『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の伏線を改めて読み解き、「完全なる桐乃エンド」を考察してみた(10巻編、上)

注意

この記事はライトノベル俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を全巻読んでいることを前提に書いています。
おもいっきりネタバレがありますので、未読の方はお気をつけください。

10~12巻の出来事と時間軸

10~12巻の時系列はバラバラで理解しづらいので、3巻分をまとめました。

日付 出来事 原作
10月上旬のある日 両親に桐乃との仲を疑われ、一人暮らしをすることになる 10巻、第一章
翌日の放課後 御鏡と赤城に一人暮らしについて話す 10巻、第一章
上記の2日後 京介のアパートに桐乃がやってきて、冷蔵庫と『押しかけ妹妻』をもらい、賭けをする 10巻、第二章
上記の翌日の放課後 加奈子がアパートにやってきて、桐乃と兄妹ということがバレる 10巻、第二章
上記の翌朝 あやせと黒猫がアパートにやってきて、黒猫に自分の決断を伝える 10巻、第二章
同日放課後 親父がアパートにやってきて、『押しかけ妹妻』を持ってるのがバレる 10巻、第二章
上記後の休日 京介のアパートで引越し祝いパーティ、あやせが京介のお世話をすることに 10巻、第三章
上記の翌日の放課後 あやせに桐乃がフィギュアや妹エロゲーを好きな理由について聞かれる 10巻、第三章
上記の後日の放課後 雨の日に、日向ちゃんが様子を見にやってくる 10巻、第三章
上記の後日の深夜 あやせのファンブログに異変が起こる 10巻、第三章
同日 ブログの異変について赤城や御鏡に相談 10巻、第四章
上記の翌日の放課後 女装した御鏡に遭遇 10巻、第四章
上記の後日の放課後 あやせにエッチな本を隠していたのがバレる 12巻、第二章
上記の後日の土曜日 あやせに『おしかけ妹妻』を隠していたのがバレる 12巻、第二章
上記の翌日の日曜日 アパートに加奈子が差し入れに来て、あやせとの仲を誤解されそうになる 12巻、第二章
上記の翌日の放課後 あやせと買い物に出かけ、フェイトさんから赤ちゃんを預かる 12巻、第二章
11月1日 アパートであやせに踏まれている黒猫を目撃する 10巻、第四章
11月3日 模試当日、あやせのストーカー問題解決 10巻、第四章
同日試験終了後 桐乃と一緒に病院に行く 10巻、第四章
11月のある日 麻奈実と加奈子の話し合い 11巻、エピローグ
上記以降のある日 桐乃が黒猫と沙織に、卒業したら海外に行くことを告げる 11巻、俺の妹がこんなに可愛いわけがない12 プロローグ
上記の翌日 桐乃、黒猫、あやせの話し合い 11巻、俺の妹がこんなに可愛いわけがない12 プロローグ
12月の初め 模試結果発表、京介がA判定を取って実家に戻れることに 10巻、第四章
上記後の休日 京介が一人暮らしを終えて帰宅、部屋が桐乃の私物だらけになっている 10巻、第四章
12月上旬 田村家で麻奈実、京介、桐乃の話し合い、冷戦の真相が明かされる 11巻、第一~四章
上記の後日 京介が櫻井と再会、好きなやつがいると櫻井の告白を断り、自分から告白すると決心する 11巻、第四章
12月のある日(上記のすぐ後) 桐乃をクリスマスデートに誘う 12巻、第一章
上記の後日 アパートの前で、あやせに告白されて断る 10巻、第四章と12巻、第二章
12月20日 京介が黒猫に正式に自分の気持ちを伝え、黒猫を振る 12巻、第三章
12月24日 京介がクリスマスデートで桐乃に告白、高坂兄妹が恋人同士になる 12巻、第一、三、四章
12月25日 黒猫と沙織に兄妹で付き合うことになったと話す、ゲーセンで櫻井に会う 12巻、第四章
とある休日の日の朝 起きたら桐乃が隣で寝ていて、びっくりする 12巻、第五章
正月を過ぎた頃 UDXのライブで加奈子に告白されて、断る 12巻、第四章
とある休日の日の午前中 桐乃と『恋人の儀式』をする 12巻、第五章
卒業式の日 麻奈実と対決、桐乃と結婚式を挙げ、約束通り兄妹に戻る 12巻、第五章
春休み 桐乃と秋葉原に行き、指輪を買ってあげたあとにキスをする 12巻、最終章

第一章

P.12-13
「……京介、あんた……桐乃に変なことしてないでしょうね」
(中略)
「えーと、つまり……俺が妹に、その……エロいことをしてるんじゃねえかって、そういう疑いを持たれてるわけ?」
「げほっげほっ」
となりで桐乃がむせた。
まぁ、そうなるわなぁ。
俺の要約を受けたお袋は、キッと目付きを険しくして、
「そこまでは言ってないけど、そんな発想がすぐに出るってことはやっぱり……」
「わけないでしょ!」
呼気を整えていた桐乃が、キバを剥いて叫んだ。
「な、なんでそんな! マジありえない誤解しちゃってんのお母さん! あ、あああ、あたしと京介がそんな――あるわけないじゃん!」

兄妹の仲を疑う母親に対して、桐乃は動揺しすぎ(笑)
桐乃は本当に嘘が下手ですね。こんな反応では、怪しまれるのも仕方ないです。

P.15-17
「この前なんか、結婚式みたいな格好で帰ってきたじゃない!」
「「原因はアレかあ――!!」
シンクロ絶叫する俺たち。
(中略)
「違うの! アレには超深いワケがあったんだって! この前説明したじゃん!」
「美咲社長からも説明してもらっただろ!?」
「深いわけ……ふーん。しっかり恋人みたいに手を繋いで帰ってきたのにも、理由があるのかしら?」
…………。
「そ、そうだっけ?」
「あ、あたしに聞かないでよ!」
だよな。そんな前のこと、覚えてるわけないって。

母親の更なる追求。
しっかり恋人みたいに手を繋いで帰ってきたというのは、桐乃が否定しないところをみると事実のようですね(笑)

P.17-18
「あと――これも」
「ああっ! そ、それは!」
お袋が人差し指に載せて見せてきたものは、故あって桐乃とデートしたときに撮ったらぶらぶツーショットプリクラだった。
……うん、確かにコレは、誤解を招くよね。
「お袋! ど、どうしてこれを……!」
「どうしてこれをじゃないでしょ? 冷蔵庫に貼ってあったのよ」
「…………」
貼ったの俺っすよ。やっべ。
「こ、このバカッ! だから貼るなって言ったのに……!」
桐乃が真っ赤な顔で叩いてくる。痛いっての。

なぜ、あの後に剥がさなかった(笑)
京介を真っ赤な顔で叩く桐乃を想像すると可愛い。これをアニメで再現しなかったスタッフは(以下略)

P.19-20
「親父からも何か言ってやってくれよ」
親父は『ここで俺に振るんじゃない』とでも言いたげなしかめっ面になったあと、熱いお茶を一口飲んで、溜息を一つ。しかるのちに、ようやく返事をした。
「俺は別に、母さんが言っているような心配はしていない。おまえが桐乃のことを、この家で一番分かっていて、大切にしていることは、よく知っているつもりだ」
さらりとそんなことを言う親父。
俺は顔が熱くなってきて、答えに詰まってしまう。
「………………」
は、恥ずかしいこと言うなよ! 照れるっつーの!
……どうしてそこまで高評価されているのか知らないが――いや、たぶん海外から桐乃を連れ戻してきたことが大きいんだろうけど――
妹を大切にする、なんてのは兄貴にとって当たり前のことで。
いまの俺は、ようやくそれを、言い訳なしでやろうとしているところなんだから。
まだ、そんなふうに褒めてもらえるようなやつじゃないんだ。

京介はなぜか触れていませんが、この父親の京介に対する高評価は、7巻の偽彼氏事件の時に父親の代わりに御鏡にビシっと言ってやったことも大きいのでしょう。

P.20-21
「だがな、京介。一年前のことを思い出せ」
「一年前のこと?」
「ああ、桐乃の――いや、おまえの趣味について、話したことがあったろう」
「――――」
桐乃の趣味――主に『妹モノのエロゲー』が、親父に見つかってしまったときのことだ。
(中略)
親父の言わんとするところを察したよ。
お袋がこんなにも神経質に、俺たちの仲を疑う理由もだ。
一年前、俺を信用して、桐乃の趣味を見逃してやったってのに、その後俺たちがエロゲーみたいな関係になっちまっていたら――そりゃ、シャレにならんわな。
妹モノのエロゲーなんてブツを趣味にしているという時点で、兄妹での恋愛願望があるのだと見なされても仕方がない。
お袋や親父としては、疑惑が出た時点で、超警戒すべき問題だよ。
俺たちにとっては突拍子もない勘違いでも、親たちにとってはそうじゃないんだ。

両親が二人の仲を疑う理由。
個人的にはエロゲーと現実は違うだろと思いますが、まぁ、詳しくない人からすると、疑われてもしょうがないですね。

P.21
「……事情はわかった」
俺は慎重に言葉を選んだ。
「俺としては、お袋の心配は杞憂で、俺と桐乃の関係は至って健全だと主張させてもらう。桐乃も同じ意見のはずだ」
首を曲げて桐乃を見ると、妹は妙に慌てて、
「あ、あったり前でしょ!」
叫ぶやすぐにそっぽを向いてしまった。相変わらずムカつく態度だが、この俺への冷たい態度を見れば、お袋の誤解も多少は弱まるかもしれん。

桐乃からすれば兄である京介に恋愛感情を持っているのは事実なので、京介と同じ意見ではないですね。そっぽを向くのは桐乃が嘘をつくときの癖です。

P.22
「京介、麻奈実ちゃんとはどうなの?」
「あいつとは、そんなんじゃないよ。前からそう言ってるだろ?」
「ふーん」

麻奈実との関係をあっさり否定する京介。
すでに麻奈実ルートはあり得ません。

P.22-24
「京介、おまえは一人暮らしをしろ」
(中略)
「全員の言い分を聞いた上でそう決めた。友人のつてで、部屋の都合をつけた。京介が志望している大学からも近い。いまから周辺環境に慣れておくのも悪くなかろう」
「なにそれ……京介をこの家から追い出すってこと……?」
親父は桐乃の問いには答えず、俺に含みありげな視線を向けた。
「京介――十一月の初めに、おまえの志望大学で模擬試験があるらしいな。
「お、おう」
麻奈実と一緒に申し込んだやつだ。
「A判定を取ってみせろ、そうしたら家に戻ってきてもいい」
俺は、意外な申し出に面食らう。
「…………」
しばし考え込む。
今回の問題における親父のジャッジは、『条件付きで、俺を家から追い出す』ってことか……。
どうなんだ、この処置。仮に俺と桐乃が、お袋が心配しているような関係だったとして、根本的な解決にはちっともなってねー気がする。
えーと、十一月の始めに模試を受けたとしたら、結果が出るのがまあ一ヶ月後くらいか?
ってことは、首尾よくA判定を取ってしまえば、俺は、最短二ヶ月ちょっとの『一人暮らし』を経て、家に戻ってきてしまう。
親父的にはそれでいいわけ? それとも無理だと思われてんの?
うーん……なーんか、別の意図があるのかねえ、と、つい訝しんでしまう。

別の意図に関しては、第四章で明らかになります。

P.329-331
「ところで――俺、A判定取ったけどさ。これであの妙な誤解は解けたわけ? お袋的にはさ」
「妙な誤解って何よ」
「だから――俺と桐乃が云々っつー、あの有り得ない誤解だよ」
そこがいまだに分からねえんだよな。
お袋は、俺と桐乃の仲を疑っていて、それで俺は、このたび桐乃と引き離されたわけだけど。
A判定取ったからって、帰って来ていいの? 俺と桐乃の関係、何一つ解決してなくね?
「ああ。その件ねえ」
お袋は、けらけら笑いながら、オバサン臭い仕草で虚空を掻いた。


「別にあたし、あんたが妹に手を出したなんて、最初から思ってなかったわよ」
(中略)
「最近あんた、妹と仲良くしてるみたいだしさ。ああいう条件を付けて引き離したら、たるんでたお兄ちゃんも、シスコンパワーで勉強頑張ってくれるかしらーって。――お母さんの秘策、大当たりだったわねえ」
(中略)
「それとも、なに? あんたもしかして――ほんとに桐乃と何か、」
「ねえよ!」
なに言ってんだこのババア。いい加減にしろ。
「はぁ……もういい。何もかも、もういい」
力抜けちまった。へなへなとソファに座り込む。

ここですね。
母親の方は、本気で兄妹の仲を疑っているわけではないようです。

P.24
「ええ、いいわよ。――いい、京介? これはあんたのためなんだからね。受験生なんだから。余計なこと考えないで、ちゃんと勉強すんのよ」
があー、うぜえババアだぜまったくよー。
この、理不尽なお袋へのムカツキは、みんなも分かってくれると思う。

ここは、よくある母子のやり取りですね。
年頃の息子なら、京介の気持ちはよく分かるでしょう。

P.25
「まあな、任せとけって」
俺は不敵に応えてみせる。すると桐乃は露骨にいやそうな顔になった。
「……おい、桐乃。なんだその顔はよ」
「……別に」
「俺が気合入れて勉強して、さっさと帰ってくるっつってんのによ。なんか文句あんのか?」
「ふん、張り切っちゃってさ。ばっかじゃないの?」
…………聞いた? いまの台詞。
おまえが責任感じちゃってるんじゃねーかと思ったから、俺はさあ!
内心キレかけていたところに、桐乃は席を立ちながらトドメの一言。
「じゃーね、ばいばい。ずっと帰って来なくてもいいよ」

ここで桐乃が不機嫌な理由は、自分との関係を京介があっさり否定したからですね。
兄に恋するガチ妹な桐乃としては、自分の気持ちも知らずに張り切っている京介の態度が面白くないわけです。8巻で少しは成長したかと思いきや、相変わらず京介は妹の気持ちを理解してないですねぇ……。

P.26
「……悪い話じゃ、ねーよな」
考えてみりゃさ、俺、親からこんなに干渉を受けたのって、生まれて初めてじゃね?
親父もお袋も、昔っからずーっと桐乃桐乃桐乃桐乃で、優秀でも華やかでもない息子の受験なんざどうでもいいもんだとばかり思っていたんだけど。
今回の処置をみると、そうでもないのかも……?
(中略)
――じゃーね、ばいばい。ずっと帰って来なくてもいいよ。
引っ越したら、ムカつく妹の顔も、見なくてすむし。
まあ……すぐ帰ってくるつもりだけど。
一人暮らしお試し期間と考えれば、むしろ楽しみでさえある。
なのに――
「……何故だ……テンション上がらん」
自分でも理由が分からないので、対処のしようがない。困ったもんである。

一人暮らしについて考える京介。
悪い話ではないのにテンションが上がらない理由は、まず「桐乃に冷たくされたこと」が一つ。京介的には内心、桐乃に反対して欲しかったのでしょう。「二ヶ月とはいえ、離れて暮らすのに、お前は全然気にしないのかよ」みたいな。それで不貞腐れているのでしょう。
そして、もう一つは「妹と離れて暮らすのが寂しい」のでしょう。京介はシスコンですからね。これについては、あとで補足します。

P.29
「そんなに嫌がることないのに、素晴らしい乗り心地だったでしょう?」
「乗り心地なんか意識している場合じゃなかったよ」
「なるほど、あのときは妹のためにハッスルしていたから」
「……ふん」
面倒だから、そういうことにしておいてやろう。
「ありがとな、おかげでライブに間に合ったよ」
「僕の『しゅーてぃんぐすたー号』が、君たちの愛に貢献できたのなら、なにより」

ここで御鏡が言う愛は「兄妹愛」じゃなくて「恋愛の愛」でしょう。
御鏡は桐乃の気持ちを知っていて、京介の本当の気持ちにも気づいている節があります。

P.30
俺の申し出を聞いた御鏡は、驚いたように目を大きく開いた。
そして、いまだかつてないほどに真剣な口調で、
「……『妹と結婚する方法』についてなら、『どうにでもなる』というのが僕の結論だよ」

まぁ、事実婚なんてのもありますしね。
法的には難しいでしょうが『どうにでもなる』というのには同意。

P.30-32
『母親に桐乃との仲を誤解されていて、色々あった結果、一人暮らしさせられることになった』という俺の話を聞き終えた御鏡は、何ともいえない微笑を浮かべたまま、
「……なるほど、それで君は落ち込んでいるんだね」
と言った。
「……そう見えるか?」
「落ち込んでいるというか――思い詰めているように見えるよ。京介くんは素直じゃないから、きっと認めはしないだろうけど、愛する桐乃さんと引き離されるのが辛いんだね」
「そんなんじゃねーよ」
つい、ご期待通りの反応を返してしまった。
「妹と結ばれるにあたって、ご両親が反対するであろうことがハッキリしてしまったのも、二人にとっては厳しい材料だ」
「おまえ、俺の話聞いてた?」
なんで俺が妹と結婚したいというのが前提になってんだよ。
「もちろん聞いてたよ。その上でアドバイスをさせてもらえるのなら、君には焦りすぎだよと言いたいね。なんでそんなに余裕をなくしているの?」
余裕がない理由――そっちには心当たりがある。
「そりゃ……いまの状況が、よくねーからだよ」
色んな問題が山積みで――進行方向には、広大で強力な地雷原。
でもってさらに今回は、自分でも分からない理由で落ち込んじまってるときた。

P.26の件の補足。
10巻の時点では、前半部分はネタっぽい会話に聞こえますが、最終巻で京介の気持ちを知れば、ここで御鏡が語っている京介の胸の内は、事実だと理解できるでしょう。京介は御鏡の言うとおり、桐乃への気持ち(や黒猫とのこと)で悩んでいて、落ち込んでいます。

P.42
「俺だって通常ならそう考えるさ! でもこいつ二次元の存在しかも妹キャラしか愛せない変態なんだって!」
「おまえと気が合いそうだな」
「納得するんじゃない! こいつと一緒にすんな!」
俺は隣の御鏡をビシリと指差す。
「そうだね、僕なんか京介くんの足元にも及ばないよ」
「もうおまえ黙ってろ!」
いまの文脈だと、俺がおまえよりも変態として格上みたいじゃないか。

二次元の妹キャラを愛してるだけの自分では、実の妹を愛してしまっている京介の足元にも及ばない。御鏡はそういう意味で言っているのでしょう。

P.47
「いいや、実家は関西にあって、ここには兄と二人で暮らしてるんだ。僕は仕事で海外と日本を行ったり来たりしてるから、そのたびに部屋を借りるのもバカらしくて、兄の厚意に甘えてる感じ」
「へえ……兄弟と、二人暮らし……ね」
そのフレーズが何故か耳に残る。

P.54-55
もちろん現在進行形で親のスネをかじっている俺が、彼に何を言えるわけもない。
けれど、(事情はあるにせよ)弟に養ってもらっている兄を見て……
そわそわと、落ち着かない気分になってきたのは何故だろう。

これらの伏線は第二章で回収されます。

P.69
何故なら俺は――桐乃に養ってもらっているからだ。いまや売れっ子JKモデルである桐乃様は、我が家の生活費のすべてをお一人で稼ぎ出しており、俺の生殺与奪の権利を握る現人神にも等しい存在。ご主人様と読んでも過言ではなかろう。
……実際呼ばされたこともある。

P.73-74
「つーか、御鏡(兄)のせいだな、ありゃ」
この前から、なーんかモヤモヤ引っかかってると思ったんだよ。やっとなんだか分かった――
俺はあのとき、『桐乃と二人暮らしして養ってもらってる自分』を想像しちまって、そんでいたたまれない気持ちになっていたんだ。だからあんな夢を――くそ!

ここですね。

P.55-56
「飾り方で違うもんだな――これ見ちゃうと桐乃の飾り方が素人に思えてくるぜ。ちなみに幾らくらいするんだ? このケース」
コトブキヤで九万七千円。あ、ケースだけの値段ね」
「高っけえ!」
さすがに手が出せんな、こりゃ。
「……高坂、いまのリアクション……買うつもりあったの?」
「いや……別に、俺自身が欲しいわけじゃないんだが……」
「あん?」
「なんでもねーよ! この話は終わり!」

妹のために買ってやろうかと一瞬考えたものの、値段を聞いて諦め、赤城に逆ギレするシスコンお兄ちゃんの図。

P.57
「なあ御鏡、一人暮らしって、何がいるのかな?」
「まず可愛い妹は絶対必要だよね」
「はは、死ねよエロゲ脳」
男相手なので、自然とツッコミも鋭利になる。
次いで俺の隣に座った赤城が、凛々しい表情で言う。
「妹が必要だという件には大いに同意するが、それはすでに一人暮らしじゃなくて二人暮らしじゃないのか……?」
「一人暮らしのお兄ちゃんの部屋におしかけてくるというシチュエーションだったら?」
「最高じゃないか! おまえ天才だな!」
「ははは、いやあ、それほどでも」
「威張んな! それ絶対エロゲのイベントをそのまま言ってるだけじゃねえか! 現実でそんなことが起こるわけねーだろ!」

わかりやすいフラグ。

P.61
「もしかして桐乃のファンブログもあったりすんのかな?」
「『高坂桐乃 エロ画像』で検索してみれば?」
無言で殴った。
「……お、おまえ高坂、全力だったろいま!」
「殺さなかっただけありがたく思いやがれ!」

赤城の冗談にマジギレするシスコンお兄ちゃんの図。

P.63-64
「桐乃さんに頼んで、手料理を作ってもらったら?」
「おまえ、恐ろしいこと考えるな……」
あまりにも有り得なさすぎて、言われるまで発想すらしなかったぜ。
桐乃がエプロン姿で台所に立っている姿なんて、似合わなすぎて想像できん。そういえば去年のバレンタインだかにチョコレートを作ったらしいが、俺はその場に居合わせなかったしな。
「桐乃さんのことだから、きっとこの件について責任を感じているはずだし、頼めばやってくれるかもしれないよ?」
「おまえはなんで、桐乃に家事をやってもらうことを、俺が望んでいるという前提で話すんだ? 考えるだけで寒気がするし、頼んだところで『ばっかじゃないの?』とか言われんのがオチだって」
だいたい桐乃のやつは、責任なんて感じてるそぶりじゃなかったし。
もう帰って来なくていいよ、なんて言ってやがったんだぜ?
俺が『桐乃の手料理とかねーよ!』とさんざん力強く繰り返してやると、
「浩平くん、見て御覧? これが原初のツンデレというやつさ。いまどき貴重だよ」
「高坂はホント、妹の話してっとき嬉しそうだもんな」
「うるせーな! そんなんじゃねーよ!」

>「桐乃さんのことだから、きっとこの件について責任を感じているはずだし、頼めばやってくれるかもしれないよ?」
実際に京介が頼んだら、桐乃は嫌がる素振りを見せつつもやってくれるでしょう。

>だいたい桐乃のやつは、責任なんて感じてるそぶりじゃなかったし。
>もう帰って来なくていいよ、なんて言ってやがったんだぜ?
やはり桐乃が言ったことを気にしている様子。
さっきも書きましたが、一人暮らしについてテンションが上がらないのは、桐乃のこの言葉が大きいのでしょう。

>「浩平くん、見て御覧? これが原初のツンデレというやつさ。いまどき貴重だよ」
>「高坂はホント、妹の話してっとき嬉しそうだもんな」
原初のツンデレということは「対外的には桐乃のことを悪く言ってるけど、家に帰って二人きりになったら妹にデレデレと思われている」ということでしょう。御鏡と赤城の言葉から察するに、二人は京介の言動をまったく信じていないようです。9巻の京介のシスコンぶり(京介以外の主観)を見ると、この京介のモノローグと実際の態度は、相当食い違っていると思われます。

P.65-66
「いや、でも、これは強がりじゃなくて言うんだけどよ」
顔を上げた俺は、明るく切り出す。
「なんか、おまえらと話してたら、テンション上がってきたよ。初めての一人暮らし――楽しみになってきた。もちろん勉強頑張るために一人暮らしするんだけど――自分の趣味で家具やら雑貨やらを選んだり、配置考えたり、友達呼んだりさ。きっとそういうのって、面白いと思うんだよな」
礼の気持ちを込めてそう言うと、二人は顔を見合わせて、
「「ぷっ」」
「おい! 信じらんねえ! そこでホントに笑うかあ!?」
「あはははははははは!」
御鏡が爆笑しながら俺の背中をバンバンぶっ叩いてくる。
「浩平くん――聞いたかい? いまのやり取りで――テンション上がったんだってさ!」
「おう、聞いた聞いた。バカだな高坂――語るに落ちてんじゃねーよ」
「だから、なんのことだよ! 俺はおまえらに礼を言っただけで――」
「はいはい、わーってるよ」
赤城はまるで子供の話を聞き流すような態度で笑う。
「初めての一人暮らし。――楽しい生活になるぜ、きっとな」

赤城の「語るに落ちてんじゃねーよ」という指摘は、妹について話しているうちにテンションが上がってきたという、京介のシスコンぶりを指しているのでしょう。桐乃の手料理について、よほど楽しそうに話していたんですね(笑)

第二章

P.73
「俺の妹はなぁ、確かに妹萌えで、女のくせにエロゲー大好きなヘンテコ人間だよ。でもな、それでも――実の兄貴にシリ丸出しで料理しろなんていう変態女じゃあねえっ! 覚えとけ、俺の妹はなぁ、おまえなんぞより――――」

実兄描写。

P.75
「寂しくなんかねーよ。むしろ妹の顔を見なくてすむから、せいせいするぜ」
言い捨てると、赤城がからかうように背中を叩いてきた。
「高坂おまえ、妹さんが留学したときも似たようなこと言ってなかった?」
「あはは、あのときも、ほんとはすっごく寂しかったんだよね? きょうちゃん」
「…………」

聞いてもいないのに妹のことを持ち出す京介。
そして、それを見透かしてからかう赤城と麻奈実。「語るに落ちる」ですね。

P.82-83
「……ほら、アレ。この前の――家族会議。……あんたが追い出されたのって、あたしのせい、みたいなところも……ちょっとだけ、あるじゃん? だから、その……あんたどうせ、物とかあんまり買わないだろうし、ほっとくと、コンビニのおべんととかばっか、食べそうだし……」
ぼそぼそと、歯切れ悪く呟く桐乃。段々と俺から目をそらしていく。
「だから冷蔵庫買ってあげたの! 嬉しいでしょ!」

京介は一人で勝手に落ち込んでましたが、ちゃんと京介のことを気にしている桐乃。
桐乃はあくまで素直になれないだけで、こういうところはちゃんとしっかりしています。

P.84-85
「つーか、あんたとあたしが――な、なんて! 意味分かんないっつーの! ……あんたもそう思うでしょ?」
「…………」
「な、なに黙ってんの!?」
「……つば飛ばすなよ」
「飛ばしてないっ!」
おっと、危ねえな。
俺は予測していた桐乃のビンタを優々と回避し、すぐそばにあった妹の頭に手を乗せた。
「黙ってたのは――誤解されるのもしょうがないなって、思ったからだ」
「なっ……」
「俺とおまえは、確かに最近仲良くしてたし――以前はすげー悪かったわけだから、そのギャップで、外側からは『仲が良すぎる』って思われてもしょうがないのかもしんねーなって」
「……キモいこと言わないでくんない? 別に、仲良くなんてしてないし。……手、頭からどかして」

相変わらず素直じゃない桐乃。
もう何回目かわからない、京介お得意の妹の頭に手を乗せる仕草ですが、桐乃は京介から妹扱いされるのを嫌っている(妹じゃなくて女性として見て欲しい)ので、いつものごとく嫌がります。でも、自分から振り払わないあたり、本音ではそこまで嫌ではないのでしょう。

P.85
「堂々としてりゃいいと思うんだよな。やましいことなんて、ひとつもしてねーんだから」
「あ、あったり前でしょ!」
そう、当たり前だ。俺が妹とどうにかなるなんて、あるわけない。
ゲームとは、違うのだから。

京介の言葉に対して、どもる桐乃。やましいことがある証拠ですね(笑)

>俺が妹とどうにかなるなんて、あるわけない。
京介は相変わらずモノローグで堂々と嘘を吐きますね。
最終巻のあの展開はなんなんだよって言いたくなります。

P.85-86
「親父もさ、お袋を納得させるためにこんな提案をしただけで、ぶっちゃけそこまで疑ってるわけじゃねーと思う。ご期待どおりA判定取って、さっさと家戻るさ。そしたらまたいつもどおりだろ」
俺は笑って言ってやった。
「だから桐乃、そんなに怒るな。大丈夫だから」
「――――」
桐乃は、何故か衝撃を受けたように一歩さがり、そのまま俺に背を向けた。
「帰る」

桐乃としては、口では否定していても、内心では京介に自分のことを意識して欲しいわけです。しかし、京介はまたいつもどおりだと、大丈夫だと言って、あくまで兄の立場を崩してくれません。そんな京介の態度に桐乃は衝撃を受け、鈍感な京介に対し、怒っているのだと思われます。

P.87-89
桐乃は、この家を訪れてから一番明るい声色で、鞄からそれを取り出した。


『おしかけ妹妻~禁断の二人暮らし~』


エロゲーっすよ。
「これ、あげる!」
いい笑顔だなオイ! 流れでつい受け取っちまったよ!
(中略)
「おまえに他意がないのは重々了解しているつもりなんだが、このタイトル……!」
「? なにが?」
やっぱり! 分かってねーし!
(中略)
「じゃあそこは一億歩譲って見逃したとしても、『禁断の二人暮らし』ってサブタイトルがさらにやばいんだって。こんなもん持ってる俺は、明らかに『妹妻』と禁断の二人暮らししたがってる変態兄貴」
桐乃はずざーっと後ずさって、
「……キモ、あんたあたしのこと、そういう目で見てたわけ?」
「言うと思ったわ!」

ここの桐乃は純粋な好意のつもりで、京介にエロゲーをあげたと思われます。
どういうわけか、桐乃は変なところで鈍感な時があって、京介が言うような懸念については、本当に気付いていないし、他意も無いようです。まぁ、ここはあくまでギャグパートなので、深く考えるところではないのでしょう。

P.89
「分かんないよーなら説明してあげる。――あんたにものあげたのは、あんたごときに負い目なんか感じちゃってる自分が嫌だったからなの。冷蔵庫と神ゲーをあげたことによって、その負い目はチャラになったから、今後あんたがどーなろうと、知ったこっちゃないワケ。別にもう帰って来なくてもいいよ。ウザいやつがいなくなったおかげでぇ、超! せいせいしたし!」
「……てめぇ」
どうやらこのクソアマは、よっぽど俺に腹パンされたいらしいな。

桐乃のツンツンモード。
もちろん本気で言ってるわけではないので、間に受けないように。
「腹パン」という単語が出てきますが、これが最終巻の伏線なのかどうかは微妙なところです。

P.90-91
「つーかA判定なんて、どーせあんたには無理でしょ?」
桐乃は超ムカツク感じに、鼻で嗤いやがった。
(中略)
「あたしに一生仕えられるんだよ? むしろ超ご褒美じゃない?」
「オマエってそういう台詞いつも本気で言ってるよね」
「あ! しまったナ~。この条件だと、賭けが成立しないじゃーん。あんたシスコンの変態だから、絶対わざと負けてドレイになりたがるっしょ」
「死んでも勝つ! この賭けにだけは命に代えても勝ってみせる!」
ありがとよ! おまえのおかげでメッチャやる気出たわ!

桐乃の兄を煽っていくスタイル。
一見ふざけて言ってるように見えますが、兄のやる気を引き出すために、桐乃なりに考えてしていることなのでしょう。

P.91
「で! ってことは当然――俺が賭けに勝ったら、おまえが一生ドレイになってくれるんだよな?」
「……キモ。……いまの台詞、スマホで録音したから」
「ひどすぎるだろオマエ……!?」
汚い、桐乃さん、マジで汚い! あやせみたいなことすんなや!
桐乃は鞄から取り出し俺に見せつけていたiPhoneを仕舞って、
「まあこの音声データは、なんかのときのために取っておくとして。――賭けは賭けだからねー。そこはちゃんとしてあげる」

この音声データについては伏線かと思いきや、結局この後、一切触れず仕舞いでしたね。(兄ニーにでも使ったんでしょうか?)

P.92
「一応聞こうか。A判定とったら……何をくれるってんだ?」


「あたしが、一個だけ、言うこと聞いてあげる」

桐乃との賭けの約束。
ラストシーンの伏線ですね。

P.93-94
自分で自分にツッコミを入れたところで、スケジュール表(超本気バージョン)が完成した。
ばんっ! 快音を響かせて、それを壁に貼り付ける。
「うーし、このとおりやりゃあ、東大だろうが余裕だぜ」
嘘だが。
しかし正真正銘、俺の本気だ。
「くっくっくっくっ……」
俺が賭けに勝ち、家に凱旋したときの――桐乃の顔を想像すると……くふふふ、口元がにやけてしまうぜ。
「……なんでも一個、か」
何してもらおうかな! 夢が広がるぜ!

妹に煽られて本気を出しちゃう京介さん、マジチョロい。
いくら超シスコンとはいえ、やる気出しすぎじゃないですかね(笑)

P.112
「やっぱりか。京介は桐乃の兄貴で――――妹と付き合ってんだ」
「付き合ってねーよ! どうしてそうなる!」
「だって、桐乃に彼氏って紹介されてたし、妹モノのエロゲー持ってっし」
わりと説得力のある理由があったー!
「妹と付き合うわけねーだろ! あんときは彼氏のふりしてただけだし、このエロゲーは知り合いの妹バカに押しつけられただけなんだ!」
どうだ! 嘘は言ってないぜ!
「で、桐乃ってオタなの?」

加奈子に桐乃と兄妹ということがバレて追求される京介。
兄妹で付き合うことに対し、特に何も言わなかったり、京介の言い訳をスルーするあたり、加奈子は兄妹で付き合うことに対し、偏見がなさそう。加奈子って何気に大物ですからね。

P.115
というわけでシャワーを浴びてきた。ドライヤーで髪を乾かした後、キッチンに向かい、冷蔵庫を開ける。半裸でこんなことをやってるって妹に知られたら、怒られっかな。

ここで母親ではなく、妹が出てくる京介のシスコンぶり。

P.122
「……じゃあ言うけど――あ、これは断じてセクハラじゃないからな?」
「はいはい、分かりましたから。言いたいことがあるなら早く言ったらどうです?」
「加奈子のライブ前、控室でさ……おまえ、その……色々俺に、やってきたじゃないか?」
「色々ってなんです? た、たとえば?」
「わざと胸をチラ見せしてきたり」
ずばんっ! 鞄のフルスイングが俺の横っ面に炸裂した。

9巻の『あやまちのダークエンジェル』の伏線回収。
気付いていながら、ちゃんと我慢した京介は偉い!

P.124
「なんでおまえがウチの合鍵持ってんの!?」
「…………」
「無言になるなよ!」
「……とある筋から入手した、とだけ」

とある筋とは麻奈実でしょう。

11巻 P.306
「きょうちゃんのお母さんが、毎日じゃないけど行っているみたいだよ。本当はね、きょうちゃんが引っ越しをする前に、わたしが頼まれてたんだけど――」
「え? まじで? 京介の親に、京介の面倒を見てくれーって、頼まれてたってこと?」
「うん。『あたしは理由を作って行けないことにするから、京介をお願いね』――って」
これは、きょうちゃんも知らないことだ。
桐乃ちゃんは――どうかな。いまはもう、知ってるのかな。
「でも、桐乃ちゃんは、わたしがきょうちゃんのご飯を作ったりするのが嫌だって言うし……それであやせちゃんに頼むことになったわけだけど」

麻奈実は京介の母親に面倒を見てくれと頼まれた時に、京介のアパートの部屋の合鍵を渡され、それがあやせに流れたと思われます。

P.131
当然のことだった。これは喩え話だが、麻奈実を救うためになら、俺は命だって懸けられる。

最終巻を見ると、とてもそうは思えませんが……。

P.139
「……意味が分かりませんが、あなたが桐乃の友人失格だということは確かですね」
「どうしてそうなるのかしら」
「だってそうでしょう? 桐乃、言ったらしいじゃないですか。お兄さんが誰かと付き合うのがイヤだって。自分が一番じゃなくちゃイヤだって。――そしてお兄さんはあなたを捨てて桐乃を選んだ。だったら大人しく身を引くのが、桐乃の親友としてあるべき姿です。違いますか?」
「違うわ」
黒猫は胸を張って断言した。
「考えた方の相違ね――新垣あやせさん」
「そうですか。ではあなたは、桐乃の敵ですね」
「それも違うわ。私は桐乃の味方よ」

あやせの正論を否定する黒猫。

P.140
「いい? よく聞きなさい――」
ばんっ! 黒猫は両目をカッと見開き、胸を叩いて大声で叫んだ。
「私は、京介が実妹と■■■■(ピー)していても構わないわ!」
「なッ、な」
く……
黒猫ぉ――――――!?
てめえ! 何言ってんだよ! な、なななナニとんでもねーこと口にしてんだよ!
オナニー発言どころの破廉恥さじゃねェ――ぞ!
「…………せ、せ……せ……」
さすがのデビルあやせも赤面金縛りになっちゃってるよ!

この■■■■(ピー)の四文字の部分はあやせの台詞から予想できると思いますが「セックス」ですね。
ちなみにアニメ版二期第11話では、ピー音無しでハッキリ「セックス」と言っちゃってます。

P.140-141
「私はあの女の親友よ。あの女の望みを最もよく知る、一番の味方よ。私は京介が近親相姦上等の鬼畜だったとしても何ら問題なく愛せるし、桐乃が望むのなら一番など喜んでくれてやるわ。翻ってあやせさん、あなたはどうなのかしらね。仮に桐乃が異性として愛してしまったとき、受け容れてあげることができるのかしら?」
「で……できるわけないでしょうそんな――!! 有り得ません!」
「そう、なら、あなたはそのとき、桐乃の敵になるということよ」
「くうッ」
あやせは歯軋りしながら黒猫を指差した。
「そ、そんなときなんて絶対来ません! へ、変態! 変態変態変態ッ!」

黒猫が言う桐乃の望みというのは、もちろん兄である京介と両想いになって恋人になることですね。
この辺の黒猫の言動は、どうもブレがあります。それだけの覚悟があるなら、8巻で京介の答えを聞くのを引き伸ばしたり、逃げ回ったりする必要はなかったと思いますが……。

P.142
たとえばの話でもヤベーだろ! なんで俺が妹と■■■■(ピー)しなくちゃなんねーんだよ!
大丈夫かこの電波女。

12巻(P.245-246)では、思いっきり意識してましたけどね(笑)
しかし、仮にも元彼女に電波女とは酷い言い草ですね。

P.153
「あのな。俺……」
「うん」
「桐乃とのこと、しっかり決着つけるまで――誰とも、付き合う気はない」
「……うん」
黒猫は俯き、そして顔を上げた。
しっかりと俺を見て――
「いいと思うわ。……計画通りよ」
優しく微笑む。
「なら私は、その決着とやらを、望む形で付けてもらえるよう……がんばるわ」

黒猫より桐乃を選ぶことをハッキリと告げる京介。
計画通りなら、なんであそこで逃げたんですかね? 逃げる理由なんて無いはずですが……。

P.157
「ん? おい、京介。この冷蔵庫はどうした?」
――げっ。そこに食い付いて来やがったか。親父にゃ嘘が通じないからなあ……どうすっか。
「えーと……その、引越し祝いで、もらったんだ」
「そうか、では俺からも礼を言いにいかねばな」
「……桐乃から」
「…………」
いかん。親父の表情が消えた。
「……桐乃とは、あとで話しておく」
「お、おう」
ありゃ……それほど怒ってもいない、のか?

桐乃から冷蔵庫を貰ったことがバレ、父親が桐乃と話すことに。
それほど怒ってる様子がないのがポイント。

P.158-159
「殴ってどうする。……あれは桐乃のものなのだろうが」
「――――」
親父……分かって? って考えてみりゃ当たり前か。この人は一番初めっから、俺の嘘に騙されていたわけじゃなかったんだから。騙されたことにして――桐乃の趣味を、見逃していてくれただけなんだ。
しばし目をつむり、悩ましげにこめかみを指で揉んでいた親父は、やがて目を開け、諦めたようにこう言った。
「一度決めたことだ。――桐乃のことはおまえに任せる」
「親父」
「だがな、無理だと分かったら――そのときは、今回のようにはいかんぞ」
釘を刺されたって、さすがに鈍い俺でも気付いたよ。
「分かった」
「よし」

桐乃のことを京介に任せると告げる父親。本当に信頼されていますね、京介は。
ハッキリとは描写されませんが、父親は兄妹の関係に気付いている節があります。これについてはまた後述します。

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