作品情報
『シスター・プリンセス』の原作者である公野櫻子先生による描き下ろし小説。全12巻からなる『キャラクターコレクション』のうちの1冊で、千影視点の独白形式によるエピソードが7編掲載されています。
千影について
名前 | 推定年齢 | 一人称 | 兄呼称 |
---|---|---|---|
千影 | 14~16歳 | 私、ちか(幼少時) | 兄(あに)くん、あにくん(幼少時) |
身長 | 誕生日 | 星座 | CV |
157cm | 3月6日 | 魚座 | 川澄綾子 |
無口で神秘的な雰囲気を持つ妹。
魔術やオカルトに通じていて、よく兄を巻き込んでいる。
なにを考えているのかよくわからないところがあるが、兄のことは好きらしい。
感想
1 金色の果実
リピュアの千影のキャラクターズパートの元になったお話。
アニメで見てもよくわからなかった話ですが、原作を読んでもサッパリわかりません。誰か解説してください。
こんな時の兄くんには…………なにを言ったってムダなんだ…………だって…………「禁断の果実を摘みに、ちょっと隣の世界まで…………」なんて言ったって…………きっと、目を丸くするだけだろう? だから、暴れる兄くんの手首をつかんで…………引っ張っていくのさ。そう…………私達が進んでいく行く手にあるのは…………街外れの黒い森…………。
困惑する兄を無理矢理連れ出す千影。
兄の意思は無視ですか……。
2 2人の千影
病気で寝込んだ千影を治すためにメセトラの葉を手に入れようとする兄が、過去の千影に助けられるお話。
電波な千影の言動に真面目に付き合ってあげる兄は偉いなぁと、感心しました。
4 闇の光り
千影の前世の記憶のお話。
「お前がそんなに想っている人は、いったい誰なんだい? 大切な妹の幸せのために……よければ私から父上に話して、いいように計らってやろう……」
でも、それを聞いた私の目からは…………たまらず涙がポロポロとこぼれ落ちて…………。
「私が想うのは…………あなただけ…………そんな…………悲しいことを言わないで…………」
そう言うと、兄くんに抱きついて…………。
すると驚いたことに兄くんも…………そんな私を優しく…………受け止めてくれたんだ。そして、そのまま幾日が過ぎ…………夢の中の兄くんと私はついに…………誰にも秘密に…………結ばれた…………。それはたとえ夢の中だけでも…………たとえようもなく幸せな気分。
前世で結ばれた兄妹。
この「誰にも秘密に…………結ばれた」の解釈は「二人だけの結婚式」という意味なのか、「肉体関係」的な意味なのか……ここだけでは判断が難しいですね。
「お前達2人は、兄妹だというのにこの現身の体で結ばれた……。それというのも、今よりももっと昔の前世で、やはり兄妹として生まれながら、夫婦として契った罪によるのだ……。どうやらお前達には切っても切れない深い業がある。だが、この先何度の転生を繰り返そうと、もう2度とふたたび、2人が結ばれることはないであろう。そしてまた、2度とふたたび……兄妹として生まれ落ちることも……」
戦争で亡くなった兄の後を追って自殺を図った前世の千影の前に現れた、天使のような悪魔のような禍々しい生き物。その生き物が告げるには、今回だけでなく、その前にも兄妹で結ばれたことがあったようです。この文脈からすると結ばれたは「肉体関係的なもの」という意味のようですね。あるいは両方かも。
兄くん…………予言はあてにならなかったね。私達は現世で…………こうしてようやくまた兄妹に生まれることができたんだ…………。…………この機会を逃がしはしないよ…………ね、兄くん…………。
何があろうと諦めない千影。
ちょっと怖いですが……。
5 千の傷あと
キューピッドの矢のお話。
それと…………もっと恐ろしいことがある…………。そう…………もしも、兄くんが…………違うキューピッドの矢を…………私ではない者との愛を…………授けられてしまっていたとしたら…………?
ダメだよ…………許さない。…………そんなこと、絶対に許さない! もし、そんな間違いを犯したキューピッドがいたとしたら…………世界中のキューピッドを追って、必ずそいつを見つけだして…………。
兄が自分のことを妹としか見ていない理由が、キューピッドにあるのではないかと疑う千影。
ヤンデレっぽいですね、キューピッドさん逃げてー!!
「兄くん…………ここに座って…………」
「ここになにか?」
「しっ! いいから少し黙って…………」
もう…………あんまり騒いだら…………キューピッドが逃げてしまうかもしれないじゃないか…………まったく、兄くんは…………。
…………フフフ。…………私がなにも言わないから…………隣で何やらジレている人が…………いるみたいだね…………。でも、ダメだよ…………兄くん。…………言えるわけないじゃないか…………兄くんにキューピッドの矢が当たるのを待っている…………なんて…………。
なんにも知らない兄を自分の都合で振り回す千影。
お兄ちゃん、頑張って!
6 小さい王様と3つの願い
千影が小さい頃の不思議なお話。
千影が助けた小さい王様が、千影の願いをなんでも3つ叶えてくれることになったのですが、
「3つもいらなくて…………1つでいいから、あにくんをちかのものにしてください!」
ところが王様は…………なんて言ったと思うかい…………?
「……そーゆーのはダメじゃ!」って…………。
なんでもって…………言ったくせに…………。
でもその後も、一応はいろいろ言ってみたんだ…………「あにくんとずっとずっといっしょにいられるようにしてください」とか「あにくんがもっともっと、ちかのことスキになるようにしてください」とか…………。
でも、そのたびに王様は「ダメじゃ! そーゆーことはかなえられないことになっとる」の一点張りで…………。
融通のきかない王様。
子供のころの千影は年相応に無邪気で可愛いですね。
ちかという一人称も良い。
ねぇ、兄くん…………。やっぱり…………あの玉は本物だったんだよ…………。知っているかい? だって…………フフフフ。そう…………だから今だって、いつだって…………兄くんの生活は、私がすべて…………見守っているんだからね…………。
普通に怖いです……。
7 キミを手に入れる薬
いつも身につけているクロスを無くした千影が、兄が見つけてくれたクロスに付いた血を利用して、兄を手に入れようとするお話。
そう…………そうだよ、兄くん…………そうして…………私に…………ついてくればいいんだ。そうすれば…………今夜は私が、素晴らしい…………2人だけの世界へ…………連れていってあげる…………。もう少しだけ…………待っていて…………。
そして私は…………急いで自分の部屋へ戻ると…………兄くんの血の付いたクロスを…………泡立つ碧のゴブレットに溶かして…………飲み干したんだ…………。今夜の2人のためにね…………。
「兄くん…………永遠に…………私のモノになれ…………」
兄をモノ扱い……どうも千影は、兄に対して上から目線なところがあるのが気になります。
まとめ
シスプリの妹たちは時に電波と呼ばれたりしますが(特にゲーム版の妹たちは酷かった……)、その中で一際強い電波を放つのが千影です(今なら電波よりも厨二の方が通りがいいですかね?)。
前世の記憶を持ち、怪しい黒魔術に傾倒し、人には見えないものが見える千影は、前世からの繋がりを持つ兄を手に入れることに執着しています。
僕は前世とか転生という設定が好きじゃないので、千影にはイマイチハマれなかったですね。
兄の迷惑を顧みず、ロクに説明もしないまま兄を振り回す千影は、どうにも好きになれません。ビジュアルだけは綺麗で好みなんですが……。
jitsumai.hatenablog.com