作品情報
タイトル:ココロの住処
ブランド:Yatagarasu 作品ページ
ジャンル:ココロ温まるココロに響く恋愛コメディ・アドベンチャーゲーム
発売日:2010年4月23日
販売価格:8,800円(税別)
あらすじ
公式サイトのストーリー参照。
システム
かなり問題有り。
右クリックでウインドウが消せない(メッセージウインドウの×を押すしかない)。
キーボード操作がESC(ゲーム終了)、Ctrl、スペース(メッセージ送り、押しっぱなしで未読強制スキップ)しか対応してない。
右クリックで呼び出せるシステムメニューの表示に時間がかかる。
メッセージスピードを最速にしても瞬間表示が出来ない。
画面エフェクトを切る機能が無い。(左クリックでエフェクトスキップは可能)
スキップがエフェクト表示で引っかかる感じで、微妙に遅い。
お世辞にも快適にプレイ出来る環境とは言えないです。
エロゲをプレイするのに快適なプレイ環境は当たり前という時代に、よくもここまでシステムがひどいゲームを作れるものだと、逆に感心してしまいました。(皮肉じゃなく、本気でそう思っています)
妹について
名前 | 年齢 | |
---|---|---|
真崎 璃奈(まさき りな) | 兄の1つ下 | |
一人称 | 兄呼称 | |
あたし | ちー兄(に)ぃ、コイツ、バカ兄(にぃ)、おにーちゃん | |
身長 | 体重 | スリーサイズ |
不明 | 不明 | 不明 |
CV | 原画 | シナリオ |
鈴音華月 | TEL-O(テルオ) | 煌 太郎(きらめき たろう) |
備考 | ||
左利き |
主人公の実妹。
学生。
兄と姉とは一緒の学校に通っていて、バドミントン部に所属。
しっかり者で兄に対しては強気だが、他人に何かを言うのは苦手。
お姉ちゃん大好きなシスコン。
料理は不得意。
シスコン(妹)で変態な言動を繰り返す兄のことは本気でキモいと思っていて、兄への態度はとても冷たい。
根は家族思いで優しいので、兄がおかしな事さえしなければ普通に接してくれる。
「ちぃー兄(にぃ)!!! おねーちゃんに何してるのっ!!」
「ちょ!! ちょっと、ちー兄(に)ぃ、勝手に夢の中であたしと変なことしないでよ!」
「……最っ低ー、しんじらんない! 変態! クズ! 消えちゃえバカ兄(にぃ)!」
兄について
主人公。
学生。
家族構成は両親と姉、妹の5人家族。
両親は健在だが、仕事が忙しく家を空けがちで、普段は姉兄妹(きょうだい)三人で生活している。
変態レベルのシス(妹)コン。
妹が好き過ぎるぐらい大好きで、妹に対しての言動はナチュラルに狂っている。
兄のシスコン発言集 ()カッコ内は心情
(俺は妹が大好きだ。アイツの姿を思い浮かべるだけで、俺はもう色々な何かを迸らせてしまうのではないか、と言うくらい好きだ)
(妹よ、兄をそんな目で見るな。感じちゃうではないか)
(早く、あんなことやこんなことをしてくれ、璃奈、お兄ちゃんは頑張って起きずに待っているぞ〜)
「可愛い妹よ、大好きなお兄ちゃんが今帰ってきたよ〜」
「ありのままだってば、この気持ち、もう、毎日でもどこでも、いつでも璃奈と一緒にいたいと思ってるんだ」
こんな兄ですが、妹以外に関してはわりとまとも。
妹だけでなく姉にも優しく、家事もちゃんと手伝うなど姉妹思いだったり、親友の恋路を応援するなど、いいところもちゃんとあります。
基本的にはバカで怠惰な性格ですが、決めるところはキッチリ決めるタイプ。
僕はこの兄が大好きで、とても気に入ってます。
シナリオ
プレイ時間は大体共通が4〜5時間、璃奈ルート2〜3時間ってところでしょうか?
良く言えばお手軽、悪く言えばボリュームは少なめ。
共通ルートは普通?の学園生活が続くんですが、テキストがかなり面白かったです。
兄が妹に対してキモい言動をして嫌がられ、ブラコンな姉に優しくたしなめられる、ココロとのやり取りでは毎回淡々と毒舌を浴びせられる、妄想癖の激しい幼馴染のかえでに引く、教室や廊下でいきなり上着を脱ぎだす賢正。こんな感じのキャラ同士のやり取りはとても楽しめました。共通がここまで笑えるゲームは、久しぶりにプレイしましたね。
気になったのはこのゲームは全体的にイベントがやけにあっさりしてる事です。
璃奈が風邪をひく、璃奈の部活を見に行く、姉妹と一緒にお弁当を食べるなど、普通はもっと盛り上がったりするようなイベントが、大した描写もなくさっさと終わってしまい、肩透かしをくらったような気分になることがしばしばありました。どうでもいいイベントならともかく、聖夜祭、卒業式、兄の誕生日、文化祭など重要そうなイベントまであっさり終わるのは、さすがにどうかと思いましたね。
ちなみに共通ルートでの璃奈はまったくというほどデレてくれません。
ひたすら姉のことばかり考えていて、兄のことはキモがり邪魔者扱いされてウザがられます。
これはツンツン妹好きの僕でもさすがにキツかったです。多少は嫌われているだろうなとは思ってましたが、まさかここまでとは予想外でした……。(まあ、ほとんどは兄の言動に問題があるので仕方ないんですけど)
璃奈ルートに入るとようやく兄が兄らしいところを見せ始め、璃奈の兄に対する態度も少しずつ軟化していきます。ここまでの璃奈の態度があまりにキツかったので、些細な変化でも妙に嬉しく感じられる辺り、上手いなと思いました。
兄に優しくされる内に嫌悪が好意に変わっていくという璃奈の心情の変化も、璃奈視点を使い丁寧に書かれていて、感情移入しやすかったです。(反面、兄の心情はおざなりという欠点もありますが)子供の頃の思い出を上手くシナリオに活かしているのも良かったですね。
璃奈ルートで一番印象に残ったのは何と言っても璃奈の告白シーン。このシーンのカタルシスは凄い。「今までの璃奈の態度のすべては、この瞬間の為にあった!」と思えるぐらいの強烈なシーンでした。このシーンは何度も見てニヤニヤしてます。
残念ながらこのシーンがピークで、結ばれてからの兄妹のイチャイチャは短いし、EDは見事に投げっぱなしなんですけど、そんなことは些細なことだと思えるぐらい、このシーンのインパクトは凄かったです。
親バレ、周りバレ
ネタバレなので隠します。構わない人は反転して読んでください。
あります。姉の嫉妬から来た告げ口によって両親に二人の関係がバレ、反対されます。かなりシリアスな雰囲気になるのですが、勿体無いことにシーンがあまりに短すぎる上に、あっさりと解決してしまうので拍子抜けです。
実は姉の茉梨ルートでも親バレがあるのですが、こちらの方が遥かにいい出来です。母親には姉に手を出したことを罵倒され、妹の璃奈にも最低と言われます。お互い引き離されてしまったあげく、姉には関係の終わりを告げられて落ち込む兄。そこから立ち直り、周りと協力して最終的には親に二人の関係を認めさせる。短くて多少ご都合なところもありますが、まさに理想的な親バレ展開。「なんでこれを妹の璃奈の方でやってくれなかったのか?」と歯噛みしたくなるほどの出来でした。
禁忌、背徳描写
あまりないですね。
兄は「妹が大好きで何が悪い?」って感じですし、璃奈の方も兄を好きになった事に悩むというよりは、嫌いだったはずの兄を好きになっている自分に戸惑うという気持ちの方が強いです。璃奈シナリオは親バレですらサラっとした描写ですし。
ココロについて
プレイ前はココロ無双なゲームかと思ってましたが、思ったほど出しゃばらず、自然とそこにいるという感じでした。
しかし、ココロの存在はこのゲームにおいてとても大きいです。各シナリオの要所要所で出てきて、重要な役割を果たしてくれます。
クールで毒舌な性格と相まって、とてもお気に入りのキャラです。
アドバイスとしては、ココロはなるべく最後に攻略するのがお勧め。ココロだけEDが12話の選択肢で分岐するんですが、選択肢は上→下の順番で選びましょう。気持ちよくこのゲームを終わることが出来ます。間違ってもかえでを最後にするなどという愚は犯さないように。
賢正について
個人的に感心したのが主人公と友人の賢正との関係。
エロゲの主人公の友人役というのは大抵が主人公の引き立て役で、女の子にバカにされたり、キモがられたり、変態で主人公からも冷たく扱われる、などという役回りが多かったりするんですが、このゲームはちょっとおかしな言動をする賢正に対して、主人公が偏見無く友人として接しています。
賢正自体もすごくいい奴ですし、ヒロインのルートによっては賢正が主人公の悩みを聞いてくれたり、お互い助け合ったりします。同性との友人関係がここまで心地よいエロゲは珍しかったです。
まとめ
「ココロ温まるココロに響く恋愛コメディ・アドベンチャーゲーム」という看板通りの作品。
特に姉兄妹や家族の描写が上手かったですね。
姉兄妹や親子で似てる性格や容姿、「もうもう」や「うんうん」など繰り返しを多用する姉兄妹共通の口癖、仲が良い姉兄妹の絆、たまに帰ってくる両親との遠慮のないやり取り、普段はふざけていても締めるところはキッチリ締める父親、ちょっとどころか、かなりウザイ母親、アンドロイドであるココロを何の違和感もなく自然に家族として受け入れる真崎家の面々。
こういった様々な要素が重なりあって「家族」というものをきちんと描けているのが良かったです。
妹の璃奈については中盤までの態度は本当にキツイんですが、そこを耐え忍びルートに入ってさえしまえば、かなり可愛くなります。素直になれない妹が好きな人にはいいんじゃないでしょうか? 僕はこういう妹が大好物なのでとても気に入りました。
最後に
今回のレビューは意図的に妹以外のことも多めに書きました。理由は他の人のこのゲームに対する感想やレビューを読んで、どうも低く評価されすぎていると思ったからです。
確かにこのゲームはエロゲとしては欠点が多いし、決して優れた作品とは言えません。
でも僕は「絵がキレイで女の子が可愛く、エロも頑張ってて話もそれなりに面白い、特別すごい所はないんだけど、どの要素も上手くまとまっていて、点数でいえば70〜80点ぐらい」などという平均点な萌えゲよりは、例え欠点が多くとも、何か一つ強いテーマ性を持ったゲームの方が好きです。
『ココロの住処』という作品からは、古き良きエロゲの匂いがします。過去の美化やノスタルジーと言えばそれまでですが、どこか懐かしい。スタッフロールや公式サイトでのお遊びといい、昔のアリスソフトが持っていた楽しさや自由さを感じました。そういう雰囲気が僕はとても気に入っています。
妹を含めた家族や友人との関係が心地よい、ココロ温まる良作
お気に入り度(10点満点) 9