神楽鳥 雛 『雛といっしょ』(依存系・無口、大人しい、健気、泣き虫、おもらし)

作品情報

タイトル:雛といっしょ
ブランド:Ex-iT 作品ページ
ジャンル:雛といっしょに暮らすADV
発売日:2013年12月27日
販売価格:4,000円(税別)

『ひよこストライク!』の雛がメインのファンディスク。

あらすじ

公式サイトのStory参照。

システム

クリックで読み進めていき、選択肢によってシナリオが分岐する一般的なエロゲ。

ウインドウサイズは1024*768。
システムは『ひよこストライク!』とまったく一緒です。
システム設定は最低限のものしかありませんが、プレイには特に支障なし。

修正パッチver.1.31有り
パッチを当てないとまともに動作しないのでプレイ前に必ず当てましょう。
不具合解消だけでなく、新規サイドエピソードも追加されます。

妹について

名前 年齢
神楽鳥 雛(かぐらどり ひな) 兄の1つ下、高○1年生?
一人称 兄呼称
私、雛 おにいちゃん、おにぃちゃん、かぐらどりさん、神楽鳥さん、真くん
身長 体重 スリーサイズ
154cm 不明 B82/W51/H78
CV 原画 シナリオ
藤森ゆき奈 やすゆき 小林公示
備考
3月17日生まれ、AB型

主人公の妹。
休学中の学生。

性格は口数が少なく大人しいが、芯は意外に強く、兄を言い負かすことも。
現在は訳あって学校には行かず、実家から遠く離れた兄のアパートで引き篭もり生活を送っている。
家事は得意で、家の事はほとんど雛がやっている。
好物はおにいちゃんが好きなもの、苦手なものはレバー。

兄にプロポーズされても、雛のネガティブさは相変わらず。

雛の新規CG枚数は15枚。(前作の使い回しを含めると26枚)
内訳はイベントCG7枚に、HCG8枚。
兄と手を繋いだCG、エピローグのCGがお気に入り。

「ぐすっ…………おにいちゃんと、いっしょがいい……。おにいちゃんといっしょなら、天国でも地獄でもどこでもいいよ……?」


「雛の方が、おにいちゃんのこと『好き』って気持ち……ずっとずっと強いもんっ……ずっとずっと好きだもんっ……」


「もう、幸せです」

兄について

主人公。
私立桜紡糸(さくらぼうし)学園2年生。

家族構成は両親と妹の雛の4人家族。
北海道の寒さを嫌って親元を離れ、アパートで一人暮らしをしながら関東の学園に通っていたが、今は妹の雛が転がり込んできて、二人で暮らしている。

人付き合いが苦手で、友達は少ない。
人の気持ちにかなり鈍感なところがあり、愛想がなく不器用ではあるが、根は真面目で常識人。
趣味は絵を書くこと。

この手のゲームにしては珍しく、ヒロイン視点からの立ち絵有り。(ボイスは無し)
相変わらずの良兄ぶりです。

(守る役目は……そばに立って抱きしめる役目は、俺だけでありたい。他の誰かなんて、絶対に許さない。俺が、雛を守るんだ)


「だから、どこかに逃げないでくれ。雛は……俺のモノなんだから」


「ああ、世界一、誰よりも好きだ。この気持ちは世界の誰にも負けない」

シナリオ

物語は前作の雛ルートのプロポーズシーンの回想から始まります。
それが終わると、プロポーズから一ヶ月後の教室に場面が移動。
週末の雛との生活が始まります。

選択肢によって、週末の過ごし方は変わっていき、1回のプレイ時間は10分から30分程度。
コンプまでは大体5~6時間ぐらい?
ミドルプライスにしては、ボリュームは少なめです。

(ここからネタバレあります。未プレイの方はお気をつけ下さい)




#01「直談判と契約」

この兄視点のスクランブルで、前作のプロポーズの後から今作の物語が始まるまでの間に、兄が父に雛との関係を正直に話したことが明かされます。
父親は当然雛との関係を認めてくれず、

「お前はまだ、雛とオママゴトでもやってるのか?」
「セックスしたいだけだろ?」
「お前にはまだ『認めて楽になりたい』という甘えがある」
「本当に雛を守りたいなら、嘘でも何でもついて、すべてを利用して守るべきではないのか?」
「人の親として、安易に認めると思うか?」
「これからも養ってもらえると、そう思うのか?」

……など次々と厳しい言葉を掛けられるのですが、兄は今の自分に雛を守る力が無いことを認め、バイトしてお金貯めて、卒業したら就職するので一年間だけ助けて欲しいとお願いします。
父親はそんな息子の覚悟を試すために、3つの条件を出してきます。

「卒業の日まで雛とセックスするな」
「毎週木曜のこの時間に、状況報告の電話をしろ」
「雛にはこの取り決めを秘密にしろ」

この3つの条件を守れるなら、一年間だけ助けてもらえるということで、兄は了承します。

兄が父親に雛との関係を正直に話した理由ですが、

……何より、親の金を使って親を裏切るようなことをしているこの甘えた状況が、生理的にダメだった。
そんなまるで子供みたいなことをして、何が雛と結婚だ。
何が、一生守る、だ。
後ろめたさは、きっと雛もいつか苦しめる。破たんする。
兄「……そうだ、これでいいんだ」
ちゃんと、親に――父さんに、認めてもらう。
そして俺が稼ぎ、雛を守る。
どこまで行っても法律が認めるところの正式な『結婚』は無理だが、せめて出来る限り、そこに近づきたい。

そこらの兄妹モノでは何となくごまかすこの辺りを、兄がしっかりと考えているところが好感持てますね。

お人形さん編

雛をお人形さんに見立てて、お人形さんごっこをすることに。
兄は雛と外に出掛けようとするのですが、出掛けてすぐに雛がおしっこしたいということで家に逆戻り。
なぜかトイレで雛のおしっこを眺めることになり、ふきふきされて興奮した雛にパイズリされることに。
後はそのまま、雛とH三昧。
父親との約束を破り、全てをかなぐり捨てて、二人は爛れた生活を送ることに……。
スタッフロールも流れないし、どう見てもバッドエンドです。

命令ゴッコ編

今日一日、お互い交互に命令を出し合って過ごすことにする兄妹。
兄は『えっち以外』、雛は『お外に出る以外』という縛りをお互いに出し、命令ゴッコ開始。

兄は最初にマッサージしてくれという命令を出し、雛にマッサージしてもらうのですが、雛の方は何とかえっちな命令に持ち込みたいということで、お互い命令を出し合っているうちに、ルールを上手く活用した雛にえっちするという命令を出されてしまいます。

その流れで一緒にお風呂に入り、台所で裸エプロンの雛とHすることに。
父親の決めたルールを守れなかった兄は、この事を父親に報告しなきゃと思いつつも、今日だけはということで、雛と存分に愛し合うことに……。
微妙にバッドエンドっぽいですが、スタッフロールは流れます。

リハビリ編(買い物

何とか雛を外に連れ出した兄。
二人で仲良くアイスを食べた後、カーテンを買いに行く事に。
結局、どれも高すぎて安いカーテンしか買えなかったのですが、雛は楽しそう。
兄は、先に家に入り、外から帰ってきた雛を出迎えます。
家に引き篭もっていた雛が、外に出掛けることに前向きになってくれるエンド。

リハビリ編(高台へ

何とか雛を外に連れ出した兄。
しかし、どうしても自分に自信を持てない雛を落ち着かせるため、雛にプロポーズした高台へと場所を移し、雛の話を聞くことに。
そこで雛が自分と一緒に歩くのを嫌がる理由を聞いた兄は、泣き出してしまった雛を安心させるために、今度は自分が雛についていた嘘について話し始めます。

幼い時から、雛の銀の髪に恋をしてて、見とれていたこと。
雛のことを異性として好きだったのは自分が先だったこと。
兄が北海道を離れて関東の大学へ来たのは、寒いのが苦手だからではなく、雛に恋をしている自分の気持ちから逃げるためだったこと。

兄の言葉を聞いた雛は、兄の胸に飛び込み、子供のように大声で泣き叫びます。
そんな雛の姿を見て、兄は雛に「守らせて欲しい」と告げ、雛を守ると心の中で強く誓います。

その後は我慢できなくなった雛に押し倒されHすることに。
このHは、雛がものすごく積極的で、赤ちゃんが欲しいと中出しをせがんでくるので、かなり燃えます。

その後は家に帰り、雛といつものようにソファで眠ります。
父との約束を破って雛とHしてしまったことに罪悪感を覚え、雛への気持ちは愛ではなくて性欲なのだろうかと悩みながらも、兄はとりあえず問題を先送りにして眠ることに……。

ラストは中途半端ですが、途中の兄の告白と雛とのHは良かったです。

リハビリ編(ちよ子 ノーマル?

雛の人生を豊かにさせるために、自分だけでなく他の人とも交流させようと考える兄。
外で偶然出会ったちよ子を家に招待したところ、朝ごはんを作ってもらうことになり、ちよ子に対抗心を燃やした雛も一緒に料理をすることに。

雛とちよ子、どちらの料理が美味しいかをうやむやにしようとするとこちらのエンド。
雛とちよ子3人で仲良くなるという未来を感じさせるエンディングです。

リハビリ編(ちよ子 バッド?

雛とちよ子、どちらの料理が美味しいかをハッキリさせようとするとこちらのルートに。
その流れで、雛に促され、兄に告白するちよ子。
当然兄には雛がいるので断るしか無く、ちよ子もそれがわかってて告白したのですが、やはり気まずくなり、ちよ子は慌てて帰ってしまいます。
その夜、雛にちよ子の事が好きかと聞かれた兄は、好きで意識していたと素直に答えます。

妹の自分では兄と結婚出来ない、このままでは兄が可哀想で耐えられないという雛は、兄とちよ子に結婚してもらい、自分は兄のお人形として兄に可愛がってもらえればそれでいいと考えます。(これについての詳しい経緯はちよ子のスクランブル#04「ライバル」で明かされます)
ちよ子は当然、そんなのおかしいと反対するのですが、雛に促され結局雛の提案に乗ることになり、兄は流されるまま、二人を受け入れることに……。

なかなかぶっ飛んだエンディング。
スタッフロールも流れずバッドエンドっぽいです。

リハビリ編(ちよ子 ハッピー?

雛にちよ子の事が好きかと聞かれた時に、雛しか見えないと答えるとこのエンド。
ちよ子の事を意識していたのは確かだが、今はもう雛しか見えないし、雛を選んだとハッキリ雛に告げる兄。
雛はその答えに嬉しくなり、兄とちよ子との結婚という案は捨てます。
これからは雛とちよ子がもっと仲良くなれるといいなぁと考えながら、幸せな眠りにつく兄。

すぐに終わってしまいますが、スタッフロールも流れますし、明るい未来を感じさせるエンディングです。

記憶喪失編

一番最初の選択肢で誰? を選ぶと記憶喪失編に突入。
なぜか雛のことを忘れてしまった兄に最初はショックを受ける雛ですが、雛は自分は妖精さんであなたのことなら何でも知ってると言って、兄に自分が妖精さんだと信じさせようとします。
最初は半信半疑だった兄も、他人が知らないはずのことをすらすら言い当てる雛のことを妖精さんと信じることに。

雛は、兄が自分の事を忘れているのを幸いに、あなたのためなら料理でも、掃除でも、洗濯でも、えっちな事でも何でもするといって、兄をえっちに誘います。
我慢出来なくなった兄は雛にえっちな事をするのですが、クンニまでで挿入はなし。

いきなりセックスするのではなく、まずは雛のことを知りたいと考える兄。
例え記憶がなくても、ちゃんと雛のことを大事にしようとする兄の姿勢が良いです。

その後も雛と一緒に過ごすのですが、雛が隠そうとする部屋が気になる主人公。
その部屋の扉を空けないを選択すると、これから先の未来を夢見て、雛と2人で眠りにつくところで終わりという中途半端なエンディングに。

記憶喪失編 その2

部屋の扉を開けようとすると、このエンドに。
扉から大精霊様が登場し、扉を開けるとこの世界が壊れてしまうから許さないと警告してきます。
大精霊様の言葉を聞き、素直に引く兄。
後は先のエンドと同じ展開で、こちらも中途半端に終わるのですが、こちらを選んだ場合、スクランブルが解放され、兄が記憶を失った理由が、明かされます。

(ここから重大なネタバレあります。未プレイの方は読まないことをお勧めします)



覚醒編(理々乃

台所にある黄色いカーテンを見て、同じ休日をずーっと繰り返しているような違和感を抱く兄。
オカルトに詳しい理々乃に相談しようとするのですが、携帯を持っていない兄は連絡が取れません。
たまたま町で出会ったちよ子に頼んで携帯を借りることになり、ようやく理々乃に相談すると、とりあえず調べてみるということで一旦別れることになります。
家に帰り、雛と二人でいつもの日々を過ごすことに……。

覚醒編(心音

前回は理々乃に相談しましたが、心音に相談するとこのルートに。
心音と話すことでこの繰り返しの日々から抜け出すヒントを得た兄が家に帰ると、なぜか大精霊様が。
大精霊様と不思議なやり取りをした後、いつものように休日は終わります。

覚醒編(大団円

終わらない休日のループを抜け出し、月曜日へ。
エピローグでは兄の子供を抱いて、幸せそうな雛の姿が……。

その後の週末編

雛を傷つけるような約束を守るのは本末転倒だと気づいた兄は、「卒業まで雛とセックスしない」という父親との約束を自分の意志で破り、絶縁状を叩きつける覚悟で雛を抱くことに。
雛を抱いた後に、父親に正直に報告する兄。
約束を破ったということで、宣言通り仕送りを止めることにし、親子の縁を切った父親は、これからは親子じゃなくて赤の他人だから好きにしろ、雛を連れて挨拶に来いと兄に告げます。
ツンデレな父親の態度に呆然としつつも、雛を連れて結婚の挨拶をするために、実家に戻ることにする兄。
文句無しの見事なハッピーエンドです。





(ネタバレここまで)

親バレ、周りバレ

ネタバレなので隠します。構わない人は反転して読んでください。
獅子王とちよ子には既に前作の時点でバレてますが特に反対は無し。親には正直に雛との関係を話します。最初は認めてはくれず、条件を出してきますが、その条件を破っても、最終的には認めてくれます。

禁忌、背徳描写

かなりあります。
兄妹での恋愛や結婚について、兄も雛も非常に真面目に考えています。

特典について

今回はソフマップで購入しました。

雛SDキーホルダー

予約特典。


プラスチック製で、結構大きいです。


裏にシールが貼ってあるのですが、保護されていないので、使用しているうちに剥がれそうで不安。

俺の雛がこんなにツンデレなわけが(略)


ソフマップ特典。
ゲームディスクなので、インストールしてプレイします。
タイトルに関しては敢えてツッコみません(笑)

システムは本編と同じものを使っています。
プレイ時間は15分ほどで、選択肢は無し。

ある朝、いつものように起きるとなぜか雛がツンデレな性格に。
兄はいつもと違う雛に戸惑いながらも、どうせこれは夢だろうということで、普段は出来ないことをしようとするのですが……。

ツンデレではありますが、根っこの部分はやっぱり雛で、これはこれで可愛いです。
兄の方も、夢ということで、いつもよりちょっと強引なのが新鮮。
サラッと本編のネタバレが入っているので、クリア後にプレイすること推奨。

まとめ

この作品って色々と誤解されてると思うんですよね。

www49.atwiki.jp
ちなみに発売当時はこんな感じだったようです。
僕も当時この手の悪評は聞いていたので、実際にプレイする前までは、バグだらけで中身スカスカのクソゲーだと思い込んでました。

……が、実際に最終パッチであるVer1.31を当ててからプレイしてみると、別にこれといったバグはありません。
せいぜいスクランブルの未読と既読の管理が出来てないことぐらいです。
ボリュームもそれなりにありますし、この最終パッチが出るまでは色々と迷走したようですが、最終的にはちゃんと作品として完成しています。

そして、実妹ゲームとしてのシナリオの完成度も高い。
雛との様々な可能性を見せつつ、とある仕掛けを施し、ラストの大団円に持っていくという流れは読み応えがありました。
何より、兄妹という問題への決着の付け方が非常に素晴らしい。

両親に二人の関係をどう説明するか、子供、結婚。
大抵の兄妹恋愛モノはこの辺を適当にふんわりとごまかすのですが、この作品は、これらの問題をしっかりと解決しているんですよね。
そこに至る経過や苦労など、細かいところを端折ったりはしていますし、ご都合主義に見える部分はありますが、それでもこれほど兄妹恋愛について現実的に解決したハッピーエンドは見たことがありません。

このライターさんは『ひよこストライク!』でも『結婚』について独自の解釈をしていて感心しましたが、この『雛といっしょ』では、それとはまた違う新しい方法で、兄妹の結婚について独自の解決方法を示しています。
この発想は並のライターさんに出来ることではなく、初めて読んだ時は非常に感心しました。

発表から発売まで2年近くかかったり、マスターアップ後に延期したり、バグを解消しないまま強行発売したり、ミドルプライスなのに新規CGはたったの15枚と、確かに問題作ではありますがそれらの欠点を帳消しにするぐらいシナリオはよく出来ています。
前作で雛を気に入った人はプレイ必須の内容となっていますので、未プレイの人は噂や評判に騙されずにプレイしてみてください。

雛という独自のキャラと兄妹恋愛について真面目に考え抜かれたシナリオは素晴らしいの一言
お気に入り度(10点満点) 殿堂入り

別のキャラのレビューを読む

おまけ

jitsumai.hatenablog.com
プレイした際のTwitterでの呟きを別記事にまとめました。
良かったら参考にしてみてください。