『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の伏線を改めて読み解き、「完全なる桐乃エンド」を考察してみた(4巻編、上)

注意

この記事は『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』を全巻読んでいることを前提に書いています。
おもいっきりネタバレがありますので、未読の人はお気をつけください。

4巻の時系列

日付 出来事 原作
2月も半ばを過ぎたその日 高坂家に加奈子とあやせが遊びに来て、京介があやせからプレゼントの相談を受ける 第一章
上記の後日 黒猫と沙織に会って、プレゼントについて相談する 第一章
上記の翌日 あやせに会って、メルルのコスプレ大会の話をする 第一章
上記の後日 加奈子がメルルのコスプレ大会で優勝し、桐乃へのプレゼントを手に入れる 第一章
上記の後日 スーパーで麻奈美と会い、麻奈実を高坂家に呼ぶ約束をする 第二章
上記の数日後の日曜日 麻奈実が高坂家に来て、桐乃と鉢合わせ。麻奈実にエロゲの画面を見られてショックを受ける 第二章
3月のある日 沙織に呼び出されて秋葉原に。桐乃が京介に感謝の気持ちを伝え『しすしす』をプレゼントする 第三章
上記後の休日の朝 妙に素直になった桐乃に戸惑う 第四章
同日の夕方 桐乃に深夜販売のエロゲーを買って来るように頼まれ、了承する 第四章
3月5日から6日未明 秋葉原で深夜販売のエロゲーを購入。赤城と三浦部長に出会う 第四章
3月6日 桐乃と一緒にエロゲーをプレイ。桐乃が陸上を始めた理由を知り、桐乃がアメリカ留学に旅立つ 第四章
4月の新学期初日 京介が三年生に進級、黒猫が後輩として同じ学校に入学してくる 第四章

第一章

P.12

俺・高坂京介の語る妹の話をここまで辛抱強く聞いてくれた人たちには、もういい加減分かってもらえたころだと思う。
俺の妹・高坂桐乃の性格がいかに悪く、いかに理不尽な存在で、いかにムカつくやつであるのかということをだ。
そしてこの俺が、どれだけ強く妹を嫌っているのかも、そろそろ実感してくれただろうと信じたい。
少し前までは、勘違いしている人もいたかもしれない。
俺が妹を、大嫌いだの自分にカンケーねえだのと言いながらも、いざ妹が窮地に陥ったなら、一転して態度を翻して、なんとかしてやろうってかけずり回るもんだから――
実はシスコンなんじゃねーのって勘違いされても仕方ない。

いきなり京介の言い訳から始まる4巻。
桐乃についてはともかくとして、京介が妹を本気で嫌っていると思っている人って、どれぐらいいるんですかね?
実はもなにも、京介はどう見てもシスコンなんですけど。

P.12-13
あんなに色々才能があって、生まれつき見た目もいい妹がいつもいつもそばにいたら、不出来な兄が嫉妬しないわけがないだろう。気に食わないに決まってるじゃねーか。
この間、桐乃がインフルエンザでぶっ倒れて、同時に盗作騒動に見舞われたときのことを思い返してみてほしい。
あの事件を通して俺は、かつてあいつを無視して、できる限り見ないようにしていた理由の一端を改めて思い知らされた。
スゲーよくある、みっともねえ理由さ。情けない言い訳さ。
でも、ありきたりなモンだからこそ、そう簡単にこの気持ちは変わらない。
(中略)
だから凡人たるこの俺は、才能あふれる可愛い妹のことが、どうしようもなく大嫌いだ。
あんなイヤなヤツ、いつか挫折して、鼻っ柱ぶち折れちまえばいい――。
常々俺はそう願っているし、もしも俺と少しでも共感してくれる人がいたなら、同じ気持ちになってくれたかもしれない。あいつの外見の可愛さに騙されず、ようやく俺と同じ目線で妹を見てくれるようになった人も、中にはいるだろう。

3巻の盗作騒動の時の話を持ち出し、何とか桐乃を嫌いな理由を見つけようとする京介。
「俺は妹が嫌いだフィルター」で理論武装してますが、最終巻を読んだ後だと、桐乃に惹かれつつある自分を必死に否定して、言い聞かせてるなぁと感じますね。
そんな中でポロッと妹のことを可愛いと二回も言っちゃうところに詰めの甘さを感じますが。

P.13-14
あの盗作事件のとき、俺は心の底から思っていた。ざまあみろ、いい気味だってな。
けれど――けれど。
結局はあの有様さ。見ただろう? 俺の無様な泣きっツラと、悔しさに打ち震える黒猫の姿と、調子こいて俺たちを嘲弄する、俺達が護った忌々しい桐乃の高笑いを。
どうしようもなかった。俺たちには、他のやりようなんてなかった。
いままでも、そしてこれからも、ずっと変わらずどうしようもない。
俺はあいつの、兄貴なんだよ。

どんなに妹の性格が悪く、いかに理不尽な存在で、いかにムカつくやつであっても、兄貴である以上妹を助けずにはいられない。
そんな京介の兄としての悲哀が、この文章からは伝わりますね。

P.15
ガラじゃねえ、もうたくさんだ――。そう本心から思いつつも、怒涛のように日常を侵食する『普通じゃない日々』に、少なからぬ愛着と楽しさを感じ始めていたのも事実である。
人生相談と称してさまざまな無理難題を押しつけてくる妹。そんな体験をとおし、はからずも以前とは少しだけ変わった自分。お互い強烈に嫌い合っていながらも、確実に変わり続けている妹との関係。新しい友達――。
……やれやれ、これからもこんな日々が続くのかねえ。

『普通じゃない日々』に愛着と楽しさを感じ始める京介。
京介が桐乃の人生相談を心から嫌がっているわけではないことが窺える描写ですね。
1巻で『普通が一番だ』と言ってた頃と比べると、だいぶ価値観が変化しているのにも注目。

P.16
どうやら妹の同級生が、遊びに来ていたらしい。
「……チッ」
俺の姿を見た途端、不機嫌に舌打ちをしたのは、茶髪にピアスの垢抜けた女。
俺の妹・高坂桐乃である。相変わらず洒落た服を着て、例のごとくソファに深々と腰掛けている。

ここで桐乃が不機嫌に舌打ちをしたのは、京介の事が嫌いだからではなく、京介と友達を合わせたくないという桐乃の独占欲の現われですね。
この辺の説明は2巻の第一章の時にも書いたので、省略。

P.17
人の顔を見た途端、嫌な感じに含み笑いをしてくれたあのメスガキは、来栖加奈子。
小さな身体にぺったんこな胸、髪の毛をツインテールにした、パッと見小学生みたいな女だ。
フリフリの付いたミニスカートの下にレギンスを穿いている。全体的にかわいらしい系統の服装だ。そんな加奈子はあやせと並んでソファに座っている。
そうそう、あのガキを見ていると、なにやら妙~な既視感がするんだよな。なんだろう?

この既視感は、加奈子がメルルに似ていることによるものです。
後に加奈子がメルルのコスプレをする伏線ですね。

P.18
「……いらっしゃい」
仕方なく無難に挨拶をして、そそくさと通り抜けた。ったくガキどもがよー、ウチに集まるんじゃねーよ。ヤダヤダ! もうヤダあの雰囲気! なにあのクラスの勝ち組グループの輪に紛れ込んじゃったよーな居心地の悪さ。帰りは、勝手口の方通って、部屋に戻ろうかな。
と――そんな風に考えてしまう俺って情けねーかな? いいや、似たような立場にある兄貴諸君ならば、きっとこの気持ちを分かってくれるはずだぜ。

この京介の気持ちは実によくわかる。
妹の友達が家に来た時の居心地の悪さは異常!!

P.20
「ま、まあまあ二人とも落ち着いて……ね? あたしへのプレゼントなんて、ほんと何でもいいからさ。それより違う話しよ~よ。あ~そうそう、このピアス見てよホラ。結構前に渋谷のいつものトコで買ったんだけど~、わりと良くない?」

京介にクリスマスデートで買ってもらったピアスを、嬉しそうに友達に見せる桐乃。
桐乃の間接的なデレシーン。

P.21
あやせは神妙な表情で頷いた。こいつとは以前、妹の趣味の件で一悶着あって、それ以降俺のことを『近親相姦上等の変態鬼畜兄貴』だと思い込んでいるのだ。ゆえあって誤解を解くわけにもいかないので、できる限り顔を合わせたくない相手だった。向こうだって同じだろう――とばかり思っていたのだが……。

この件についての誤解はとっくに解けているのに気付かない(振りをしている)京介。

P.21
ていうか相談って……その単語、やっぱり桐乃から聞いたのか? 言っとくけどそれ、俺を都合良く動かすための合言葉じゃないからね?

ハッキリ書かれているわけじゃないですが、あやせ曰く、桐乃はあやせによく京介の話をするらしいので、桐乃から聞いたという線は十分ありそうです。

P.24
「……プッ。あんたさー、さてはあたしに、なんかプレゼントでもするつもりなんじゃないの~? うっえ~、キモぉ~」
――ごめん無理だったわ。
(中略)
「なに言ってんだテメー。クリスマスイブにゃ人にピアス買わせたくせによ……」
「ハッ、あれはあくまで取材の一環だからノーカンなの」

桐乃さん、あなたさっき友達に嬉しそうにピアス見せてましたよね? 酷すぎる……。

P.25
はいはい、そーですか。なんだオマエ、兄を嘲弄してたと思ったら、今度はいきなり機嫌悪くなりやがって。
「つーかアンタさ、最近あたしが家にヒト連れてくるたびに色目使ってるよね。アレ、マジやめてくんない? キモいっつーか、失礼だし、あたしもメーワクだからさ」
「色目!? 何のことだよ!」
思いがけない言葉に仰天して否定すると、桐乃はブチキレながら立ち上がった。
「とぼけんなっ! この前あやせをガン見してデレデレしてたし……今日だって加奈子のことやらしい目で見てたじゃん!」

P.16で桐乃が舌打ちをした時の伏線回収。
京介が女性にちょっと近づいただけで、ブチキレる桐乃。
この桐乃の面倒臭さは、京介に同情せざるを得ない。
実際に京介があやせや加奈子に対して、色目を使っていたのかは、京介が信頼出来ない語り部である以上、判断不能。
文面を見る限り、京介にそんな自覚が無いのは確かなようですが。

P.25
「失敬なこと言うんじゃねえ! あやせはともかく、なんだってあんなチンチクリンをヘンな目で見なきゃならんのだ! ただ単に、あのクソガキ誰かに似てんなって思ってただけだよ」
「ふん! どーだかァ! アタシには色目使ってるよーに見えるケドね!」
「だから誤解だっつってんだろ!? んだよイチイチ……! てめえは俺の彼女かっつーの!」
「なっ……」
桐乃は目を見張って動揺したが、一瞬ののち、さらに怒りを倍増させて反撃してきた。
「ブッ殺すよ! いまの台詞、いままでで三番目くらいにキモかったっ!」

もはや痴話喧嘩(笑)
京介に「てめえは俺の彼女かっつーの!」と言われて動揺する桐乃ですが、桐乃は兄に対し恋心を持っているので、彼女という単語に過敏に反応し、それをごまかす為に逆ギレしたと思われます。

P.25-26
「痛ッてえな!? ひっぱたいてから言う台詞じゃねえだろそれ! つうか人の話を聞けよ! 誤解だっての!」
「どこがァ!? あの黒いのにだって、『兄さん』とか呼ばせて、鼻の下伸ばしてるくせに! アンタがシスコンなのは重々承知してたけどさあ、アレはほんとやめて! 吐き気がするほどキモいから!」

あの黒猫の『兄さん』発言が2月始めの出来事で、今は2月半ばを過ぎているので、既に2週間ほど経ってるはずですが、いまだに怒っている桐乃。
「アレはほんとやめて! 吐き気がするほどキモいから!」という発言からは、桐乃が本気で嫌がっている様子が窺えます。
桐乃は独占欲が強いので、他の人が京介のことを兄呼称で呼ぶのは、本気で嫌なのでしょう。

P.26-27
「ねぇ……なんなのアレ? 妹プレイ? お金でも払ってんの?」
「金なんか払ってねえし妹プレイでもねえ!」
実妹の目前で妹の友達に金払って妹プレイって、どんな勇者だよ俺は!
おまえは実の兄貴をそんな高レベルの変態だと思っていたのか……。

実妹描写。

P.27
「別にそういうわけじゃないけどな……。俺とおまえが仲良くしてると、桐乃が不機嫌になるんだよ」
絶対認めやしないだろうけど、大事な友達を俺に取られるとでも思ってんだろうよ。
「……ふぅん。いいじゃない、不機嫌にさせておけば。いい気味だわ」

京介は桐乃の不機嫌の理由を「大事な友達を俺に取られるから」と誤解してますが、黒猫の反応から見るに、黒猫は桐乃の不機嫌の理由をヤキモチだと正確に理解している模様。
男の鈍感さに対して、女性のこの鋭さ。
俺妹はこの辺の描写が本当に上手いですね。

P.28
「安心して、あと二ヶ月もしたら呼び方を変えるから」
「……なんだそりゃ。二ヶ月後になんかあんのか?」
黒猫は俺の問いに答えず、ふふっと意味深に微笑むばかりだった。

4月になったら黒猫が京介の学校に入学してきて「先輩」という呼び方に変えるという伏線。

P.28
その表情を見て、俺は少し驚いた。まさか俺に向かって、こんなふうに自然に笑いかけてくるとは思わなかったからだ。初めて会ったころと比べれば、こいつも少しは心を開いてくれたのかもしれないな。まあ……なんだ。それこそ黒猫に懐かれたような気分だった。

P.31
「この前の――……ことなのだけど」
「この前?」
「……ええ、その……帰り道、電車の中でのことよ」
「ああ、あのときか」
得心した。たぶん黒猫が言っているのは、新宿の出版社に潜入するために『持ち込み』に行った――その帰りのことだろう。あん時俺、電車の中で、編集者に酷評されて落ち込んでいるこいつを元気づけようと色々言った気がする。
「いまさらになってしまうけれど……いちおう、お礼を言っておくわ」

P.32
「あの……また、もしも、編集部に持ち込みに行くようなことがあったら……一緒に行く?」
「……言っておくが、俺は何の役にも立たないぜ?」
「知ってるわ、そんなこと」
編集部に一緒に行った俺には、彼女の意図が少し分かる。大人ばかりの仕事場に、中学生が乗り込んで対等にやり合おうっていうんだから、やっぱり一人で行くのは心細いよな。

盗作騒動をきっかけに、どんどん近づく京介と黒猫の距離。
前巻で終わったはずの話に、わざわざ追加で黒猫とのエピソードを挟むあたり、編集(作者?)の黒猫推しぶりが窺えます。

P.32-33
既視感を覚えたよ。以前、同じようなことがあった。だからこそ俺は迷うこともなく、彼女の力になってやりたいと思えたんだ。
かつての俺なら、ガラじゃねえとか、メンドくせえとかぼやいていたかもしれないな。
そのへん、確かに変わっているのだろう、俺は。誰のおかげとは言わねーけど。

最初に出てくる既視感というのは、桐乃がケータイ小説のことで編集者に会うという話を聞いた時の事(3巻 P.131-134)ですね。
桐乃のおかげで京介が変わっていくのはいいのですが、そのせいで他の女性キャラとのフラグまで立ってしまうというこのジレンマ。

P.33-34
「ちなみに、もう次の持ち込み用の作品とかできてんの?」
「……いえ、まだ何を創るかも決めていないわ。たくさんやってみたいことがあって……次は小説ではなくて、漫画か、ゲームにしようとは思っているのだけど。持ち込みではなくて、まずは同人で発表してみるつもりで……」
(中略)
「きっと楽しいよな、そういうの。気の合う友達と一緒に、やればさ」
「そうかもしれないわね」

これは、5巻で瀬菜とゲーム制作をすることになるという伏線ですね。

P.34-35
顔を上げた黒猫は、ほとんど表情を変えなかったが、どことなく嬉しそうだったよ。
と――気まずい雰囲気が薄れ、黒猫との会話が若干ながらも盛り上がり始めた頃。
「いやァ~~、たいへんお待たせしましたお二人ともっ!」
沙織がブンブン手を振りながら、俺たちの席へと近づいてきた。
(中略)
「……ちょっとあなたそれ、自分が遊びたいだけじゃないでしょうね? ゲームセンターなんかでプレゼントの作戦会議ができるとでもいうの? 私だってヒマじゃないのよ。付き合っていられないわ」
黒猫が不機嫌に突っ込んだ。沙織がきょとんと首をかしげる
「いえちょうどそこのクレーンゲームに、きりりん氏が好きそうなぬいぐるみがありまして。きっとアレなら喜んでいただけると思うのですが。――どうしました黒猫氏、ご機嫌ななめなご様子ですな?」
「…………なんでもないわよ」

せっかく盛り上がり始めた京介との会話を沙織に中断されて不機嫌になる黒猫。

P.38
最近憎まれ口を叩く黒猫の姿が、かわいくてしょうがない。ついつい頬がゆるんでしまう。
自分では本心から言っているつもりなのだろうが、こいつの場合、それだけではないんだよな。
そういったことが分かってくると、黒猫のキツい言動も、好ましく思えてくるから不思議なもんだ。もしも桐乃が同じ台詞喋ってたら、俺、きっとムカついてしょうがねえってのに。

京介も黒猫のことは悪く思ってないことが窺える描写。そういう時でも、つい桐乃を持ちだして比べちゃうあたり、筋金入りのシスコンですが。

P.41
アニメのDVDメーカーが公式に主催するきわめて本気度の高いコスプレ大会で、以前にも一度開催されている。そのときの優勝者は、メルルの親友でありライバルでもある魔法少女『アルファ・オメガ』のコスプレをした外人の女の子だった。

この外人の女の子がブリジットちゃんですね。

P.43
「うるさい黙れ死ねッ! どれだけわたしにエッチな服を着せたいんですか!? まさか桐乃にもそんなことをしてるんじゃないでしょうね! 通報! 通報しますからねもう!」
「いくらなんでもそこまでの変態じゃねえっ!? 妹にエロいコスプレさせて悦んでるとか、そんな兄貴がいたら他ならぬ俺がブチ殺すよ!」

「そんな兄貴がいたら他ならぬ俺が(羨ましくて)ブチ殺すよ!」という意味ですね、わかります。

P.44
い、いや違うぞ? あやせにエロいコスプレをさせるために必死こいて説得しているように見えてしまうかもしれないが、そうじゃないんだ。俺の本心は、あくまで桐乃とあやせの友情を尊重するところにあるんだからね? 本当だ、ウソじゃない。

これほど疑わしい「ウソじゃない」は見たことないです(笑)

P.49
「んなことよりさぁ。加奈子がこのミスコンで優勝したらぁ、事務所の社長に口利いてくれるって話なんだけどぉ~、アレってマジぃ?」
誰に似てんのかと思ったらこいつ、めちゃくちゃメルルにそっくりなんだよ!
性格が悪すぎて気付かなかった……。顔といい体格といい、見れば見るほどよく似ている。

加奈子に対する既視感(P.17)についての伏線の回収。

P.55
「こす……なに? なんだっけそれ、アネキから聞いたことある……ええと、ええと……」

この加奈子のアネキが来栖彼方さん。沙織の姉が作ったサークル『プリティガーデン』で、沙織にオタクについて教えてくれた恩人ですね。この辺の詳細は、9巻の『カメレオンドーター』で語られてます。

P.61
「ひゃほー! く・ら・ら! く・ら・ら! ハイハイハイハイ!」
大はしゃぎでペンライトを振り乱す、我が妹の姿があったからだ。ピンクの半纏を羽織り、もう片方の手にはメルルの団扇を持って――完全にオタク集団になじみきっている。

P.63
はあああああEXメルルきたキタきたあ――! ちょー欲し――――ッ! ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおお! あたしに似てるキャラさえいればなあ――――!?」

P.67
「っきゃ――――っ! リアルあるちゃんSUGEEEEEEEEEEEEEEEEE! かっこいいいいいいい! 萌え! 萌え萌え! 家に持って帰って妹にしたいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

桐乃のオタク姿マジ引くわぁ……。何度見ても、これだけは慣れないです。

P.67-68
「……おいコラ、いい加減にしろバカもん」
俺は見ていられなくなって、ばふっと妹の頭に帽子を被せてやった。
「むぐっ……!? ち、痴漢!?」
「痛ッてえ!」
振り返りざまに足潰してきやがった!
「ちょ、マジ痛……お、おおおまえってやつは! 毎回! 毎回! 確認もしねえで……! 俺だよ俺!」
「は!? 何言っちゃってんの痴漢のくせに!」
「痴漢じゃねえっ! くそ! 自分の兄貴くらい声で分かれっての!」
激痛に脂汗を流しながらサングラスを取ると、ようやく桐乃は俺の正体に気が付いたらしい。目をまん丸に見開いて驚いている。
「な、なんでアンタがここに!?」

京介を痴漢と勘違いして、いきなり足を踏み潰す桐乃。兄以外でも容赦無いですね……。
描写からして、京介だと本当に気付かなかった模様、愛が足りないですね。

P.69
ブリジットちゃんの優勝候補にふさわしいパフォーマンスで、いきなり場のテンションは最高潮に達していた。後続のコスプレイヤーたちも、さすがにこういうイベントに参加しようというだけあって、かわいい女の子ばかりだ。オタクどもも桐乃も大喜びである。小学生コスプレイヤーも結構いて、俺は妹と並んで微笑ましくステージを眺めていた。

二人並んでコスプレイベントを鑑賞する高坂兄妹。微笑ましい光景ですね。

P.73-74
桐乃もフンフン鼻息を荒くして絶賛していた。ステージを指差し、
「かわいいいいいいいいいいいいいいい! なにアレなにアレ!? CG!? CGなの!? 質量のある立体映像をイリュージョンあたりが開発したの!?」
落ち着けよ。
「ヤバ、鼻血でてきた!」
ティッシュで鼻を押さえ、ふがふがやっている桐乃。――興奮しすぎだって! いまのおまえ、仮にも女の子としてどうなんだよ? 鏡見ろ鏡!
(中略)
そして桐乃は、真っ赤に染まったティッシュを片手に、不思議そうに問う。
「……あたしの知り合いって、いつ出てくんの?」
いい加減おまえは、毎日学校で会ってる友達に興奮しているということに気付けって。

……。妹のこういう姿を見たら幻滅しそうなもんですが、わりと冷静に対処してる京介って凄いですね。
ちなみに桐乃が言っているイリュージョンというのは、3Dエロゲの開発力に定評のあるエロゲメーカーの名前です。
昔はクソゲメーカーだったんですが、いつの間にか出世しましたねぇ。

第二章

P.84
高坂家では何故か冷遇されているような気がする俺であるが、麻奈実を初めとする田村家の皆さんには非常によくしてもらっている。むしろ田村家こそが俺の真の(トゥルー)家族だといっても過言ではなかろう。

真の(トゥルー)家族は同じ電撃文庫繋がりのBaby Princessで使われる単語ですね。
俺妹3巻の帯では七女の立夏が帯で応援コメントを言ったりもしてました。
余談ですが、公野先生はBaby Princessの小説7巻の続きをいつになったら書いてくれるんですかね……ヒカルとは血が繋がった兄妹なのか、そうじゃないのか気になってるんですけど。

P.86
「じゃ、次の休みとか、どうだ?」
「ほんとっ?」
「おお、実はちょうどその日親がいなくてさ、メシどうしようかなって思ってたとこなんだ。家にきて作ってくれよ」
「……ふ、ふぅん……。そういうことなら……その日に、お邪魔しよっかな」

P.88
「だいたい、今日は親二人とも家にいねえよ。だから気ィ遣うだけ無駄だっての」
「ん……そ、そっか。そだよねっ。おじさんも、おばさんも、お出かけしてるんだよね……」

相変わらず麻奈実に対しては、ラブコメ主人公のごとく鈍感な京介。年頃の男が、誰もいない家に女の子を誘うという意味を全く理解していないです。
麻奈実の方はしっかり理解して動揺しているのに……。

P.88-89
桐乃とばったり出くわした。


「え……」
「あ……」
リビングから出てきた桐乃と、玄関に上がったばかりの麻奈実の目が、ぴたりと合う。
両者ともぽかんと口を開けて、目をまん丸にしている。
うぁぁあぁぁぁぁぁ! 忘れてた! こいつがいたんだっけ! 親がいなくても!
俺はサッと青ざめた。一瞬の間があってから、
「……ッ!?」
桐乃の表情ががらりと切り替わった。両目がクワッとつり上がり、鋭い視線が俺たちを射抜く。普段のゴミを見るような視線とはまるで違っていた。エロサイトを見たことがバレちまって、阿修羅と化していたあのときとも違っていた。
なんというか――親の仇でも見るような態度である。
ぎしりと一度、歯ぎしりしたようだった。
ほんの数秒のうちに、我が家の玄関が異様に居心地の悪い空間と化した。
「……き、桐乃……?」
なんだこの……感じ悪い態度……。なんで登場するなりメチャクチャ不機嫌なんだよ。
あ、そうか、こいつ麻奈実のこと嫌いなんだっけ? や、違うか。俺がデレデレしてんのが気にくわないとか、なんとか、んなこと言ってたんだよな確か……。

数年ぶりの桐乃と麻奈実の再会。
桐乃からすれば、麻奈実とは過去の因縁(11巻の過去編参照)があるので、この態度は今から思うと納得なのですが、初めて読んだ時は、なんで桐乃が麻奈実に対して、こんな態度を取るのかサッパリ理解できなかったです。

P.89
「あ、桐乃ちゃん。こんにちは~」
一方、空気を読めない麻奈実は、ぱたぱた手をふり、とても友好的にあいさつをした。
「久しぶりだね。わたしのこと、覚えてる? 昔はよく……」
「覚えてませんけどォ。どちら様ですかァ?」
バサッ。そんな音が聞こえてきそうなほど、一方的に切り捨てる桐乃。

対する麻奈実はさすがに三つも年上なだけあって、余裕の態度。桐乃の子供っぽい態度とは大違いです。

P.90
「そっかあ……残念。でも仕方ないよね、もうずっと長いこと会ってなかったんだし。じゃ、改めまして――田村麻奈実です。よろしくね?」
「えー? なァんでそんなコトしなくちゃなんないんですかぁ~」
この野郎! 学級崩壊しているクラスのホームルームみたいな台詞を吐きやがって……!
俺は兄貴として、妹のこの態度に怒る権利があるはずだ。
「おい桐乃――てめえ、いい加減にしとけよ……?」
「は? いい加減にしとくのはそっちでしょ?」
ぐいっ! 桐乃は俺の襟首を引っ張った。
「ちょっと顔貸して」
「ぐえ。んだ……お、おいっ」
俺は、妹に引っ張られるがまま、麻奈美から引き離され、リビングの中に引きずり込まれてしまう。

あまりに酷い桐乃の態度に、さすがの京介も怒ろうとしますが……弱い、弱すぎる。

P.91
桐乃はチッと舌打ちして、さらに強く俺を睨み付けた。
「とにかく気に入らないっつってんのっ! アンタさあ、なに親いない日狙って女連れ込んでんの? 信っっじらんない……ちょうキモいんですけどぉ~」
「べ、別に狙ったワケじゃねーよ!」

桐乃の不機嫌な態度は、京介が親のいない日を狙って麻奈実を家に連れ込んだ(と誤解している)のも大きいようです。

P.91-92
「だいたいもしそうだとしても、おまえにゃカンケーねえだろが。自分だって友達呼んでるくせによ。文句言う筋合いねーだろ?」
当然の主張をすると、桐乃はかぁっとさらに顔を紅潮させた。
「ハァ? じゃ、じゃあアタシが彼氏連れ込んでリビングで、エ――エッチしててもいいってのアンタは!」
「なんでそうなるんだよ! 俺たちゃんなことしてねーし、それとこれとは全然別もんだろうが!」

支離滅裂な桐乃の言動。相当テンパってるようです。
しかし、桐乃は山ほどエロゲーをプレイしてたり、エロい同人誌を読み漁ってるはずなのに、なぜかこういうところはやたら純情ですね。

P.92
それに彼氏なんていないだろてめえには! 勢いで変なこと口走ってんじゃねえよ!
くっそムカつくなあ……!

ここで京介がムカついているのは、桐乃の言動に対してだけじゃなく、桐乃がリビングに彼氏を連れ込んでエッチしている場面を想像してしまったからでしょう。
桐乃も大概ですが、京介も妹に対する独占欲が強いですからね。
これも高坂兄妹が似たもの兄妹であるという要素の一つです。

P.92-93
「あ、あのぉ……? 二人とも……けんか、しないで~……?」
「………………」「……………………」
俺と桐乃は、そろって麻奈美の顔を見て――ぷいっと同時に顔をそらした。

喧嘩しているくせに、妙にシンクロする二人。
さすが兄妹ですね。

P.94
「そんじゃさァ、ご飯の前に、まずはリビング掃除してよ」
「――お、オマエなに人の客に向かって超偉そうに命令してんだよ!?」
女同士の会話への介入を躊躇していた俺だったが、この言い草には突っ込んだね。
ところが麻奈実は、たいそう喜んでご主人様にこう返事をした。
「ん、任せてくださいっ」
「………………」
髪をかき上げた見下しポーズのまま、『あれっ?』という表情で固まっている桐乃。
怒って何か言い返してくると思ったのに、あっさり了承されちゃったもんだから、拍子抜けしてしまったのだろう。

桐乃の挑発を受け流し、あっさり桐乃の言う事に従う麻奈実。
これが天然ではなく演技だと思うと、正直、怖いです。

P.95
そんな様子を依然として無言のまま眺めていた桐乃は、次いで、憮然としたまなざしで俺を見た。恐らく『……な、なんなのこの女?』という意味だろう。気持ちは分かる。
……いや、こういうやつなんだよ……。
俺が妹と無言の対話をしていると、いつの間にか麻奈実が、三角巾に雑巾という掃除のオバサンみたいな格好になって戻ってきた。

無言で対話をする高坂兄妹。兄妹のコミュニケーションも、だんだん上達してますよね。
表面上は嫌い合ってるくせに、こういうところはしっかり繋がってるところが、この兄妹の面白いところ。

P.96
「フン、えっらそーに……。……いつもいつも……! いちいち当てつけっぽいんですケドぉ! むかつく……!」
吐き捨ててから踵を返し、リビングから出て行ってしまう。

一見桐乃が悪いように見えますが、過去編のいきさつを知ってると、桐乃のこの態度も仕方ないように思えます。
いくらチートじみている桐乃でも、この年代で三歳も差があるとさすがに分が悪いですね。

P.98
と、麻奈実がソファに座り、胸の前で手を合わせたポーズで待っていた。
「きょうちゃんのいれてくれたお茶かあ……楽しみ」
「なにを大げさな……」
「そんなことないよ~、こんなご褒美がもらえるなら、お掃除がんばった甲斐があった」
麻奈実は、俺がテーブルに置いたお茶を一口飲んで、
「ホラ、おいしい。……疲れとか、みんな消えちゃった」

ほんわかした天然な麻奈実の態度に見えますが、どこまでが本性で、どこまでが演技なのやら。
最終巻を読んだ後だと、素直に受け取れないですね。

P.99-100
「あ、掃除終わったんだぁ~。へぇ~え」
いま気付いたみたいな言い草である。次いで桐乃は、おもむろにそのへんの戸棚に近づいて、すぅっと指を這わせた。ふぅっ、とその指に息を吹きかけて、
「なにコレぇ? ホコリ残ってるんだけど?」
「どこの小姑!?」
つい突っ込んでしまう俺。

いくら麻奈実の事が嫌いと言っても、さすがにこれはない。
こんなことやってるから、桐乃はあやせや黒猫に人気で負けてしまうのでしょう……。

P.102-103
しかし現状、麻奈実が片付ける前よりずっと、どこに何があるのか分かりやすいし、効率的に整頓されて、部屋がすっきりしている。俺は胸を張って言ってやったよ。
「――文句は終わりか?」
「ぐっ……」
「ハハハッ! そんなら、さっさと行っちまえよ。用は済んだろうが」
ソファに深々と腰掛けて、しっしっと手を振ってやる。
「――」
桐乃は一瞬、目を見開いて絶句し、それからギリギリと音が聞こえてきそうなほど露骨に歯ぎしりした。視線で俺と麻奈実を射殺さんばかりの形相だ。
「……な、なんだよ」
いくら何でも、そこまでキレることないだろうが。
「……覚えてなさいよ……! もうどうなっても知らないから……!」
バタンッ! 桐乃は怨嗟の台詞を吐き出して、リビングから出て行ってしまった。
ドンドンドンドンドンドン! イラつきながら階段を上る音が聞こえてくる。
「……な、なんだ……あいつ……」
分ッかんねぇ~~~~。なんで、どんどん機嫌が悪くなっていくんだよ。

桐乃の態度ももちろん悪いし、京介も桐乃と麻奈実の過去のいきさつを知らないから、お互いこういう態度を取ってしまうのは致し方ないこととはいえ、どうにも噛み合いませんね……。

P.105
ははは。……ああ、いいよな、こういうの。
じんわりと、満ち足りた想いが胸に満ちる。
きっと俺は、麻奈美みたいなお母さんが欲しかったんだろう。

麻奈美の母性的な部分に癒される京介。
どういうわけか、母親である佳乃さんの京介に対する態度って酷いですからね。
これに関しては、何か深い事情があるのかと思いきや、結局最後まで理由は明かされませんでしたね……。

P.107
「ご飯? あー、うん、はいはい、電話終わったら行くからって言っといて」
「お、おお……分かった」
なんだ、思ったよりあっさりだな……。もっとごねるかと思ったのに。相変わらず不機嫌そうじゃああるが、さっきよりはずいぶんとマシになっているような気がする。
「おまえ、機嫌直ったの?」
「ふん、別にぃ」
直ってるな。この三十分で落ち着いたってことか? なんとまあ珍しい。
……まあさっきのアレは、明らかに桐乃が悪かったし、その辺こいつも反省したのかもな。
このときの俺は、妹の機嫌が上向いた理由を好意的に解釈していたのである。
そんなわけないって、ちょっと考えりゃ分かりそうなもんなのに。

ここでの桐乃の電話相手は黒猫なんですが、それについては次の章で。

P.110
「ごちそうさまでした。どれもおいしかったです」
「え? うんっ……あ、ありがとう……」
「じゃ、あたしはこれで」
すっと音もなく席を立ち、ぺこっと会釈し、リビングを出て行ってしまう。
その背を呆然と見送っていた麻奈実は、桐乃の姿が見えなくなってから、説明を求めるような瞳で俺の方を向いた。
「美味かったってよ」
俺は肩をすくめるしかない。桐乃はこういうところでウソがつけないやつなのだ。

先ほどまでの態度と違い、妙に大人しい桐乃。もちろんこれには裏があるのですが……それは後述。

P.112
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺は大絶叫しながら学習机までダッシュし、ノートパソコンのディスプレイを抱きかかえて麻奈実の視界から隠した。これ以上ないほど必死の形相でだ。
……なんでまた、こんな異常な行動を取ったのかって?


エロゲーのHシーンが映ってたからだよ! ノーパソのディスプレイに!


しかも――しかも『妹もの』だぜチクショウ!

P.113
落ち着け――落ち着いて考えるんだ京介! どうしてこんな状況に陥ったのか? いったい誰が俺の部屋に、こんな即死モンのトラップを仕掛けていきやがったのか?
いやいやいやいや! 考えるまでもねえ――よ! いまこの家には俺と麻奈実と、あと一人しかいねえんだからさあ! クソッ、クソクソッ! 桐乃のヤツめ
不機嫌にリビングを出て行ったのに、あっさり機嫌が良くなったのって、まさかこの即死トラップを仕掛けてスッキリしたからだったのか!?

桐乃が妙に大人しかった理由の伏線回収。

P.118-119
錯乱した悲鳴を上げる俺。
緊急回避ボタンを押したことによって切り替わった画面。
そこに映っていたのは――
スク水姿のロリっ娘が、悩殺ポーズでプレイヤーを誘惑しているという『緊急回避画面』であった。でかいフォントで台詞が表示されている。
『おにいちゃんはねー、妹にしかよくじょ~しない、変態さんなんだよぉ~~』

このロリっ娘の台詞は、桐乃の願望が含まれていそうですね(笑)

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