桐乃の告白は開始30秒であっさり終了。
桐乃が恥ずかしがる表情は良かったんですが、京介に引かれてショックを受ける描写は微妙だし、
「バカ! このバカ!『俺はシスコンだぁ――』って、あんなに大声で叫んだくせに! しかも人前で!」
という桐乃の台詞はカット。
やっぱり二期はダメだ……と思ったのですが、ここからの展開は素晴らしかった。
桐乃をプロの専属モデルとしてスカウトして、外国に連れて行きたいという話を断るために、桐乃の偽彼氏として振舞おうとする京介。「50万出すから桐乃と別れて欲しい」という藤真社長の提案に対し、一瞬心を動かされ桐乃に肘鉄を喰らいながらも
「金の問題じゃないんすよ、なぜなら俺は桐乃を愛しているから!」
と桐乃の肩を抱きながら言い放つ京介。
ここでの桐乃の表情はいいですね、しかもわざわざアップで強調。
この後の自宅での藤真社長との会談の反省会がカットされたのは残念ですが、尺の都合もあるし、仕方ないでしょう。
桐乃に恋人がいると言っても諦めない藤真社長をちゃんと諦めさせるために、偽の恋人として偽装デートをし、らぶらぶっぷりを見せつけることにする高坂兄妹。色々不自然なのは気にしない。
「おっ、おまたせっ」
「別に待ってねえよ。」
「あの……さ。あんたのこと……今日は、“京介”って、呼ぶから。その方が……恋人っぽいじゃん?」
「か、勝手にしろよ」
もう、本当に勝手にしてください(笑)
デートスタートということで、京介と腕を組もうとする桐乃。
この嬉しそうな表情(笑)
突然の事態にうろたえる京介と麻奈実と違い、桐乃のこの余裕の表情。
幼馴染など相手にならんよ。
今度は喫茶店で休憩しようとしたところで、加奈子とブリジットちゃんに遭遇。
この二人は詳しい事情を知らないので、兄妹を恋人同士だと勘違いしています。
桐乃がカップル用のパフェを頼もうとする描写は欲しかったですけど、尺の都合(以下略)
ブリジットちゃんの「あ、あのっ……お二人はこいびと同士なんですよね? お互いのどこを、好きになったんでしょうかっ」という質問に対し、
「それとぉ……こいつ、あたしのコト、なんかめちゃくちゃ好きみたいで」
出たーっ! 桐乃さんの、演技という建前を生かしたスーパー告白タイムだ!
今度は京介の番。
「俺は、おまえがいつも一生懸命なところが、好きだよ。色んなもんに興味持って、好きになって、それぞれに全力を尽くしてさ、そういうところがスゲエって思う」
京介の言葉を嬉しいと思う反面、妹としてしか見られていないことを残念がる桐乃の心境をしっかり表現していますね。
あくまで兄として妹を見ている京介とそれ以上の感情を持つ桐乃の気持ちのすれ違いが、このわずかなシーンに凝縮されています。
この桐乃の「分かった」と、加奈子の「……でもさー……なーんかぁ……恋人って感じじゃなくね?」という台詞は、非常に大事な意味を持つ台詞なので忘れないように。
恋人と兄妹の違いというのがポイントです。
これらが理解出来れば、なぜこの後、急に桐乃がふて腐れた態度を取り始めたのかが分かるはずです。
兄妹のラブラブツーショットプリクラ(笑)
この重要アイテムの存在が、スルーされなくてホッとしました。
ここでの桐乃の嬉しそうな表情と、京介が腕を差し出して、自然に腕を組むのは原作にないオリジナルシーンで、8巻の高坂兄妹ならともかく、この時点での兄妹仲では不自然な描写だと個人的には思いますが、そこは解釈の違いということで。
「あたしたち、いまデェ〜トしてるとこだから! もう行くねっ?」
驚く黒猫を尻目に、どや顔で自分たちの状況を説明する桐乃さん。
原作では、兄妹が黒猫の落とした小銭をちゃんと拾ってあげるんですが、なぜかアニメでは無視して行ってしまいます。ちょっと可哀想な捨て黒猫さん。
デート終了後、何とか藤真社長が諦めてくれたことにホッとする兄妹。
ここで桐乃がデートの内容に関して文句を呟きだし、それに京介が反論するのですが、もはや完全にバカップルの痴話喧嘩(笑)
しかし、「そういうのはなあ、兄貴じゃなくて、おまえの彼氏に言ってやれ! もう彼氏役なんざ二度とごめんだね」という京介のデリカシーのない発言で、色々と台無しに。桐乃に平手打ちをされて「バカじゃん!」と言われてしまいます。
このシーンで桐乃の表情を見せないのが上手い。
表情を隠すことで、桐乃の怒りの深さを表現していますね。
「もういい。次からは、本当の彼氏に頼むから」と桐乃が爆弾発言をしたところでAパート終了。
ここからしばらくは、京介お兄ちゃんのシスコンタイム。
黒猫との下校時に「なぁ、桐乃に彼氏って――いると思うか?」と不安げに質問する京介。
桐乃を自宅の階段で待ち受け、夏コミで皆で一緒に同人誌を作ろうという話を必死にする京介。
しかし、桐乃はあまり興味が無さそう。
「どこ行ってたんだ?」という京介の質問にも「……あんたに関係なくない?」とつれない返事。
階段を登って自分の部屋に行こうとする桐乃に対し、思わず腕を掴み、引き止める京介。
痛がる素振りを見せる桐乃を気遣う余裕もなく「お前……その……本当に……彼氏、できたのか?」と質問する京介。
妹に彼氏が出来たのか気になって仕方ない京介お兄ちゃん、必死過ぎる(笑)
腕をさすりながら、「……超痛かった」という桐乃に対し、
「わ、悪かったよ。……ホントは仲直りしようと思ってたんだけどな。……いや、好きにしてくれ。全面的に俺が悪い」
そんな京介の態度に、すっかりご機嫌になる桐乃。
すっげームカツクんだけど可愛いという桐乃節全開です。
機嫌を治した桐乃は京介に、さっき聞いた夏コミ本の事について黒猫に伝言を頼むんですが、
ちょっと考えて、やっぱり自分で伝えると変更。
極力、黒猫と京介の接点を減らしたいという、桐乃の気持ちがかいま見える上手い演出。
夏コミ当日。
待ち合わせ場所に、いつもの黒服ではなく、白いワンピース姿の白猫さん登場。
この服は実は桐乃が黒猫に選んであげたものなんですが、
それを夏コミで着るため(京介に見せるため)だったことは知らなかったようで、複雑な表情の桐乃。
京介と黒猫の仲良さそうな姿を見て、桐乃が何を考えているのか?
伏線もしっかり張りつつ、最後に謎の男が登場したところで、次回に続きます。
まとめ
今までのグダグダぶりとは打って変わって、非常にレベルが高い回でした。
原作にあった細かい描写を丁寧に拾うだけでなく、原作を補完したオリジナル描写まで入れて、高坂兄妹の微妙な心理を見事にアニメで表現しています。
これを毎回やってくれたら、最高なんですけどねぇ……。
jitsumai.hatenablog.com