作品情報
タイトル:恋愛教室
ブランド:UnN/A(アン・エヌ・エー) 作品ページ
ジャンル:日常系学園ADV(18禁)
発売日:2017年8月25日
販売価格:8,800円(税別)
あらすじ
公式サイトのStory参照。
システム
クリックで読み進めて、選択肢によってルート分岐する一般的なエロゲ。
ジャンルは学園恋愛モノ。
……とここまでは普通なのですが、この作品はヒロインが16人も登場し、最初からメインヒロインに決まっていた2人を除いた残りの14人のうち、どのキャラがメインヒロインになるかをユーザーの投票で決めるという企画を行い、話題になりました。
実妹ヒロインである和羽も、第一回の人気投票で一位を獲得し、メインヒロインに昇格しました。
ちなみに人気投票は第三回まで終わっていて、第三回で上位三名に選ばれたキャラが攻略できるようになる「選抜ヒロイン追加キット」が2017年冬にリリース「予定」です。(2019年1月7日追記:その後、公式サイトは見られなくなり音沙汰無し……)
システム設定項目はやや少なめですが、必要最低限のものはそろっています。
うちの環境ではボイスや音楽の音量が小さすぎたので、ボリュームを上げる必要がありました。
ちなみに、これを書いている時点で追加・修正パッチ1.10が公開されていますが、これを当てても台詞とボイスが合ってない部分が多々あったり、誤字があったり、3日目と4日目で同じイベントが発生したりとバグは取り切れていません。更なる追加パッチが出るかも「未定」です。
あと、CGモードはありますが、驚くことに回想モードが実装されていません。
まさか、いまどき回想モードがないエロゲが存在するとは……。なのでHシーンを回想したい場合は、自分でセーブデータを作る必要があります。
他にもスキップがシーン切り替わりごとに止まるので何度もスキップボタンを押さなきゃいけなかったり、スタッフロールをクリックで飛ばせなかったり(2回目からは可)と、細かい部分でストレスが溜まる仕様になっています。
まとめるとシステムはマジでクソ。
20年前のエロゲかよ……と呆れてしまいます。
妹について
名前 | 年齢 | |
---|---|---|
月島 和羽(つきしま かずは) | 兄の1つ下、高◯1年生? | |
一人称 | 兄呼称 | |
和羽 | お兄ちゃん、優牙さん | |
身長 | 体重 | スリーサイズ |
不明 | 不明 | 不明 |
CV | 原画 | シナリオ |
藤咲ウサ | 雪路時愛 | 大生直夜、帝 |
備考 | ||
ウサギ好き |
主人公の妹。
学校には通わず、家に籠もっている。
といっても、引き篭もりというわけではなく、家事はちゃんとやっていたり、一人で外に買い物に行ったりはできます。
兄と同じ学園に二学期から通う予定という会話があることから、年齢は兄の1つ下のようです。
性格はかなりネガティブで、何かあるとすぐに謝ったり、泣き出しそうになります。
兄のことは大好きで、独占欲はかなり強め。
甘えん坊なところがあり、家では何かと兄にくっついてきます。
会話のテンポが独特で、かなり癖あり。
噂ではライターさんが『ひよこストライク!』の雛のシナリオを書いた人と同じらしく、和羽の性格やシナリオ展開は雛と非常に似ています。雛が気に入った人は、和羽も気に入るのではないかと。
和羽の実義については公式サイトで実妹と紹介されていますし、作中でも何度も実の妹と言っているので、特に問題無し……と言いたいのですが、和羽がたびたび血が繋がっていないと言い出したり、いきなり神崎という姓を名乗りだしたりするので、ドキッとさせられます。
まぁ、それでもちゃんと読めば実妹です、間違いなく。
兄について
主人公。
星陵学園の2年生。
容姿は銀髪に赤い目(和羽と同じ)でイケメン。(CGにも登場)
性格は、やや大人な感じのエロゲ主人公。
妹がいるおかげか、女の子の扱いには手慣れていて、ヒロインたちからの好感度はやたら高い。
やや理屈っぽいところがあるのと料理の薀蓄をやたら披露するのが気になりました。
周りは女の子だらけの環境ですが、戸惑いの方が大きめで、ガツガツした感じはなし。
といっても、別に女の子に興味がないわけではなく、年頃の男の子らしくエッチなことは嫌いじゃないです。
家族構成は父親と妹の和羽の3人家族。
父親は健在のようですが、わけあって別居状態。
兄の口ぶりからするとかなり父親のことを嫌っているようです。
母親はハーフで月島兄妹の髪や目の色は母の影響。
数年前に病気で亡くなっているので、作中には登場しません。(立ち絵やCGどころか台詞も無し)
妹のことはとても大事にしていて、シスコンレベル。
スマホの待ち受け画面は当然のように妹ですし、他のキャラのルートでも何かと妹の話題が出てきます。
シナリオ
共通ルートは2時間ほどで、個別シナリオは1時間~2時間とかなり短め。
主人公である兄が学園に転入してくるところから物語開始。
女の子たちからいきなり質問攻めに遭い、興味津々な女の子たちに振り回されながら数日を過ごすのですが、そんなある日、担任の福地万理子先生が、男性に免疫のない女の子たちが男の子に慣れるための「恋愛教室」を開こうと提案します。
「恋愛教室」というのを簡単に説明すると、男の子が女の子を指名し、女の子が用意したシチュを二人で演じるという恋愛ごっこ。タイトルにもなっているぐらいなので、当然シナリオはその「恋愛教室」を中心に……と思いきや、「恋愛教室」自体は大した描写もないまま、開始後すぐに終了します。
(ここからネタバレあります。未プレイの方はお気をつけ下さい)
「恋愛教室」が終了し、平穏な学園生活に戻る兄。
疲れて家に帰ってきた兄は、居間のソファで寝てしまいます。
ふと目を覚ますと、兄の上で兄を想いオナニーに耽る和羽の姿が。そんな和羽に対し劣情を抱く兄ですが、相手は実の妹ということで、どうにか踏みとどまります。
それからしばらく経った後に、和羽と「恋人ごっこ」をすることになるのですが、ごっこをしているうちに和羽のことを愛しく感じてしまった兄は、我慢できずに和羽とHをしてしまいます。
事が終わった後の兄妹のやり取りが面白い。
「え、えっちした……!! お、おにーちゃんっ……和羽にえっちした……!!!」
「わ、悪いかよっ!?」
「い、いけないんだぁ……!!!」
「くっ、そもそもっ……和羽だろっ、誘ったのっ……!!?」
「か、和羽はっ……い、いつもの……だもんっ」
「いつものって、何だよっ」
「和羽がっ……そのっ、えっちしたいってお願いしてっ……お兄ちゃんがダーメって……断って……そ、それでいつも通りだった……もんっ……!」
「う、ぐっ……」
「い、いっぱい、いっぱい出したよねっ……? 妹の中に、お兄ちゃんのえっちなの、いっぱい出したよねっ……?」
「くそっ、ああっ、出したよっ!! それが悪いかっ……!?」
「あ、赤ちゃん、できちゃうようっ……!?!?」
「――うっ」
「い、いけない……んだぁ……!!」
普段は冷静で、和羽とのやり取りで主導権を握っていた兄が、妹に手を出してしまったという弱みのせいで和羽に主導権を握られてしまい、完全に言い負かされてるのが新鮮。
その後、妹とのことをこれからどうしようか悩んでいた兄がクラスメイトの珠希に質問するのですが、この答えが秀逸。
「禁断のラブロマンスって、どう思う?」
珠希「はひ? 禁断……?」
「そう。許されない間柄の、愛」
「えと……そもそもあり得ないと思うんです」
「そ、そうか…………」
ぶっちゃけ内心かなり落ち込む……。
「はいっ。本人同士の愛に、他人が許す許さないだなんて……おかしいです」
「へ? えっ?」
「それは……本人同士が感じて、決めたことなら。例え神様でも、口出しはできないと……そう思います。はい」
「だから、禁断なんてありません」
これはなかなか面白い考え方で、感心しました。
このライターさん良いセンスしてますね。
エピローグは、兄が和羽をおんぶして下山するという『ヨスガノソラ』のパクリかよ! とツッコミたくなる内容なのですが(和羽の服装も穹っぽい)、これはあくまで前座。
ラストは和羽との子供を中心に仲良く手を繋ぐ親子3人という素晴らしいシチュで物語を締めくくります。このシーンは本当に良いので必見!
まぁ、細かくツッコめば「過程を端折りすぎ! シーン短すぎ!」と言えなくもないのですが、妹との間に子供が産まれ、幸せそうにしている家族という美しいラストシーンの前には小さなことでしょう。
(ネタバレここまで)
他ルートの和羽
他の女の子ルートに入ってすぐに、女の子に囲まれてるお兄ちゃんに対する、和羽のヤキモチが見られます。ここの和羽は非常に可愛いですし、和羽との過去描写も含まれるので、普段妹ルートしかやらないという人も見ておいた方がいいでしょう。
ステラルートでは兄妹の過去が少し垣間見えるのですが、和羽ルートでチラッと出た神崎というのは父親の名字のようですね。月島はおそらく母親の姓。
父親とは何か確執があって、月島兄妹は父親に捨てられた後は母親の姓を名乗り二人だけで暮らしているようで、ステラルート後半ではステラのために父親と向き合う決心をします。(その後の父親とのやり取りは省略されて出てきませんが)
和羽はあの性格なので、兄以外の人とちゃんとコミュニケーションが取れるのか心配だったのですが、ステラと冥が家に来た時は意外なコミュ力を発揮してちゃんと仲良くなるので、余計な心配でした。EDのステラと兄の結婚式では、ちゃんと二人を祝福しています。
歌恋ルートでは、歌恋によってお兄ちゃんのスマホの待ち受け画面を和羽から歌恋のに変えられるシーンがあってモヤッとしたのですが、家に帰るときにこっそり和羽の待ち受けに戻すお兄ちゃんのシスコンぶりが笑えました。(学校に来るときには歌恋に戻します)
歌恋ルートでも家に歌恋が来るのですが、最初は歌恋を敵視していた和羽も歌恋と接するうちに仲良くなってお姉ちゃんと呼ぶほどになります。エピローグでは、兄のことをまだ諦めてはいないようで、歌恋の目の前で兄との子供を作ると宣伝したりもしていますが、歌恋との関係は良好で幸せそうです。
彗ルートはこれといって目立つような和羽の出番は無し。
親バレ、周りバレ
ネタバレなので隠します。構わない人は反転して読んでください。
親は登場しないので、親バレはなし。周りバレはクラスメイトの珠希に和羽を恋人と紹介してビックリされますが、驚いた珠希はすぐに居なくなってしまうので、その後どうなったかは不明。
禁忌、背徳描写
それなりにあります。
和羽も兄も兄妹で結ばれることは良くないことだと理解していますが、和羽はお兄ちゃんのことが好きだからしょうがないという感じ。兄の方は、相手が実の妹ということでそれなりに悩みますが、珠希に話を聞いてもらってわりと簡単に覚悟を決めます。
初めてのHの時の、我慢できなくなった兄の暴走ぶりと和羽の戸惑いぶりは、なかなか背徳感ありました。
まとめ
回想モードの未実装、誤字の多さ、テキストとボイスが合ってない部分がたくさんある、発売初日でバグが発覚しプレイできない、Hシーンは1人あたり平均2、3しかない、フルプライスでCG60枚と地雷要素がたっぷりある問題作……なんですが、実際にプレイしてみると、シナリオ、キャラ、CGに関しては決して悪くないです。特にCGはレベル高い。
立ち絵もメインヒロイン以外のキャラを含めて、私服立ち絵やバリエーションも豊富ですし、CGの差分も多く他のエロゲと比べても遜色ないです。(立ち絵モードなどは当然無く、CGモードもその差分が全く見られないというクソ仕様なのは残念ですが……)
和羽は文句無しに可愛いですし、シナリオは美味しいシチュや良い台詞がたくさんあって、描写不足で短いながらも上手くまとまっています。
人に自信を持ってお勧めできるかというとできないんですが、妹さえ良ければそれで良い! と割り切れる人なら満足できる内容だと思います。
エロゲとしてみると微妙、しかし実妹ゲームとしては良作
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