが6ページという配分。
この構成は、オリジナルストーリーズと同じですね。
ポケットストーリーズに比べると、挿絵も多めです。

Sincerely yoursは、日本語での敬具と同じような意味のアメリカ英語。
妹たちからお兄ちゃんに贈られる「愛の手紙」がテーマとなっています。

可憐

可憐ちゃんの手紙は、可憐ちゃんがピアノのコンサートに行ったときの話、可憐ちゃんの髪型が三つ編みになった時の話、最後にお兄ちゃんに自分の気持ちを伝えるという構成。

三つ編みの話が特に良かったですね。
ハサミでうっかり自分の髪を切ってしまった可憐ちゃんを慰めるために、お兄ちゃんが可憐ちゃんの髪を三つ編みにしてくれるというエピソードは、お兄ちゃんが格好良すぎて、これはもう可憐ちゃんがお兄ちゃんを好きになってしまってもしょうがないなという説得力があります。


ちょっと幼い小学生可憐ちゃんの可愛いらしさも素晴らしいですね。

お兄ちゃんとは結婚できないと理解していても、諦めきれない可憐ちゃん。
たとえ結婚はできなくても、可憐ちゃんは一生お兄ちゃんのそばにいて、お嫁さんみたいにお兄ちゃんの面倒を見続けるんじゃないかなと僕は思っています。

花穂

花穂ちゃんからの手紙は、ぬいぐるみ作りの話、誕生日にお兄ちゃまからもらったクマちゃんのぬいぐるみの話、最後にお兄ちゃまに自分の気持ちを伝えるという構成。

花穂ちゃんは不器用なイメージがあったので、ぬいぐるみを上手に作れるというのは意外。
クマちゃんのぬいぐるみの話はちょっぴり切ないですが、お兄ちゃまのフォローが完璧でさすが。


この挿絵の格好、エロ過ぎる。
なんで花穂ちゃんは、こんなにも性的なのか……。
本人に自覚がまったくないというのが、またね。

ドジばっかりの花穂ちゃんを、そのままでもいいと受け入れてくれるお兄ちゃま。
そんなお兄ちゃまにお返しがしたいと頑張る花穂ちゃん。
いつだって、お兄ちゃまのために一生懸命なところが花穂ちゃんの魅力だと思います。

衛からの手紙は、マーチングバンドに参加した時の話、最後にあにぃに自分の気持ちを伝えるという構成。


衛は、マーチングバンドが終わったあとに、フラワーガールに参加することになるのですが、ヒラヒラしたフリル付きの衣装とスカートを着たのをあにぃに見られて恥ずがしがる衛が、最高に可愛かったですね。

ボーイッシュな女の子に可愛い服を着せる+恥じらいはいいものです。

今はあにぃと一緒に遊ぶのが1番楽しいと言っている衛ですが、もうちょっと大人になって、あにぃに対する気持ちを自覚した後はどうなってしまうのか? そういうのを想像するのも楽しいものですね。

咲耶

咲耶からの手紙は、海で夏休みのバカンスを楽しむ咲耶の話。

本編ではビキニはオレンジ色と書いてあるのですが、挿絵ではどうみても白なのが気になる……。


水着の上がはだけてるのがエロい。
シスプリのギリギリを攻めてる感じですね。
お兄様の時計や手紙にキスしたりと、性的アピールが多めなのが咲耶の魅力ですね。

雛子

雛子からの手紙は、夏休みの宿題を終わらせて明日から学校が始まる雛子が、子供の頃のおにいたまとの思い出を回想する、最後におにいたまに自分の気持ちを伝えるという構成。
雛子のキャラコレにあった、子供特有のウザさみたいなのはまったくなく、雛子の可愛さに全振りなので、安心して読める内容となっています。


雛子を肩車するおにいたま。
子供って肩車大好きですよね。

雛子のおにいたまに対する気持ちは、無邪気そのものですね。
大きくなったらおにいたまのおよめさんになると言っていますが、実際に大きくなって現実を知ったら、雛子も可憐や咲耶のように悩むのでしょうか? それが原作で描かれることはないでしょうが、描かれないことによって、可能性は受け手次第で無限に広がる。それがシスプリという作品の魅力の一つだと思います。

鞠絵

鞠絵からの手紙は、療養所で過ごす鞠絵の話、夢の中での兄上様との邂逅、最後に兄上様に自分の気持ちを伝えるという構成。

夢の中の鞠絵は、いつもより大胆で、兄上様とのキスシーンらしきものもあります(最後までは描かれませんが)。
他の妹は、思い出などで兄と直接会っていることが多いのに、鞠絵は夢の中でというのがちょっと悲しいですね。


兄上様とのツーショット。
白いコートを着てポーズを決める兄上様、イケメンですな。

鞠絵は病気で療養しているという設定がありますが、いつか病気を治して兄上様に会いに行きますと考える鞠絵の気持ちとは裏腹に、病気が治って元気になるという未来は、原作では描かれないんですよね。
もちろん、将来的には病気も治っていつか元気になるとは思いますが、未来が描かれないというシスプリの特性ゆえに、いつまでも病弱のままという鞠絵は、シスプリの特性の恩恵を受けられないという意味で、なかなか気の毒な妹ではあります。

そんな鞠絵だからこそ幸せにしたいという兄上様たちがいるのが救いでしょうか?

白雪

白雪からの手紙は、ウェディングケーキを作るお手伝いをした時の話、にいさまとの結婚式を想像する白雪、にいさまを諦めないと誓う白雪という構成。


真っ白なウェディングドレスを見て感激する白雪。
ウェディングドレスは、やっぱり女の子の憧れなんですね。

白雪は、兄妹だからにいさまとは結婚できないとちゃんと理解しているんですよね。
そのことを悲しく思う白雪ですが、決して諦めず最後は「にいさまの花嫁さんの席はだーれにもわたしたりなんかしないんですの」と力強く誓っています。

可憐や咲耶とは、また違った強さを持っているのが白雪という妹ですね。

鈴凛

鈴凛からの手紙は、アニキのために人工降雪機を作っている鈴凛、幼稚園の頃のアニキとの雪の日の思い出、アニキが来るのを楽しみにしている鈴凛という構成。


冷たくなった鈴凛の手を温めてくれるアニキ。
シスプリの兄は、容姿も妹に対する接し方もイケメンなのがいいですね。
シスプリの女性人気が高いのは、こういうところにもあるのでしょうか?

鈴凛という妹は、シスプリの妹たちの中で、一番現実にいそうな感じがする妹ですね。
他の妹と違って、あまりベタベタしてこないですし、アニキに対する好意の度合いや距離感も本当に普通の妹です。

その普通っぽさと地味な見た目が災いしたのか人気はイマイチですが、個性的な妹がたくさんいると、こういう鈴凛の普通さが、逆に貴重に見えてきたりもします。
縁の下の力持ち、それが鈴凛という妹なのかもしれません。

千影

千影からの手紙は、神社で不思議な体験をする千影、どこかに行ってしまいそうだった千影をひきよせる兄くん、兄くんを我が手に納めてみせると誓う千影という構成。


千影の頭に手を置く兄くん。
あの千影に付き合える兄くんは、なにげに凄いのかもしれない。

千影は、兄妹であるということをほとんど気にしていない妹なんですよね。
もちろん、世間の常識として兄妹で結ばれるのが一般的ではないということは理解しているようですが、千影には他の妹たちにはない前世の記憶というのがあり、兄と自分が結ばれるのは前世からの運命で当然のことだと信じているので、世間の常識など、どこ吹く風といった感じです。

今回の話では、千影が兄くんを引きよせているのではなく、兄くんのほうが千影を引きよせているという描写もありますし、兄くんが永遠にわたしの半身であるというのも、単なる千影の妄想ではなく、本当のことであると示唆もされています。

他の妹たちの場合、将来兄と結ばれるというのはあくまで単なる願望や希望的観測に過ぎないのですが、千影だけは前世の記憶や運命という根拠があり、そこが他の妹たちに対して千影が持っている最大のアドバンテージですね。

春歌

春歌からの手紙は、クラスメイトのさやかちゃんに兄君さまの素晴らしさを話したら興味を持たれてしまう、兄君さまと楽しそうに話すさやかちゃんに春歌がヤキモチを妬く、当分彼女なんていらないかなという兄君さまの言葉に感激して抱きつく春歌という構成。
さやかちゃんが、完全に当て馬のおじゃま虫でちょっと可哀想。

今回の春歌の挿絵は、他の妹たちと比べてどうにも不安定です。


全体的に春歌がふっくらし過ぎているのですが、これなんて特に酷い……。


この春歌も肩幅がガッチリし過ぎていて男性の体つきみたいです。

春歌は兄妹で結婚できないという事実を理解しているのかどうか、判断が付きかねる妹です。
年齢を考えると当然理解しているはずなのですが、春歌からはそんな素振りがちっとも見られません。
春歌は外国育ちということもあって、少々ずれているところがありますし、その辺りにうといのでしょうか?

四葉

四葉からの手紙は、靴をピカピカに洗う四葉、兄チャマの行動をチェキした秘密メモを失ってしまい兄チャマの1週間の行動を頑張って思い出す四葉、思い出すうちに兄に会いたくなって兄に手紙を出すという構成。


八重歯がとってもキュートな四葉
咲耶はウインクがよく似合う妹ですが、こうして見ると四葉もなかなか。

木曜日のお泊まりの日のところに、サラッとお風呂も一緒と書いてありますね。
なぜそこを挿絵にしてくれなかったのか……。

キャラコレで描かれていましたが、イギリスに住んでいた頃、周りに馴染めず孤独を感じていた四葉は、遠く離れて暮らしている兄チャマに強い憧れを抱いており、日本に来てからは離れていた分を取り戻そうと一生懸命兄チャマのことを調べようとしているところが健気で可愛いです。

四葉はよく兄チャマに対して大好きと言っていますが、恋愛感情というよりは、純粋に家族として兄チャマに懐いているような印象を受けますね。
四葉はまだまだお子様なところがありますし、ある意味雛子よりもその手のことに遅れているのではないかと心配になります(笑)。

亞里亞

亞里亞からの手紙は、おふねに乗る亞里亞、無くしたはずの宝石箱を池で見つける、兄やにあげるお菓子を作って会いに行くという構成。


じいやさんは相変わらず美人ですね。
ここの亞里亞の顔太ましくないですか?
特に首周りがヤバい……。

亞里亞の兄に対する感情も四葉と似たようなところを感じますね。
亞里亞は両親が不在がちのようですし、学校にも行っておらず、大きなお屋敷で寂しい思いをしていたのではないでしょうか?
そんな時に兄の存在を知り、慕うようになります。

亞里亞は兄に対し、自分を甘やかして守ってくれる保護者的な存在を求めているように僕には思えますね。
もちろん、ただ守ってもらうだけでなく、自分の大切なものを兄に上げたりという健気な部分もありますが。

Heavenly Letter

最後の手紙は可憐ちゃんによるものですが、挿絵は妹たち全員分あります。


これでイラストストーリーも終わり。
シスプリのG'sでの連載が終わった当時は本当にショックでしたが、シスプリ20周年を記念してVTuber可憐プロジェクトとしてシスプリが復活し、今でもこうやって古参や新参のお兄ちゃんたちと一緒に、毎週シスプリのコンテンツを楽しめる日がやってくるとは、人生わからないものです。

連載を終えて

天広先生と公野先生によるあとがきです。

連載が終わっても、妹たちが突然いなくなるわけではなく、ずっとずっとお兄ちゃんたちへの想いを抱いたまま、彼女たちの世界で生き続ける。
そんな妹たちを末永くよろしくお願いしますと言ったような趣旨のことが書いてあるのですが、シスプリという作品の本質は、まさにこれに尽きると思いますね。

実際、連載開始から20年経ってもいまだに多くのお兄ちゃんたちによって12人の妹たちは愛されており、現在進行系でイラストや二次創作なども作られていますし、素晴らしい原作があり、それを支えるお兄ちゃんたちの愛によって、シスプリというコンテンツは成り立っているのだなと、あとがきを読んで改めて感じました。

あとがき

このシンシアリー・ユアーズは、イラストストーリーシリーズの最終巻にあたるのですが、最後は兄妹1対1という関係のシスプリの原点に帰ってきましたね。

妹たちによるお兄ちゃんへの手紙という形で、妹たちのお兄ちゃんへの気持ちが語られ、それを彩る描き下ろしイラストも豊富です。
天広先生のイラストは絵柄が少し変わってしまい、ちょっと不安定なところもあるので、個人的にはオリジナルストーリーズの頃の方が好きですが、それでもやっぱり妹が可愛いことには変わりありません。

シスプリの原作に触れるなら、キャラコレ(全部揃えなくても、好きな妹だけでもいいと思います)オフィシャルキャラクターズオリジナルストーリーズ、そしてこのシンシアリー・ユアーズは確実に押さえておきたいですね。

VTuber可憐がきっかけでシスプリに興味を持ったという人は、まず上記の4つから入り、そこからアニメやゲームなどの派生作品に行くのがお勧めです。

jitsumai.hatenablog.com