作品情報
- 作者: 磯谷友紀
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2014/07/16
- メディア: コミック
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一人っ子が当たり前であり、二人目である妹や弟の存在が忌み嫌われる世界で、兄妹、姉弟、姉妹、兄弟それぞれの関係を描いた短編集。
#1 クロエとコラン (兄妹モノ)
#2 シックとアリーズ (姉弟モノ)
#3 三姉妹 (姉妹モノ、恋愛描写なし)
#4 兄弟 (同性愛描写はあるが、兄弟の恋愛描写は無し)
#5 兄弟2 (上に同じ)
#6 はじまりの日 (#1の前日譚)
Extra 後日譚
感想
この感想では#1と#6に出てくるクロエ(妹)とコラン(兄)について書いていきます。
この作品の舞台は妹や弟の存在が忌み嫌われているという世界です。
もし、その存在が周りに知られたら差別を受けてしまい暮らしにくくなるので、二人目が生まれてしまった場合、周りに知られないようにひっそりと子供がいない家の養子に出されることになっています。そういう世界なので、登場人物は兄弟姉妹がいることを周りに隠そうとする人が多いです。
妹であるクロエもその一人。
それまで自分に兄がいるなんて夢にも思っていなかったクロエですが、同じ学校に通うことになったのを期に、母親から間違いがないようにと子供の頃に養子に出された兄の存在を知らされます。(本来なら妹のクロエが養子に出されるはずですが、兄のコランは足が不自由だったため、養子に出されたようです)
母親からは兄に近づかないように言われていて、クロエ自身も兄という存在を忌み嫌っていましたが、兄であるコランの方はずっと妹に会いたがっていてクロエに近づいてきます。
実際に会ってみると、不思議に兄のことが気になり始めるクロエ。
そういった自分の気持ちを否定しながら、周りにはコランが兄であることを隠して過ごしていたのですが、コランはクロエに近づくためにクロエの友達であるアリーズと付き合い始めます。
クロエのコランに対する気持ちはちょっと歪んでいて、足の不自由なコランを踏みつけにして痛がる顔を見て快感を覚えたり、キスをしたり。
二人の関係はお互いの親に知られてしまい、間違いが起こる前にとクロエは結婚させられることに。
お互い、結婚はしても血の繋がりを信じ、離れないと約束する二人。
兄妹のその後がどうなったのかは語られません。
#6はクロエとコランが学校で出会う前のお話。
養子に出されたコランが、子供の頃のクロエに会い惹かれるきっかけになった出来事を描いています。(妹に頭を撫でられてよしよしされるシチュって萌えるよね? ね?)
まとめ
世界観もそうですが、兄妹が二人の関係を主従関係と称したりといわゆる「普通の兄妹モノ」とはちょっと違う感じのある作品。
結末はハッピーエンドとは言えないし、切ない系の話なので、読んでて面白いかと言われると微妙なんですが、生き別れの兄妹がお互いに惹かれていく描写は背徳感もあって丁寧ですし、キスシーンもあって、個人的にはわりとお気に入り。
一風変わった兄妹モノが読みたいという人はどうぞ。