前置き
この前実施したアンケートの結果を見て、実妹系のブログを書いてる立場から、少々思うところがあったので、久しぶりに実妹コラムを書いてみます。
タイトルにもある通り、今回のテーマは「兄妹恋愛モノの背徳感について」です。
そもそも背徳感とは何なのか?
本来あるべき人の道から外れた、または背いたという後ろめたい感覚。罪悪感。
実用日本語表現辞典では、こう定義されています。
兄妹恋愛モノに当てはめてみると、「血の繋がった妹(兄)を異性として意識してしまう、好きになってしまうことに対する後ろめたい感覚、罪悪感」となるでしょうか。
具体的な事例を挙げると、「妹(兄)を異性として見てしまうなんて、自分はおかしいんじゃないだろうか?」「こんな風に考えていることを、誰かに知られてしまったらどうしよう」「妹(兄)とこんな関係になってしまうなんて、育ててくれた両親に対して申し訳ない」と、こんな感じですね。
言うまでもないことですが、2019年6月現在の日本の常識では「血の繋がった妹(兄)を異性として意識してしまう、好きになってしまうことはおかしいこと」とされています。
法的に見ても、民法第734条には
直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。
と書かれていて、血の繋がった兄妹では(特殊な事例が無い限り)結婚することが出来ません。
兄妹が大人になったら、兄は妹以外の女性と、妹は兄以外の男性と結婚して子供を作り、それぞれ別の家庭を持って暮らすことになるというのが一般的な常識であり、大抵の両親は子供たちにそれを望んでいます。
結婚出来ない兄妹を好きになるなんて人の道から外れているし、親不孝である。
世間にも顔向けできないし、もし兄妹がそんな関係だなんて知られたら何を言われるかわからない。
家族や友達になど、周囲の人間にも迷惑がかかってしまうかもしれない。
こういった理由から、兄妹で恋愛関係になっていることは、人には言えないし、隠さなければいけないというわけです。
兄妹恋愛モノの背徳感とは、おおよそ上記のような感じでしょう。
兄妹恋愛モノの背徳感について
さて、ここからが本題です。
選択肢 票数 割合 あるに越したことはないが無くても構わない 17票(前回比+3票) 34%(前回比+6%) 出来ればあった方がいい 14票(前回比-8票) 28%(前回比-16%) 特に気にしたことはない 8票(前回のデータ無し) 16% 絶対なきゃダメ 6票(前回比-1票) 12%(前回比-2%) 背徳感はいらない 4票(前回比+3票) 8%(前回比+6%) あるならあるで、ないならないなりに楽しみようはある 1票(前回のデータ無し) 2%
上記は、前回のアンケートの結果です。
このアンケートの結果からは、背徳感を重視する人が、昔に比べて減っていることがわかります。
アンケート記事では、自分の個人的意見を差し挟むのもどうかと思ったので、とりあえず「時代の流れなのでしょう」と無難に書きましたが、個人的には、やはりちょっと納得できないところがありますね。
それについて語る前に、まず自分の考えを述べておくと、もし、あのアンケートに僕が投票するなら「出来ればあった方がいい」に投票します。「絶対なきゃダメ」とまでは言いませんし、「あるに越したことはないが無くても構わない」とも思いますけど、やはり「出来ればあった方がいい」でしょう。
ただ、兄妹恋愛モノに背徳感を求めるかどうかは、その時の気分によるところが大きいです。
疲れて気分が落ち込んでいるような時に重い話はキツイですし、たまにはそういう面倒くさいのを抜きにして、兄妹がイチャイチャするだけの作品を読みたくなることだってあります。
しかし、一番好きなのは、やはり背徳感のある兄妹恋愛の物語です。
本来結ばれてはいけないはずの兄妹が恋に落ち、それについて悩み、苦しむ姿には共感しますし、それらを乗り越えて兄妹が幸せになる姿を見ると、こちらまで嬉しくなります。
兄妹恋愛に背徳感がなくても、それなりには楽しめます。
実の兄妹が何の葛藤もなく、ただイチャイチャと愛し合っているのを見るだけでも幸せな気分にはなれますし、それがダメだとは言いません。
でも、そういう作品ばかりになるのは困ります。
兄妹であるという問題には軽く触れるだけで、あとは普通のヒロインみたいにHしてイチャイチャするだけ。
周りは兄妹で恋人になっても、普通に祝福してくれる。
両親はまったく登場せず、妊娠や将来のことなど、重い問題は先送り。
シナリオや設定的に実妹である必要は特になく、義妹であっても成り立つ内容。
そんな背徳感の欠片もないような作品ばかりになったら、妹が実妹である意味はどこにあるのかわからなくなってしまいます。(ここ重要!)
別に義妹でも構わないという人なら、背徳感なんてどうでもいいかもしれませんが、うちはあくまで実妹系のブログですので、やはり背徳感は重視したい。背徳感のある作品が減っていくのが時代の流れだとしても、それを仕方のないことだとは、決して思いたくないです。
少し話は逸れますが、実兄妹のイチャラブだけなら漫画でも描けるし、漫画やラノベでも背徳感のある兄妹恋愛を扱った名作はあります。
でも、近親相姦まで扱うとなると、まだまだ18禁であるエロゲが強いです。
最近のエロゲの18禁要素は「ただHシーンがある」という意味合いでしかないような作品が多いですが、昔のエロゲには、一般では決して作れない18禁ならではの作品というのがあったはずです(『遺作』『ランスシリーズ』『雫』、実妹モノなら『こころナビ』『ハルカナソラ』など)。
そういった、18禁でしか表現出来ない兄妹恋愛をテーマにしたエロゲが僕はプレイしたいので、背徳感を重視しない最近の風潮には危機感を覚えます。
まとめ
血の繋がった兄妹の恋愛を扱う限り、背徳感は本来外せない要素のはずです。
そうじゃない作品があっても良いとは思いますが、それが主流になってしまったら、実妹である意味はどんどん薄れていきます。
将来的には兄妹恋愛は同性愛と同じように、世間で認められる方向に行くでしょうし、いずれ背徳感など必要ない時代がやってくるだろうと個人的には考えていますが、それはまだまだ先の話です。
現状ではまだ認められていない以上、物語には多少のリアリティが欲しいですし、面倒な部分や不都合な部分から逃げるような作品が増えていくのは、好ましくないと僕は考えます。
兄妹恋愛について真正面から向き合い、兄妹恋愛の何がいけないのか、どうすれば世間から認められるようになるのか、そういったことを真面目に考察するような作品が出てくることによって、兄妹恋愛に対する議論も深まるし、兄妹恋愛が世間から認められる道も見えてくるのではないでしょうか?